天満堂へようこそ 6

浅井 ことは

文字の大きさ
上 下
99 / 127
正月

.

しおりを挟む
「ノア書いてあげたら?」

「ですが……」

「いいからいいから!」

サインをして握手すると満足したのか、ありがとうと言って帰っていく。

その後に食器を片付けに行って、売店でフランクフルトなどを買って車に持っていく。

「みんなで食べてよ?」

「プリン……」

「それは無いから!おやつあるだけましだろ?」

膨れているムーを放っておいて車を発進させる。スフィは気に入ったらしく数口で食べてしまい、ブランは少し大きくなって嘴でつついて食べている。

帰りは空いていたので楽に帰ることが出来、ただいまと帰ると、拗ねたムーはソファに寝転びプイッとしている。

「帰ったか」と結月に言われ、ムーがまた妖精と会って木の上に乗せられるいじわるをされたと報告する。

「またか!ついていくなと言ってるだろう?プリンはお預けだな!」

結月にまで言われ、「みんなの意地悪ー!」と走ってどこかに行ってしまったのでため息をつく。

「で、なにか分かったの?」

「ある程度はな!口が堅いのにもおかしいと思っていたら、体に魔法陣が刻まれていてな……喋ったらドカン!となる仕組みになっていた」

「そんなこと出来るものなの?」

「昔、そう言った魔法陣があったことは間違いないが、大昔封印されたはずのものだ」

「そんなものどうやって……」

「何とか解除したよ。そしたら話し出した。それに手こずってたんだ……」

「今どうしてるの?」

「結界で隔離してある。だから逃げることは出来ないが、流石にみんな疲れてるから少し休憩だ」

「そうなんだ。嵯峨野さんは?」

「何も話さない。が、そろそろルーカスの拷問が聞いてくる頃だと思う」

「そんな酷いことしてるの?」

「優しいものだ。精神的にじわじわと攻めてるだけだからな……」

「なんかイヤラシイな……」

「誰が嫌らしいんだよ!いつも俺がいないところで話が大きくなる」

「ルーカスさん、何したの?」

「奏太もするか?」

「は?何を?」

「魔界の拷問」

「む、無理!」

「天界でも拷問はあるぞ?やり方は聞いたことないけど」

「悪い人もいるって聞いてるから……」

「とにかくだ、あの女は親父より詳しく知ってるようだ。そろそろ話すと思うけど、俺も疲れたから休憩」

次の日は作業場に呼ばれ、地下に連れていかれる。

「血……の臭い?」

「気にするな。あらかた話したが、魔界と幻界の施設の場所を言わないんだ。奏太にはそれを聞き出してもらいたい」

「拷問とかできないよ?」

そんなことはしなくていいと言われ、新たに作った部屋なのか、檻の中に父親が。反対の部屋には鎖で繋がれたほぼ半裸に近い女が身体中に傷をつけて繋がれている。

「各部屋ごとに結界が張ってあるが、我々の魔法だけは効くようにしてある。頼んだぞ」

そう言って部屋を出ていくが、ノアと二人になりどうしたらいいのかと一先ず椅子に座って彼女の様子を見る。

「どうしよう……」

「お好きにされていいかと」

「ノアは経験あるの?」

「それなりには……これでも武人ですから」

「そうだった……取り敢えず、呼吸はしてるみたいだし、なにか食事持ってきてくれる?」

「食事ですか?」

「うん。スープとか軽いもので」

「分かりました。貰ってきます」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

婚約者の浮気相手が子を授かったので

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。 ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。 アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。 ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。 自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。 しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。 彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。 ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。 まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。 ※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。 ※完結しました

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

あなたの子ですが、内緒で育てます

椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」  突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。  夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。  私は強くなることを決意する。 「この子は私が育てます!」  お腹にいる子供は王の子。  王の子だけが不思議な力を持つ。  私は育った子供を連れて王宮へ戻る。  ――そして、私を追い出したことを後悔してください。 ※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ ※他サイト様でも掲載しております。 ※hotランキング1位&エールありがとうございます!

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

白い彼女は夜目が利く

とらお。
キャラ文芸
真夏の夜、涼しい風が吹くその場所で、彼女を見つけた。 何の変哲もない男子高校生、神埼仄は小学生の頃一目惚れした少女を忘れられずにいた。 そんなある日、一人の少女がクラスに転校してくる。 その少女は昔一目惚れしたその少女とそっくりで……。 それからだった。 彼の身の回りでおかしなことが起こり始めたのは。 ◆ ◇ ◆ ◇ 怪異に恋する現代和風ファンタジー。 貴方はそれでも、彼女を好きだと言えますか? 毎週水・土曜日、20時更新予定!

処理中です...