天満堂へようこそ 6

浅井 ことは

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人間界1

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パーティはクリスマスソングがメインだが、合間にはクラッシックも流れ落ち着いた雰囲気で始まった。

予定通り、最初は結月・ルーカス達と一緒に周り、ムーもどことなく胸を張って歩いていた。

「奏太、あそこにいるのが見合い相手だ」

ルーカスに言われて見ると、白いドレス姿の女の子が目に入った。
父親も母親も穏やかそうな感じだからか、その娘もおっとりとした感じと言うのが第一印象。
それでも歳はまだ高校2年生になっているくらいだろう。

「ほら、向こうも俺たちを見つけたみたいだな。行くぞ」

「え?ちょっと待ってよ……」

ついて行くしかなく、挨拶しているルーカスの後ろに隠れ、後ろにノアがいるのも確認して、ちょっと下を向く。

「奏太」

「はい?」

「話聞いてなかったのか?こちらのお嬢さんは高校1年生だそうだ。お前と同じ高校に通っているそうで、テニス部らしい」

「あ、初めまして」

「初めまして。嵯峨野 夏希と申します」

「多部 奏太です」

「じゃあ、俺は他にも挨拶してくるから……年も近いんだし仲良くしろよ?」

仲良くと言われても、あまり女の子と話したことは無い。かと言ってムーの話ばかりしてもと考えていたら、「ここから出たらダメですか?」と聞かれる。

「あまり出ない方がいいと思うけど、どうかした?」

「凄い人ばかりだから緊張してしまって。芸能人の人が来るとか聞いてませんでしたから」

「あ、敬語使わなくていいよ?年も近いし。三つ違うんだよね?」

「はい」

「あっちの椅子のところなら空いてるけど、両親から離れても大丈夫?」

「大丈夫。話に夢中で私の方は見てないから」

その言い方が気になったが、ドリンクをもらって椅子に座り、ムーにも水をお願いと係の人に頼む。

「ムーちゃん、学校で人気なの。かわいいって」

「わぅ!」

気を使ってくれているのかムーが足元に擦り寄っていくので、ごめんねと離しにかかるが、珍しく離れてくれない。

「ムー!ダメだよ」

『この子人の匂いとちょっと違うよ?』

と聞こえてくるので、ごめんねと謝ると、撫でてもいいかと言うので、顎が特にお気に入りだと教える。

ノアも聞いていたらしく、少し警戒しながらも黙って後ろについていてくれる。

「私、お見合いって聞いて、どんなおじさんに合わされるのかと思ってたの。若くてよかった」

「おじさん?前にもお見合いしたことあるの?」

「2回。今月だけで3回目……」

「そうなんだ。あのさ、断ってくれていいから」

「なんで?」

「何でって、まだ高校生でしょ?部活だって、学校もこれから楽しくなるのに勿体ないよ」

「私、あなたなら構わないけど」

「俺は……まだ、そんな気無いし」

『奏太様、本格的な見合いの日はまだ少し先ですけど……』
『人じゃないなら余計に早く断るに限るでしょ?』

ムーに言われてから、どこの界の人なのかずっと気になっていたが、結月も何も言わないとなると、知っているか、相手が隠すのが上手いのだろう。
だが、結月はそうそう騙される人ではない。魔法陣か魔法、どちらでも使えば敏感だ。
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