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破壊
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結局正月らしい正月もなく、もらえたのはお年玉だけ。天界にも約束通り帰れていない。連絡入ってるから問題は無いだろうが、そろそろあちらにも顔を出しておかないといけないなと思いつつも、バレンタインが終わるまでは動けない。
「ノア、バレンタインの商品もうでてるよね?クリスマスのをアレンジしたデザインのものも商品になったの?」
「なってます。売れ行きも上々だそうで、会社の方は三月の決算までは少し落ち着けるかと……」
「結月さん、バレンタイン終わったら一度天界に行きたいんだけど」
「構わんが、もし魔界か幻界で見つかった場合は兵を借りたい。その時は奏太が指揮を取れ」
「俺?」
「ああ、城の兵士達もお前の言うことも聞くし、幻魔界の兵は、治療など的確で優しくて勇敢な王子と崇めてるぞ?」
「何それ」
「配給や治療に界を関係なく動いてたからだと思います」
「そんな事で?大げさなんだから……」
今日と明日は会社は任せると言われ、朝から夕方まで会社。その後はバーへ行ってニコルを手伝う。
「奏太様、かなり慣れましたね?」
「ノアと開けてたから。それに簡単なものは俺にも作れるしね。ルーカスさんが裏の方してくれてたから、こっちも手伝ってとは言えなくて」
「言えばよかったのに……」
「何で?」
「あぁ、すいません。あちらはお客様が来るまで暇でしょう?そのあいだ手伝わせてたら良かったのになと思いまして」
「うん……そうなんだけどさ、色々手伝ってもらったから。あ!お客さんだよ?」
「いらっしゃいませ」
「一人なんですけど、カウンターでもいいですか?」
「はい。どうぞ」
注文を聞いてニコルがビールを出している間にナッツを出す。
「ありがとう。チョコレートとかあるかしら?」
「はい、お待ちください」
クラッシュ氷を細いグラスに入れ、チョコのポッキーを中に入れて出す。
「ここは……人は来ないのですか?」
「えーと」
「奏太様、この方幻界の方かと」
「そうなの?」
「はい。陛下への使いに。ここに来るように言われまして」
「少しお待ちください」と言ってノアを裏の部屋に連れていく。
「聞いてる?」
「いえ全く。取り敢えず電話してみましょうか」
電話すると、そんな奴はしらん!と切られてしまった。
「もう!」
ジリリリリ
「はい」
「奏太、そいつ女だったな」
「言ったじゃん」
「なにか飲んでるか?」
「ビール飲んでるけど……」
「だったら、薬品の所に眠薬がある。少し混ぜて出せ。それで連れてこい」
「何でだよ………陛下の使いって……」
「そんなもの頼んでない。もしかしたらあの二人を助けに来たかもしれんだろう?今はなんでも疑え。家も知られるのはあまり良くない」
「分かったよ」
電話を切ってノアに言うと、栓を開けた時に混ぜましょうと言われ、錠剤を隠し持って部屋から出る。
「すぐに来るそうですのでお待ちいただけますか?」
「時間がかかるなら場所を教えてもらえば行きますが」
「いえ、待ってて欲しいとの事でしたので。これはサービスです」とビールを出して注ぐ。
暫くは手をつけなかったが、諦めたのかぐいっと飲み干す。その後は手酌で飲んでいたが、一向に眠る気配はない。
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