119 / 217
仮題
.
しおりを挟む
コンコン──
「姫愛様?」
「葉子さん、どうしたの?」
「お食事、部屋にお持ちしました」
「いい」
「少しでも食べてください。お部屋で私も一緒に頂こうかと」
扉を開けて葉子さんに座ってと頼み、先に謝る。
「私、難しいこと言われると分からなくなっちゃうのかも。それに、お昼が楽しみになっていたし」
「お友達は大丈夫ですよ。さ、少しでも」
ご飯は食べやすいようにおにぎりとお味噌汁。
サワラの塩焼きにほうれん草のおひたし。
「いただきます」
「二人で食事は初めてですね」
「葉子さん達は一緒に食べられないの?」
「基本的には仕事ですし。今回からは栗花落様が姉のように一緒にと言ってくださったので、夕食がおひとりの時などは一緒にいただくことが出来ます」
「ほんと!?」
「はい」
「一人で食べるの慣れてたんだけど、お昼に独りじゃなくなってから夕食も寂しくなって。私わがままだよね?」
「そんなことはございません。普通のことです。姫愛様は迷ってらっしゃるようですが、お昼にご一緒になる方も、もう姫愛様のお友達ですよ」
「そ、そうかな?」
「ええ。学校に行ったらきっと笑顔で迎えてくれると思います」
「だといいんだけど」
おにぎりを持ったまま、少し下を向く。
「姫愛様、たまにはご実家に寄られてはどうでしょう?」
「帰っても……いいのかな?」
「両家では、姫愛様はご自由にとなっているはずですよ?」
そういえばたまには顔見せてねとは言われていたが、まだそんなに時間は経っていないし。
「姫愛様?」
「葉子さん、どうしたの?」
「お食事、部屋にお持ちしました」
「いい」
「少しでも食べてください。お部屋で私も一緒に頂こうかと」
扉を開けて葉子さんに座ってと頼み、先に謝る。
「私、難しいこと言われると分からなくなっちゃうのかも。それに、お昼が楽しみになっていたし」
「お友達は大丈夫ですよ。さ、少しでも」
ご飯は食べやすいようにおにぎりとお味噌汁。
サワラの塩焼きにほうれん草のおひたし。
「いただきます」
「二人で食事は初めてですね」
「葉子さん達は一緒に食べられないの?」
「基本的には仕事ですし。今回からは栗花落様が姉のように一緒にと言ってくださったので、夕食がおひとりの時などは一緒にいただくことが出来ます」
「ほんと!?」
「はい」
「一人で食べるの慣れてたんだけど、お昼に独りじゃなくなってから夕食も寂しくなって。私わがままだよね?」
「そんなことはございません。普通のことです。姫愛様は迷ってらっしゃるようですが、お昼にご一緒になる方も、もう姫愛様のお友達ですよ」
「そ、そうかな?」
「ええ。学校に行ったらきっと笑顔で迎えてくれると思います」
「だといいんだけど」
おにぎりを持ったまま、少し下を向く。
「姫愛様、たまにはご実家に寄られてはどうでしょう?」
「帰っても……いいのかな?」
「両家では、姫愛様はご自由にとなっているはずですよ?」
そういえばたまには顔見せてねとは言われていたが、まだそんなに時間は経っていないし。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
狼神様と生贄の唄巫女 虐げられた盲目の少女は、獣の神に愛される
茶柱まちこ
キャラ文芸
雪深い農村で育った少女・すずは、赤子のころにかけられた呪いによって盲目となり、姉や村人たちに虐いたげられる日々を送っていた。
ある日、すずは村人たちに騙されて生贄にされ、雪山の神社に閉じ込められてしまう。失意の中、絶命寸前の彼女を救ったのは、狼と人間を掛け合わせたような姿の男──村人たちが崇める守護神・大神だった。
呪いを解く代わりに大神のもとで働くことになったすずは、大神やあやかしたちの優しさに触れ、幸せを知っていく──。
神様と盲目少女が紡ぐ、和風恋愛幻想譚。
(旧題:『大神様のお気に入り』)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妖古書堂のグルメな店主
浅井 ことは
キャラ文芸
裏路地にある小汚い古本屋
店主はいつもテーブルに座って本を読んでいるだけ。
立ち読みにはいいかと寄ったのが運の尽き。突然「うちで働いてみませんか?」と声をかけられたのは良いものの、本の整理をするバイトだと思っていたら____
天満堂へようこそ 3
浅井 ことは
キャラ文芸
♪¨̮⑅*⋆。˚✩.*・゚
寂れた商店街から、住宅街のビルへと発展を遂げた天満堂。
相変わらずの賑やかな薬屋には問題が勃発していたが、やっと落ち着きを取り戻し始めた天満道で働く者達に新たなる試練が?
※どんなお薬でも作ります。
※材料高価買取。
※お支払いは日本円でお願い致します。
※その他応相談。
♪¨̮⑅*⋆。˚✩.*・゚
下宿屋 東風荘 8
浅井 ことは
キャラ文芸
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..
やっと狐の国で九堂を倒し、人間の世界で封印にも成功した雪翔達。
ホッとしたのも束の間!
誰かに見られている───
そう感じた雪翔と親の冬弥。
今度は逃げるのか?
それとも戦うのか?
下宿屋の朝夕のご飯と受験勉強する雪翔に降りかかる問題とは?
下宿屋!再始動!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
我が家の家庭内順位は姫、犬、おっさんの順の様だがおかしい俺は家主だぞそんなの絶対に認めないからそんな目で俺を見るな
ミドリ
キャラ文芸
【奨励賞受賞作品です】
少し昔の下北沢を舞台に繰り広げられるおっさんが妖の闘争に巻き込まれる現代ファンタジー。
次々と増える居候におっさんの財布はいつまで耐えられるのか。
姫様に喋る犬、白蛇にイケメンまで来てしまって部屋はもうぎゅうぎゅう。
笑いあり涙ありのほのぼの時折ドキドキ溺愛ストーリー。ただのおっさん、三種の神器を手にバトルだって体に鞭打って頑張ります。
なろう・ノベプラ・カクヨムにて掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる