天満堂へようこそ 6

浅井 ことは

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人間界1

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「あの伝言のことも調べてるんでしょ?」

「ああ。もしかしてって場所はいくつか伝えたから、そのうち報告が来るだろう。っと、玉藻の使いが来た!また後でな」

「うん」

その後は予告通りたくさんのお客さんで賑わい、たまにレシピを見てカクテルなどを作って出し、酒関係と接客はノアに、料理などは自分が担当してなんとか乗り切った時には既に2時。

後片付けをしてルーカスに声をかけると、転移で帰るというので一緒に連れて帰ってもらった。

初めてする仕事は疲れる。

それなのに、真夜中だというのにスフィは起きて待っていてくれた。

「寝ててよかったのに」

「このムーとブランとやらが、庭の遊び場で散々遊ばせてくるので付き合った。昼に寝たらなかなか寝付けなかっただけのこと」

「そう……こちらの食事は合う?」

「たまにあちらの肉も出されるので満足しておるが、ぷるぷるプリンというものを出された時には、食べ方がわからず聞いたが……最初に前足でつつくものなのだな」

「いや、それなんか違うから……ムーの趣味だし」

最初からプリンを出すと言うことは、スフィのことが気に入ったんだなと思って、まず前足でつつくのはムーの趣味で、しなくていい事。精神的にもまだ子供だから、面倒見てあげてくれるとありがたいと言って朝までぐっすりと寝る。

翌朝、7時に起きていくと既にルーカスがコーヒーを飲んでいて、しっかりとエールラを口説いていた。

「朝から何やってんの……」と呆れて言うと、毎日の恒例となっているらしい。

「姉さんも付き合ってないで奏太様のお食事を……」

赤くなりながらも、洋食か和食かと聞かれたので、迷わず和食を選ぶ。

「ノアも和食にしたら?昨日も食べれてないし、向こうではパンばっかだったしさ」

「そうですね」

「二人分用意してきます」と足早に奥へと行くが、何となくルーカスの口説きが成功しているような気がするとは、口が裂けてもノアの前で言えない。

暖かいご飯に納豆、焼き鮭に豆腐の味噌汁。これだけでも十分なのに、肉じゃがとほうれん草のおひたしまで有り、出てきた瞬間「これだよこれ!」と言ってしまった。

「えーっと、幻界や天界のものが不味いとかじゃないからね?」

「分かってます。馴染みの深いものの方がやはり美味しいですよね」

「エールラさんも食べた?お米」

「はい。お箸がうまく使えなかったのですが、エマさんに教えていただいて。とても美味しかったです」

「教えたの俺だろ?」

「エマさんです!」

「仲いいね」

「え?」とノアが箸を落とす。

「ね、姉さん?ダメですよ?絶対に浮気されますから!」

「何言ってるの?私はお爺様がいない間ここにいるだけよ?」

「分かってますが……」

「そんなに心配してるからエールラが結婚出来ないんだよシスコン」

「シスコン……」

落ち込むノアをよそにお代わりとお茶碗を出して、お味噌汁ももらう。
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