天満堂へようこそ 6

浅井 ことは

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人間界1

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「奏太君、ぶたうさぎとってー」

「何色のやつ?」

「赤いのー」

おもちゃ箱から出すと、他のウサギよりボロボロになっているから、相当気に入ってるんだろう。

「また新しいの買ってあげるから」

「この子でいいのー。お友達だもん」

「そっか、でも他のブタウサとも遊んでやれよ?」

「はーい」

前足で器用に抱っこして眠ってしまったので、リビングへと移動し、ペットボトルのコーヒーを冷蔵庫から出して、グラスに入れて二人に渡す。

「あのさ、魔界ってイメージ的に怖いところって思ってたんだ。映画とかゲームとか見てるとそんなイメージで。でもすっごく普通だったよね?街とか」

「お前の来た道はある程度落ち着いてるところだったからな。外れの村は愛想が悪かっただろ?」

「悪いって言うよりも、ビックリしてたよ?地図とか買ったから、旅の人か?って言われたし」

「今度来る時はだいぶ落ち着いてると思うから、もう少しマシになると思うが、まさか良く言われる地獄と思ってたんじゃないか?」

「うん、針の山とかそんなのがあると思ってた」

「ある所にはあるぞ?」

「え?何処にあるの?」

「こっちで言う様な感じとは違うが、各エリアの奥に幾つかあるんだよ」

「わ、私……そんな怖いところにお嫁に行けません!」

「えぇ?」

「俺の管轄の街は奏太が来ても大丈夫だったくらいいい街だから安心していい」

「ちょっと、結婚するの?」

「例え話です!ルーカス様には各町に女性がいると弟から聞いてますし、浮気性の男性は嫌いです」

二人を見るとルーカスは笑っているし、エールラもそんなに嫌っているようには見えない。

「お、俺、なんにも聞かなかったことにする……」

「応援してくれよ」

「エールラさんの言うことも当たってるし、精算したら応援するよ?」

「参ったな……もうしてあるんだがな?信じてくれないんだよ」

「嘘はついておらんようだぞ?」

「スフィしかわかってくれる奴がいない俺って……」

「ニコルさんとかにも聞いてみたら?」

「そんな恥ずかしいこと出来ません……それに、私は幻界人ですから、界をまたいでの婚姻はできないと聞いてますし」

「それ、結月さんがなんとかしようとしてるやつじゃなかったっけ?」

ただいまーと結月が帰ってきたので、スフィから聞いたことを話、見てもらう。

「こいつ凄いな……見立ては完璧だ。私は薬を作ってくる。そのまま冷やしておいてやれ」

「うん」

「あのー」

「ブラン?何?」

「ずっと小さくなってたんですが」

「うん」

「実は大きくなると前に羽をむしられたところが痒くて……」

「早く言えって。だから日向ぼっこしてたの?」

「早く生えるかなーと」

おいでとブランを抱いて作業部屋に行き、結月の毟ったところを見せる。

「無理やりしたからこうなったんだろ?ブランのここ、赤くなってるし!治さなかったら薬取り行かさないからね?」

「わかった!見せてみろ」とブランの羽を持ち上げる。

「痛っ!」

「なに?」

「産毛が生えてるからちょっともらおうかと……」

「は・や・く!薬!」

「すまん……」

その後出来た薬をブランに塗り、かくなよ?と言って部屋に連れていく。羽は生えて来ていたが、赤くなっているところは見ているだけで痛痒そうだったので、冷やす?と聞くと、大丈夫と言われたので、ムーが起きたら教えてと少し眠るようにいい、みんなのところへ戻る。
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