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正月
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「ふざけるなよ……お前何者だ?」
「そのうち分かるわよ。でも、コートの人。その人が来てるから帰るわ」
言うだけ言って窓からすっと消えてしまい、ムーを守ってくれたエールラにお礼を言う。
「ブランは出ておいで。スフィの背中にいるんだろ?」
「クキョォ……」
「もう怖いのいないから、おいで」
パタパタと飛んできて肩に乗るので、そのままリビングに座り、コーヒーを入れてもらってやっと寛ぐ。
ムー?と呼ぶと、半べそ状態で足元で丸まり、スフィが事の起こりを全部話してくれた。
帰ってくる少し前、寝室に入ってみんなでウトウトとしていたら、何かの術を使った気配があり、それは結月の魔力と違うと感じたので、警戒をしていた。
だが、気がついた時には目の前におり、ムーを捕まえようとしてきたので仕方なくエールラを呼んでムーを保護してもらい、近づかないように牽制していたら2人が帰ってきた。
「それ以外何も無い?」
「特には。やはりその匂いの付いているものは捨てた方がよかろう?」
「いや、一度来たところには何度でも来る。入ったことのない場所には無理だそうだが。陛下はまだこちらに来られんのか?」
「明日か、早くてももうすぐだと思うけど」
「面識がおありですか?」
「直にではないが、依頼者と陛下がお知り合いだ」
「待ってる?」
「流石にそれは……」
暫くするとルーカスとニコルも帰ってきて、結月がまだかと聞くと、もう来るだろう?と言われる。
もしかしたら年明けてからしか来ないかもと思いながら窓を閉めようと思ったら、キヒヒヒヒヒヒッと気持ち悪い声が聞こえ、バタンと窓を閉める。
「き、きたよ?」
「どうしました?」
「今の聞こえなかったの?」
どれ?とルーカスが窓を開けると、イーーーーッヒッヒッヒッ!ハーッハッハッハ!ヒャッホーーー!と大声で叫んでいる声が聞こえ、方向的に作業部屋だとみんなで向かう。
「結月さん!」
「おお、ハッピーニューイヤーだな!」ととてもご機嫌で麻袋を三つ抱えている。
「ねぇ、その袋は聞かなくてもわかるけど!あの子が家まできたんだよ!」
「追い返したんだろ?」
「嫌な予感がして帰ったら、部屋にいたんだけど」
「その男は?」
「お初にお目にかかります。木の書庫よりまいりましたものでございます」
「あぁ、使いはお前なのか」
「どういう事?」
「まぁ待て。布切れは持ってるか?」
ノアが渡すと、ぼっと火がつきすぐに消えてなくなる。
「説明してよね!」
「あれから城の方も大変でな、使者を送って色々と調べてたんだ。あの女は、私がいなくなった書庫の奥、研究室にいた奴らの中に夫婦がいたらしく、その子供だそうで、違う場所で研究を続けていたらしい」
「全部の界と繋がってるってスフィが言ってたけど」
「ユーリ!」
「はい。これで最後の麻袋です」
「ユーリさん!もう体はいいの?」
「もう全快です。ご心配をお掛けしました」
「ユーリ、細かいことは説明してやってくれ。私は家の周りに結界を貼り直してくる」
「関係ないって言ってたけど」
「ふん、私もただで閉じ込められていた訳じゃない。あの女が入れなくするくらい容易いが、一部穴を作っておびき出すとしようか」
「意味がわかんないんだけど」
「そこのオッサン、作業場の奥の部屋に泊まってくれ。その辺りに穴を作っておく。捕まえたら捕縛。調べはそちらとこちらとで行えばいいだろう?」
「そのうち分かるわよ。でも、コートの人。その人が来てるから帰るわ」
言うだけ言って窓からすっと消えてしまい、ムーを守ってくれたエールラにお礼を言う。
「ブランは出ておいで。スフィの背中にいるんだろ?」
「クキョォ……」
「もう怖いのいないから、おいで」
パタパタと飛んできて肩に乗るので、そのままリビングに座り、コーヒーを入れてもらってやっと寛ぐ。
ムー?と呼ぶと、半べそ状態で足元で丸まり、スフィが事の起こりを全部話してくれた。
帰ってくる少し前、寝室に入ってみんなでウトウトとしていたら、何かの術を使った気配があり、それは結月の魔力と違うと感じたので、警戒をしていた。
だが、気がついた時には目の前におり、ムーを捕まえようとしてきたので仕方なくエールラを呼んでムーを保護してもらい、近づかないように牽制していたら2人が帰ってきた。
「それ以外何も無い?」
「特には。やはりその匂いの付いているものは捨てた方がよかろう?」
「いや、一度来たところには何度でも来る。入ったことのない場所には無理だそうだが。陛下はまだこちらに来られんのか?」
「明日か、早くてももうすぐだと思うけど」
「面識がおありですか?」
「直にではないが、依頼者と陛下がお知り合いだ」
「待ってる?」
「流石にそれは……」
暫くするとルーカスとニコルも帰ってきて、結月がまだかと聞くと、もう来るだろう?と言われる。
もしかしたら年明けてからしか来ないかもと思いながら窓を閉めようと思ったら、キヒヒヒヒヒヒッと気持ち悪い声が聞こえ、バタンと窓を閉める。
「き、きたよ?」
「どうしました?」
「今の聞こえなかったの?」
どれ?とルーカスが窓を開けると、イーーーーッヒッヒッヒッ!ハーッハッハッハ!ヒャッホーーー!と大声で叫んでいる声が聞こえ、方向的に作業部屋だとみんなで向かう。
「結月さん!」
「おお、ハッピーニューイヤーだな!」ととてもご機嫌で麻袋を三つ抱えている。
「ねぇ、その袋は聞かなくてもわかるけど!あの子が家まできたんだよ!」
「追い返したんだろ?」
「嫌な予感がして帰ったら、部屋にいたんだけど」
「その男は?」
「お初にお目にかかります。木の書庫よりまいりましたものでございます」
「あぁ、使いはお前なのか」
「どういう事?」
「まぁ待て。布切れは持ってるか?」
ノアが渡すと、ぼっと火がつきすぐに消えてなくなる。
「説明してよね!」
「あれから城の方も大変でな、使者を送って色々と調べてたんだ。あの女は、私がいなくなった書庫の奥、研究室にいた奴らの中に夫婦がいたらしく、その子供だそうで、違う場所で研究を続けていたらしい」
「全部の界と繋がってるってスフィが言ってたけど」
「ユーリ!」
「はい。これで最後の麻袋です」
「ユーリさん!もう体はいいの?」
「もう全快です。ご心配をお掛けしました」
「ユーリ、細かいことは説明してやってくれ。私は家の周りに結界を貼り直してくる」
「関係ないって言ってたけど」
「ふん、私もただで閉じ込められていた訳じゃない。あの女が入れなくするくらい容易いが、一部穴を作っておびき出すとしようか」
「意味がわかんないんだけど」
「そこのオッサン、作業場の奥の部屋に泊まってくれ。その辺りに穴を作っておく。捕まえたら捕縛。調べはそちらとこちらとで行えばいいだろう?」
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