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人間界1
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「奥様はどちらに?」
「家内はあちらのテーブルで食事を。女性同士話に花が咲いているようで」
「そうでしたか。お嬢さまもなにかお召し上がりになられては?ここの食事は私も食べましたが美味しかったですよ?」
「要らないわ。それより、奏太さんと話したいのだけど」
「申し訳ございません。副社長はこの後もいくつか回る所がありまして」
「そこでボーッと立ってるだけじゃないの」
「あれは、私を待って居るだけです。副社長の知らない方も見えますから、案内をしないとと思いまして」
「私の見合い相手なんでしょう?食事の日取りは決まったの?お父様!」
「いや、まだだが……」
「その事なのですが、先程副社長がお嬢様とお話された際、まだ高校生と言うことで、学園生活を優先にとお断りを入れて欲しいとおっしゃいまして。私共も残念ではありますが、お嬢様も副社長もまだ10代ですので急がなくてもと……」
「それもそうですな」
「上手く言ってくれてるね」
「これなら大丈夫でしょう」
「……嫌」
「はい?」
「私はあの人に決めたのよ。お父様いつも何とかしてくれるじゃない。子供扱いなんて酷いわ」
「そうは言っても、あちらのお考えもあるんだから今回は……」
「諦めないわ」
そう言って広間から出ていってしまった。
その後帰ってきたルーカスが、「本当に何もしてないのか?」と聞いてくるのでしてないと答え、なんだあの娘はと怒っていた。
その後いくつか回って挨拶を済まし、ムーを連れて控え室に帰り、冷たいコーヒーをもらって一息つく。
「ルーカスさん、何か感じた?」
「ああ、ヒシヒシと執着心て言うのを感じたよ」
「そっちじゃなくて」
「俺にもわからんな……単にモデル奏太のファンなら問題は無いが、魔力も何も感じなかったし、匂いも人間そのもの。薬を使えば多少は俺でもわかると思ったが、怒っても瞳の色も変わらないし、ただの人間なんじゃないか?」
「でも、人間の匂いじゃなかったもん!」とムーが噛まずにルーカスに意見する。
「俺、噛まれなかったの初めてかも……」
「ルーカス様、そこは感激するところではありませんが……」
「だからスフィ君に会わせたらいいんだよっ!」
「ムーはなんでそこまで思うの?」
「んー?匂い!」
「奏太、偶然会いましたって言うのはどうだ?普段は散歩なんてしないだろうけどさ、犬の散歩装っていったらバレないし、スフィにも匂いを嗅いでもらえるだろう?」
「そうするしかないかなぁ?スフィにも一度聞いてみないと」
ノアにも人じゃなかったとまだ言い張っているムーに、もう帰る?と聞くと、今度はヤダ!と言われ、さっさと会場に戻ってしまった。
会場には結月が居るから、気配で追ってはくれるだろうが、こういう時に、ユーリとニコルが居ないのが残念でならない。
「家内はあちらのテーブルで食事を。女性同士話に花が咲いているようで」
「そうでしたか。お嬢さまもなにかお召し上がりになられては?ここの食事は私も食べましたが美味しかったですよ?」
「要らないわ。それより、奏太さんと話したいのだけど」
「申し訳ございません。副社長はこの後もいくつか回る所がありまして」
「そこでボーッと立ってるだけじゃないの」
「あれは、私を待って居るだけです。副社長の知らない方も見えますから、案内をしないとと思いまして」
「私の見合い相手なんでしょう?食事の日取りは決まったの?お父様!」
「いや、まだだが……」
「その事なのですが、先程副社長がお嬢様とお話された際、まだ高校生と言うことで、学園生活を優先にとお断りを入れて欲しいとおっしゃいまして。私共も残念ではありますが、お嬢様も副社長もまだ10代ですので急がなくてもと……」
「それもそうですな」
「上手く言ってくれてるね」
「これなら大丈夫でしょう」
「……嫌」
「はい?」
「私はあの人に決めたのよ。お父様いつも何とかしてくれるじゃない。子供扱いなんて酷いわ」
「そうは言っても、あちらのお考えもあるんだから今回は……」
「諦めないわ」
そう言って広間から出ていってしまった。
その後帰ってきたルーカスが、「本当に何もしてないのか?」と聞いてくるのでしてないと答え、なんだあの娘はと怒っていた。
その後いくつか回って挨拶を済まし、ムーを連れて控え室に帰り、冷たいコーヒーをもらって一息つく。
「ルーカスさん、何か感じた?」
「ああ、ヒシヒシと執着心て言うのを感じたよ」
「そっちじゃなくて」
「俺にもわからんな……単にモデル奏太のファンなら問題は無いが、魔力も何も感じなかったし、匂いも人間そのもの。薬を使えば多少は俺でもわかると思ったが、怒っても瞳の色も変わらないし、ただの人間なんじゃないか?」
「でも、人間の匂いじゃなかったもん!」とムーが噛まずにルーカスに意見する。
「俺、噛まれなかったの初めてかも……」
「ルーカス様、そこは感激するところではありませんが……」
「だからスフィ君に会わせたらいいんだよっ!」
「ムーはなんでそこまで思うの?」
「んー?匂い!」
「奏太、偶然会いましたって言うのはどうだ?普段は散歩なんてしないだろうけどさ、犬の散歩装っていったらバレないし、スフィにも匂いを嗅いでもらえるだろう?」
「そうするしかないかなぁ?スフィにも一度聞いてみないと」
ノアにも人じゃなかったとまだ言い張っているムーに、もう帰る?と聞くと、今度はヤダ!と言われ、さっさと会場に戻ってしまった。
会場には結月が居るから、気配で追ってはくれるだろうが、こういう時に、ユーリとニコルが居ないのが残念でならない。
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