天満堂へようこそ 6

浅井 ことは

文字の大きさ
上 下
78 / 127
人間界1

.

しおりを挟む
「じゃあ、俺戻るからここでゆっくりしてたらいいよ。じゃあね」と立ち上がり、ムーに行くよと言って席を後にする。

「待って!こんな所に女の子1人置いていくと副社長としての立場が悪くなるんじゃない?」

「俺、そう言うの気にしてないから」

ノアにも早くと急かしその場を後にして、すぐに裏の待機室へと向かう。

「ノア……俺に見合いは無理だよ」

「ですが、お断りするのにも姫の許可が必要になります」

「でも、ムーが人じゃ無いって。だからずっとどの界の人なんだろうって気になってたんだよね。まだリアムさんの事もあるし」

「そうですね……ムーさん、何か感じました?」

「んー!何にも!」

「なんにもってお前……」

「でも、匂いは人間じゃなかったのはわかったよ?スフィ君ならもっとなにか分かったかもしれないけど。スフィ君の方がもっとお鼻がいいもん」

「そうなんだ」

話していると、係の人から結月が探していると言われたので、ホールに戻ると、みんな料理やお酒などを持って談笑しているところだった。

「何?」

「何でいなくなるんだ?探すの面倒だろ?」

「だって……」

「あのねー。お見合いの人が人間じゃなかったんだよー?」

「は?そんな気配は感じなかったが」

「でも違ったのー」

「ムーは各界の血が入ってるから、どこの者か分かったのか?そこら辺の犬より敏感なはずだが」

「分かんなかった……でも、違ったの!」

「そこまで言うならそうなんだろう。魔力も感じなかったから、もしかしたら薬かもな」

「そっか!薬なら消せるよね……あのさ、見合い断っていいでしょ?それ言ったら、結月さんが困るんじゃないかって思ったんだけど」

「何も困らんわ!それより、どこの界の人なのかは私も興味があるな。匂いを消してまで奏太に近付ける奴はそういないだろう。ユーリなら、動作で判断したりするが、細かいことは私も苦手だからな……」

「この話ってルーカスさんが持ってきたんでしょ?」

「いや、最初は私が聞いた。断ったが1度だけと言われたんで、ルーカスにあとは任せたままだったんだ」

さっき話してた内容を一応伝え、用事が何かと聞く。

「あぁ、パーティにペットフードを扱ってる会社の人が来てて、新作をムーにどうかって言ってきたんだ。ほら、あのプリンの会社の親会社だ」

「え?プリン?」

「ムーも俺も何も食べてないよ?」

「なら、着いてきてくれ。何でも大物俳優とか言うのが愛犬家らしくて、ムーに会いたがってるしな」

「ムーがバラエティに出ればいいと思う……」

「話せないだろ?」

俺はいつご飯が食べれるんだろうと思いながら後ろをついていくが、プリンと聞いたムーは御機嫌だ。
それに、結月が言ってくるのだから何も問題はないだろう。

「プリン~」とスキップするようにトコトコついていく姿は、誰が見ても可愛いだろう。

「ムーってプリンあげるって言われたらついていきそうじゃない?」

「流石にそれは……有り得ますね」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

処理中です...