天満堂へようこそ 6

浅井 ことは

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破壊

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「施設の破壊で天界からどこの界に繋がってるんだろうって気になってるんだけど」

「それは私もはっきりとは分からないのですが」

「スフィはわかる?」

「我もわからぬ。ただ、人間界を中心に天界・幻界・魔界と繋がっておると聞いたことはある」

「じゃあ狭間はどこにあるの?」

「それは界と界の間と聞いていますが」

「目に見えないことはわからないもんね」

「明日は朝早くに出て、次の街で休憩にします。その後は夕刻まで止まらずに行けば、草原の民たちの居住区まですぐですが、天幕は前と同じところには張れないそうでして……」

「そうなの?」

「見たらわかるとサムさんも言ってるんですけど」

「楽しみにしてるしかないかな」

朝が早いのならもう寝ようと明かりを消して毛布にくるまり、それでもなかなか寝付けないので中心で大きく火を焚いているところへと行き、お茶をもらう。

翌朝の出発の時はとにかく眠くて中の寝台で寝ていると、いきなり馬車が急停止し、寝台から転がり落ちてしまった。

「な、何?」

「わかりません。聞いてきますので此処で待っていてください」

ノアが飛び出していき、スフィになにか気配する?と聞くも首を降って呑気にまた眠っているので、魔物ではないのだろうと思い、御者台との間の布をめくり、何があったの?と聞いてみる。

「まだ報告が来てませんが、戦闘にはなっていないようです」

あたりを見回しても特に変わったこともなく、ノアが戻ってくるまで待ち、その間にお湯を沸かす。

スフィが寝ているという事は安全なのだろうと思っての行動だったが、こちらも呑気にコーヒーを飲んでいるとノアが戻ってきた。

「どうだった?」

「鹿の群れが横断していたようでして、小鹿が飛び出してきたので馬車を止めたと。渡りきったのでもう動くと思います」

「鹿の横断て、鹿って旅したっけ?」

「いえ、殆どが森で生活していると思ったのですが、天界の鹿は草原に多いと聞きました」

「我の知っている限りではこの辺りに鹿の群れはおらぬ。前の森の水が飲めなくなった時に一時的に避難しておったのが戻って行っておるのだろう」

「じゃあ、水も綺麗になったって事だよね。動物達も住みやすくなればいいんだけど」

「戻ると言うことはそういう事と思って良い」

「あ、動き出したね。ノアもコーヒー飲む?」

ノアにもコーヒーを渡して、冷却魔法をかけて冷たくする。

「上手になられましたね」

「火をつけるのと、冷やすのだけはね。凍らせるのはできないけど」

「十分だと思います。ですが、冷やせれるのなら出来ない事はないと思います。魔力不足でもないですし」

「結月さんにも言われたんだけど、天界で光の弓矢が使えるのは王族だけだからそれを調べろって言われた事があって、全然魔法の練習してなかったんだ」

「弓ですか?」

「そう、俺が一回も打てなかったあの弓だよ……できるものをたまには言ってほしいんだけどね」

「光の弓とは王も手にできなかったものと聞く。そう現れるものでもない」

「スフィ知ってるの?」

「話だけは。あれは物ではなくその者が持っていると聞いたことがあるのだが、我も見たことはない」

「じゃあ、俺には関係ないかも。打つことすら出来ないし、出来たのは剣だもん」

「分からぬぞ?まだまだ奏太様は未開ゆえ、何が起こるかもわからぬし、稀に見るユニコーン。ケンタウロスであれば弓が得意だが、半人半馬となれば可能性がないこともない」
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