栗花落と姫と妖と……

浅井 ことは

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変化

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「森さん、友達っている?」

「居ますよ。こちらではほとんど居ませんが、地元に帰れば幼なじみとか」

「友達ってどうやったら作れる?」

「そうですね……まだクラスが変わってからひと月も経ってませんし、声をかけられたら笑顔で話すとか、自分から声をかけるとかでしょうか。私のように男だと勝手に仲良くなったり喧嘩したりでいつの間にかという感じなので参考にもならないと思いますが」

「うーん!仕方ない、様子を見ようかな」

「姫愛様は友達が欲しいんですか?」

「春さんに言われて……でも、私は今の学校生活で困ってないし」

「できる時はできますからあまり気にされることは無いかと思いますが」

「そうだよね」

校門前で降ろしてもらって、行ってきますと普段と変わらないのだが、友達……テストより難しいかもしれない。

いつもと同じ授業と休み時間。

休憩時間は10分なので手洗い以外は本を読んで過ごすことが多い。

他にも同じような感じの子はいるが、少ないと言うより居ても2,3人。

お昼にお弁当の巾着を開けると、一枚のメモ。

『今日はお天気も良いので中庭で昼食が吉』

朝の占いコーナーのテレビでも見たのだろうか?

たまには良いかなと席をたち、お弁当と水筒をもって中庭に行くと、何組かベンチでお弁当を広げてる人がいた。

「一人の人も来てるんだ……」

お弁当を広げていると、「隣いい?」と声をかけられる。

「あ、どうぞ」と少しズレるが、所々にあるベンチはかなり大きめ。

「始めてきたの?」

「そう。天気が良かったから」

「この辺りはみんな席が何故か決まっててね、私はいつもこの席なんだ」

「じゃあ、私どいた方が……」

「いいのいいの。たまに一人で来る子もいるし、その時はこの席薦めてるから」

「どうして?」

「日当たり最高!なのにここだけ屋根があるでしょ?雨でも濡れないし、他の子達からも直接見える位置でもないから」

「そういえば……」

周りはよく見えるのに、木の影になるからか直接は見られないで済む。

「さてと、食べよ!いっただきまーす!」

食べながら、中庭に来る人は多いのか、雨の時はやはりみんな教室なのかなど聞いてみる。

「そうね、ほとんどの人は天気のいい日は来てるけど、雨の時はどうかな?屋上組と体育館組もいるけど、雨の日は体育館か教室だろうね」

「だからいつも教室に人が少ないんだ」

「ほかのクラスに行く子もいるし。私はここで満足してるけど」

食べ終わったお弁当箱をしまってお茶を飲み、「また……来てもいいかな?」と聞くと、晴れてる日はここに居るからいつでもどうぞと言われたので、軽く手を振って教室に戻る。

中庭もいいが、今度は色々と回ってみた方が良いのだろうか?

ただ、久しぶりに人と話しながらお弁当を食べるのは少し楽しかった。



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