86 / 127
正月
.
しおりを挟む
結月が帰って、幻界での調査の返事を待つものの、やはり忙しいのだろう。こちらは待つと決め、邪魔しないように連絡をするのはやめておいた。
一週間の間にムーもすっかり元気になり、ブランの羽も綺麗に生えてきて、赤みもすっかり引いて元気に毎日遊んでいる。
「ねぇ、バーの……何やってんの?」
一階のリビングに行くと、無言で針と糸を持って何かを縫っているノアが居たので、思わず持っていた紙を落としそうになってしまった。
「あの、これはその……」
「雑巾?」
「姉に言われまして」
「それにしても、ガタガタじゃん。ちょっと貸して」と取り上げ、少し解いてチクチクと縫う。
「ほら!」
「お上手ですね」
「だって、一人暮らし長かったし、学校でもやらされたから」
テーブルに古くなったタオルが置いてあり、すべて縫うように言われたらしく、手分けして縫おうと半分受け持つ。
「ノア出来た?……ええ?奏太様、やめてください!それは下々の仕事ですから」
「いいよ?たまには楽しいし。それに、半分にしたのにノア遅いんだもん。はいこれ、そんなに綺麗にはできてないけど」
「ありがとうございます。もう、ノアは剣ばっかりで家の仕事サボるから出来ないのよ!」
「すいません」
「得手不得手はあるんだから仕方ないよ。他に仕事ある?」
「いえ」
「じゃあ、ノア借りるね」
ゆっくり話せた方がいいと仕事部屋まで行き、年末のバーのパーティの買い出しとメニューを決め、買い出しを今日して置きたいと言う。
「そうですね。冷凍できるものはしておかないと間に合わないかも知れません」
まだ昼前だったので、エールラも誘って買い出しへと行く。
ガレージへ行き小さくても荷物は結構乗るのでと、ミニクーパーで買出しに出かける。
街にあまり出たことのないエールラは、車に乗るのも初めてで、勝手に動くと後ろでキャーキャー言っていた。
「お、お願い静かにして?俺、試験の後車運転するの初めてなんだから!」
「奏太様、やはり変わりましょうか?」
「慣れだって聞いてるからもう少し頑張るよ。それにもうスーパーつくし」
何とか駐車場に止めるも、近くなのにものすごく疲れたと笑いながらノアに言い、スーパーの中に入る。
「これ、買い物リスト。二手に分かれる?」
「そうですね。姉さんはお菓子と食材どちらが見たいですか?」
「食材かな?あちらとは違うから、果物とか興味があるの」
「じゃあ、俺と回ろう。ノア、お菓子多めにお願いね」
カートを引いて二手に分かれて野菜コーナーへと行くと、すぐに苺の香りに惹かれたのかフワフワと寄っていく。
「なんて甘い香り……それに可愛い」
「1パック買おうか?この練乳とか、砂糖つけて食べても美味しいんだよ」と買い物カゴに入れる。
一週間の間にムーもすっかり元気になり、ブランの羽も綺麗に生えてきて、赤みもすっかり引いて元気に毎日遊んでいる。
「ねぇ、バーの……何やってんの?」
一階のリビングに行くと、無言で針と糸を持って何かを縫っているノアが居たので、思わず持っていた紙を落としそうになってしまった。
「あの、これはその……」
「雑巾?」
「姉に言われまして」
「それにしても、ガタガタじゃん。ちょっと貸して」と取り上げ、少し解いてチクチクと縫う。
「ほら!」
「お上手ですね」
「だって、一人暮らし長かったし、学校でもやらされたから」
テーブルに古くなったタオルが置いてあり、すべて縫うように言われたらしく、手分けして縫おうと半分受け持つ。
「ノア出来た?……ええ?奏太様、やめてください!それは下々の仕事ですから」
「いいよ?たまには楽しいし。それに、半分にしたのにノア遅いんだもん。はいこれ、そんなに綺麗にはできてないけど」
「ありがとうございます。もう、ノアは剣ばっかりで家の仕事サボるから出来ないのよ!」
「すいません」
「得手不得手はあるんだから仕方ないよ。他に仕事ある?」
「いえ」
「じゃあ、ノア借りるね」
ゆっくり話せた方がいいと仕事部屋まで行き、年末のバーのパーティの買い出しとメニューを決め、買い出しを今日して置きたいと言う。
「そうですね。冷凍できるものはしておかないと間に合わないかも知れません」
まだ昼前だったので、エールラも誘って買い出しへと行く。
ガレージへ行き小さくても荷物は結構乗るのでと、ミニクーパーで買出しに出かける。
街にあまり出たことのないエールラは、車に乗るのも初めてで、勝手に動くと後ろでキャーキャー言っていた。
「お、お願い静かにして?俺、試験の後車運転するの初めてなんだから!」
「奏太様、やはり変わりましょうか?」
「慣れだって聞いてるからもう少し頑張るよ。それにもうスーパーつくし」
何とか駐車場に止めるも、近くなのにものすごく疲れたと笑いながらノアに言い、スーパーの中に入る。
「これ、買い物リスト。二手に分かれる?」
「そうですね。姉さんはお菓子と食材どちらが見たいですか?」
「食材かな?あちらとは違うから、果物とか興味があるの」
「じゃあ、俺と回ろう。ノア、お菓子多めにお願いね」
カートを引いて二手に分かれて野菜コーナーへと行くと、すぐに苺の香りに惹かれたのかフワフワと寄っていく。
「なんて甘い香り……それに可愛い」
「1パック買おうか?この練乳とか、砂糖つけて食べても美味しいんだよ」と買い物カゴに入れる。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
白い彼女は夜目が利く
とらお。
キャラ文芸
真夏の夜、涼しい風が吹くその場所で、彼女を見つけた。
何の変哲もない男子高校生、神埼仄は小学生の頃一目惚れした少女を忘れられずにいた。
そんなある日、一人の少女がクラスに転校してくる。
その少女は昔一目惚れしたその少女とそっくりで……。
それからだった。
彼の身の回りでおかしなことが起こり始めたのは。
◆ ◇ ◆ ◇
怪異に恋する現代和風ファンタジー。
貴方はそれでも、彼女を好きだと言えますか?
毎週水・土曜日、20時更新予定!
後宮の記録女官は真実を記す
悠井すみれ
キャラ文芸
【第7回キャラ文大賞参加作品です。お楽しみいただけましたら投票お願いいたします。】
中華後宮を舞台にしたライトな謎解きものです。全16話。
「──嫌、でございます」
男装の女官・碧燿《へきよう》は、皇帝・藍熾《らんし》の命令を即座に断った。
彼女は後宮の記録を司る彤史《とうし》。何ものにも屈さず真実を記すのが務めだというのに、藍熾はこともあろうに彼女に妃の夜伽の記録を偽れと命じたのだ。職務に忠実に真実を求め、かつ権力者を嫌う碧燿。どこまでも傲慢に強引に我が意を通そうとする藍熾。相性最悪のふたりは反発し合うが──
未亡人クローディアが夫を亡くした理由
臣桜
キャラ文芸
老齢の辺境伯、バフェット伯が亡くなった。
しかしその若き未亡人クローディアは、夫が亡くなったばかりだというのに、喪服とは色ばかりの艶やかな姿をして、毎晩舞踏会でダンスに興じる。
うら若き未亡人はなぜ老齢の辺境伯に嫁いだのか。なぜ彼女は夫が亡くなったばかりだというのに、楽しげに振る舞っているのか。
クローディアには、夫が亡くなった理由を知らなければならない理由があった――。
※ 表紙はニジジャーニーで生成しました
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる