栗花落と姫と妖と……

急展開

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ある程度親同士の話が終わったのか、食事が運ばれてくる。

ナイフとフォークより、お箸がいい……

マナーなど分からなかったが、音を立てなければ良かったんだっけ？と服を汚さないように食べるのが精一杯。

でも、不思議なことに栗花落の両親から話しかけられることは一度もなかった。

食事が終わり、そろそろ解散かな？と思っていると「栗花落の事よろしくお願いしますね」と初めて声をかけられ、「はい」と言ってしまった私のバカ！
でも、見た感じとても優しそうなご両親。
似ているか……と言われると、そんなに似てはいない気がする。

「では夕方に業者が……」と聞こえたので、もしかして！と思って聞くと、自分の部屋の必要最低限のものは今夜マンションに届くらしい。

という事は……

「まさか」

「まさかとは？」

「私、マンションに住むの？」

「はい、今から」

「そういう大事なことは前もって言って欲しいし、勝手に決めないで……」

少し考えたあと、「確かに、本にはそのようなことが書いてあったような」ととぼける。

天然なのか策略なのか！

一度自宅に戻りたいと伝え送って貰ってすぐにしたのは、教科書などの学用品と、お気に入りの洋服を詰めただけ。

「姫愛、これ通帳と印鑑。毎月少しだけどお小遣い振り込むからね」と母に渡される。

「お母さん、お父さんもなんで良いっていったの？」

「あんな大きな会社のご子息と結婚するんですもの。今は学生だけど早く一緒に住みたいってご希望だったし、とても誠実そうな方でしょう？」などとお花畑な話が口からスラスラと出てくる。

それにしても、結婚……とは？

向こうに行ったら一回だけ腹パンチというのをしてみよう……

「生活費は心配ないそうよ。うちも出すと言ったんだけど、大学を卒業するまで通いながらもう働いてるんですって。だから、夫婦になるんだから姫愛がやりくりとか料理とか頑張らないとね」

「お、お母さん！」

何を言って……

しかも私の料理は家庭科レベル！