天満堂へようこそ 6

浅井 ことは

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破壊

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「だよね……」

「今日は城の中の方を見に行かれますか?」

「連絡ないもんね。回りから見ていこうか。日が高い方が良くわかるし」

「それにしても兄もいるのにこんなに見つけるのが遅いとは思いませんでした」

「ユーリさんて感知とか得意だったよね?」

「下手をすれば陛下より上かもしれません。攻撃は陛下に敵いませんが、それ以外の察知能力とでも言いましょうか……それはかなりのものだと思います。ついでに、変化せずとも怒ったときの恐ろしさは皆さんの中で一番かもしれません」

「あぁ、それはわかる。結月さんたまに黙っちゃうもんね。ルーカスさんも逃げるし」

「普段おっとりとしているので、家族内でも兄は怒らせたくないんです。父ですら逃げますから」

「そうなんだ。もう城の方に行く?」

「馬を借りましょうか。その方が早いです」

「うまく乗れないんだけど」

「慣れです慣れ!」

馬に乗って城につく頃にはおしりが痛くてヒリヒリしていたが、間近で見るとやはり大きい。白を基準に作られており、橋は上げ下げできるようになっている。
上には見張り台もあり橋の横には詰め所もあった。
中に入ると外見はできていて、奥に進むと噴水が出来ていた。

「奏太様……ここから森まで近い。少し走ってきても?」

「いいよ。スフィがそう言うんだったら何もないってことでしょ?ゆっくりしてきてよ」

「かたじけない」

スフィが走ってく姿を見るとのびのびとしていて、人間界に来させて良かったのかとつい考えてしまう。

「奏太様、考えすぎですよ」

「ばれちゃった?やっぱりこれだけ広い場所って無いし、のびのびしてる姿見ると。ムーは人間界の犬だから良いとしても、ブランとか家の庭でしか元の大きさになれないし」

「それは……ですが一緒に来ると決めたのは彼らです。今度来るときはここで思いっきり走らせてあげれば良いのではないですか?」

そうだね。
そう言って城の中を見ていく。天王の城に似てはいるが細かいところは全く違う。
廊下も広くみんなが元の大きさになっていても問題ないだろうと思いぐるっと一周回って、街へと入る。

「昨日はわからなかったけど、町並みも綺麗に出来てるよね。統一感があるって言うか」

「奏太様のイラストをもとに作ってますので、違うとことがあればすぐに直せます」

「今のところ何もないよ。この川も広くつくってもらえたから、船も通れるよね」

「観光地のようですが……」

「それも目的だよ?でないと、街が潤わないでしょ?」

「どこに行っても商売がお上手ですね」

「つい……でも、ここは天王の城とあの街の間でしょ?それにここから草原の民の居住地にその先の町も荷馬車で半日ちょっとって聞いたから。それに城と反対側の町との間にもなるから交易できないかなって思って」

「町も城壁から続けて囲まれてますから、魔物などの対策にもなっています。安心できる街になりそうですね」
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