天満堂へようこそ 6

浅井 ことは

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正月

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何を話しているのか気になったが、オバサマ軍団の盛り上がりは最高潮となり、普段はなかなか降りないボトルも何本も出ていく。

シャンパンが空いたので、他のグラスを下げて洗い、追加でチーズの盛り合わせを出して持って行く。

「ねえ、大丈夫なの?」

「どっちが?」

「全て?カマちゃんも後でお店に連れていくんでしょ?かなり酔ってるみたいだし」

「テンションが高いだけよ?店ではもっと凄いんだから。一緒にくる?」

「辞めとく。まだ終わらないし、明日も予約入ってるから準備しないと」

「明日で年末の営業は終わりよね?」

「うん」

「いつから開けるの?」

「3日からだよ。あっちの予約も同じって聞いてる」

「そう言えば、テレビに出るって聞いたけど、放送の時は教えてね?予約しちゃうわ」

「辞めてよ……ってなんで知ってるの?」

「パーティに居たもの。男の格好で!分からなかったでしょ?」

「嘘!うちの会社関係だったの?」

「そう、子会社だけど殆どのつなぎは私がしてるのよ?」

いつもはピアスをジャラジャラとつけ、派手な格好をしているが、普通の格好をされてたら分からないかもしれない。

「カマさんてよんでるけど、本当は何?」

「オカマのカマさんでいいじゃない。でも、敵じゃないわよ?幻界の新王に仕えてるから。ふふっ」

最後の笑いで話が台無しだと思いながら、これ以上聞くのもと思って、下げるものは下げカウンターからノアに渡す。

カマちゃんたちが帰ってから、ポツポツとお客さんも来て洗い物から酒作り、さらにフードメニューも出てそれなりに忙しく、なんとか終わることが出来た。

食器を拭いていると、扉からルーカスが出てきて、先に帰っててくれと言ってきたので、戸締りを頼んで家に帰る。

「もうだめ!もう4時だよ?お昼くらいに起きてもいいのかな?」

「会社は休みなので大丈夫です。寒いのでお風呂は室内で」

「いい、起きたら入る。もう眠くって!なれない仕事は疲れるよ。やっぱり俺は薬屋の奏太がいちばんいいな」

「正月明けに見に行ってみましょうか?まだ同じ店長の筈ですよ」

「行く!その時ドックランも寄ろうよ……あ!ムーが治ってからだな」

「見た感じはもう何ともなさそうですけど、首はまだ痛むようですね」

「あの子が無茶に扱うからだよ!」コーヒーを受け取って飲み、ひとまず寝ようと寝室へ行く。

ピクッとみんな帰ってきたのがわかったのか反応したが、そのままベッドにゴロンの寝転ぶとすぐ寝入ってしまった。

起きたら12:00を回っており、遅めのご飯を食べる。

「今日で最後でしょ?お正月は初詣行く?」とノアに聞くと、それは何ですか?と聞かれるので説明をし、人が少ない時間に行こうと決めてから、いつものように食後のコーヒーを貰い寛ぐ。

「冷たいコーヒーばかりで体が冷えませんか?」

「熱いの苦手なんだもん」

リビングの戸が開いたので、ルーカスだろうと思ったら、ニコルが入ってきた。

「ニコルさん!まだ寝てなくていいの?」

「もうすっかり良くなりました。今夜は私も手伝います」

「駄目よ!姫様に私が怒られちゃう!」

「いいんじゃないか?傷ももう治ってるし、薬ももうない。みんな甘やかしすぎだ」

「ルーカスさん、ほんとにいいの?」

「構わん!部屋で剣を振られるよりよほどマシだ」
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