76 / 127
人間界1
.
しおりを挟む
出してとごねられるが、流石に会社の車の中で出すわけにもいかないので、ご褒美にかぼちゃのプリンをあげると言って誤魔化す。
「奏太くん、僕はどこにいればいいの?」
「聞いてないからわからないんだけど、俺の横にいればいいと思うよ」
「わかったー」
「でもさ、挨拶に回るんならムーも一緒でいいのかな?」
「会社のイメージキャラクターですから問題はないでしょう。それに私も側にいますのでご心配なく」
会場についてからは、控室に行かされ、最終確認が終わったと同時に着替えさせられる。
普通のスーツだが、何となく派手に思えたのを気のせいだと思いこんで、入口の前でお客様を出迎える。
その中にはテレビで見たことのあるアイドルや俳優などもおり、こっそりとノアに聞くと天満堂商品の株主であり、商品の愛用者でもあると聞かされた。
アイドルや女優などは化粧品も使っているらしく、副社長とモデルとの立場から挨拶されるので、握手を交わし、ムーに至ってはみんなから頭を撫でられたり、体を触られたりで、もう帰りたいと頭の中に泣き言が聞こえてくる。
殆どの客を出迎えたころに、舞台の方で社長からの挨拶と紹介され、結月が暗記してきたであろう挨拶をし、拍手をしていたところで『それでは、副社長であり、当社のイメージモデルでもあります多部奏太様と、同じくイメージモデルの愛犬のムー様にご登場いただきます』
「はい?」
「私も聞いておりませんでした。まだモデルの方は発表しないと思っていましたので……」
「とにかく早く行け」とルーカスに言われ壇上へと向かうが、何を話せばいいのかすっかり緊張してしまい、逃げようとするムーを無理矢理抱いて壇上へと上がる。
拍手の後お辞儀をすると、司会の人がいくつか質問するので答えてくれるだけで良いと言うので、分かったと言ってマイクの前に立つ。
『初めての人前だと思うので自己紹介からお願いできますでしょうか』
「えっと、初めまして。多部奏太です。この子はジャックラッセルテリアのムーンと言います。よろしくお願いいたします」
「わぅ!」
ムーが合わせてくれたのでラッキーと思いながらいくつか質問に答えていく。趣味や特技、好きな食べ物など、ほとんどムーの趣味などばかり話して終わり、もう降ろしてくれと思ったところで、『これからはCMやバラエティ番組などにもタレントとしてデビューされると聞いています。ご活躍期待しています!』
はぁ?とつい念話をみんなに送ってしまい、結月の顔を見るとニヤニヤ笑っていたので絶対知っていたなと睨み返す。
「結月さん!なんで教えてくれなかったんだよ!」
「言ったらお前断るだろう?」
「当たり前じゃん。それに何?CMって」
「それは前から話は出てたんだ。年明けだろうと思ってたんだが、商品の人気が落ちる前のがいいと思ってな」
「バラエティは?」
「それも同じだが、番組は収録のやつにしたから楽しんで稼いで来い!」
「ムーも?」
「最初は一緒だが、お前意外と人気あるんだよ。今のうちに稼ぎ頭になってもらわないとな!ハーッハッハッハ」
「姫様、今その笑いは……」
「奏太くん、僕はどこにいればいいの?」
「聞いてないからわからないんだけど、俺の横にいればいいと思うよ」
「わかったー」
「でもさ、挨拶に回るんならムーも一緒でいいのかな?」
「会社のイメージキャラクターですから問題はないでしょう。それに私も側にいますのでご心配なく」
会場についてからは、控室に行かされ、最終確認が終わったと同時に着替えさせられる。
普通のスーツだが、何となく派手に思えたのを気のせいだと思いこんで、入口の前でお客様を出迎える。
その中にはテレビで見たことのあるアイドルや俳優などもおり、こっそりとノアに聞くと天満堂商品の株主であり、商品の愛用者でもあると聞かされた。
アイドルや女優などは化粧品も使っているらしく、副社長とモデルとの立場から挨拶されるので、握手を交わし、ムーに至ってはみんなから頭を撫でられたり、体を触られたりで、もう帰りたいと頭の中に泣き言が聞こえてくる。
殆どの客を出迎えたころに、舞台の方で社長からの挨拶と紹介され、結月が暗記してきたであろう挨拶をし、拍手をしていたところで『それでは、副社長であり、当社のイメージモデルでもあります多部奏太様と、同じくイメージモデルの愛犬のムー様にご登場いただきます』
「はい?」
「私も聞いておりませんでした。まだモデルの方は発表しないと思っていましたので……」
「とにかく早く行け」とルーカスに言われ壇上へと向かうが、何を話せばいいのかすっかり緊張してしまい、逃げようとするムーを無理矢理抱いて壇上へと上がる。
拍手の後お辞儀をすると、司会の人がいくつか質問するので答えてくれるだけで良いと言うので、分かったと言ってマイクの前に立つ。
『初めての人前だと思うので自己紹介からお願いできますでしょうか』
「えっと、初めまして。多部奏太です。この子はジャックラッセルテリアのムーンと言います。よろしくお願いいたします」
「わぅ!」
ムーが合わせてくれたのでラッキーと思いながらいくつか質問に答えていく。趣味や特技、好きな食べ物など、ほとんどムーの趣味などばかり話して終わり、もう降ろしてくれと思ったところで、『これからはCMやバラエティ番組などにもタレントとしてデビューされると聞いています。ご活躍期待しています!』
はぁ?とつい念話をみんなに送ってしまい、結月の顔を見るとニヤニヤ笑っていたので絶対知っていたなと睨み返す。
「結月さん!なんで教えてくれなかったんだよ!」
「言ったらお前断るだろう?」
「当たり前じゃん。それに何?CMって」
「それは前から話は出てたんだ。年明けだろうと思ってたんだが、商品の人気が落ちる前のがいいと思ってな」
「バラエティは?」
「それも同じだが、番組は収録のやつにしたから楽しんで稼いで来い!」
「ムーも?」
「最初は一緒だが、お前意外と人気あるんだよ。今のうちに稼ぎ頭になってもらわないとな!ハーッハッハッハ」
「姫様、今その笑いは……」
0
お気に入りに追加
26
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる