天満堂へようこそ 6

浅井 ことは

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人間界1

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「奏太……くん?奏太君だー!」

飛びついてきたムーにビックリしながらも、久しぶり!と抱き上げる。その後からはブランが走ってきて、ノアに頭を撫でられている。

「え?……」

ビクッとムーが体を震わして縮こまるので、大丈夫だよと下におろす。

どう見てもかなりの体の大きさが違い、ブランよりも大きいので、2匹とも顔がひきつっている。

「彼はスフィ、今日から家族だよ。天界の狼なんだけど、屋敷以外では犬の姿になってもらうから。家の中は少し小さくなってもらわないといけないけど」

「どのような姿になっても良いが、この犬まで小さくはなれぬ」

「ムーはそう言う犬種だから」

みんなで家まで行って、直っていた部屋から携帯を持ってくる。

「この写真みて。これがゴールデンレトリバー何だけど」

「これならば」白く光ったと思ったらすぐに、写真と同じ姿になったので安心する。

中に入って、すぐに田中さんを呼ぼうとして思い出す。

「エールラさん?」

「ちょっと見てきます……」

ノアが出ていき、その間にとムーたちに血の契約の話をする。


「スフィくん?」

「?」

「食べない?僕達の事」

「食べぬ」

「遊んでくれる?」

「?」

「奏太くーん」

足元に隠れてくるので、スフィはみんなを食べないし、遊ぶという事は教えてあげてほしいと二匹に頼み、仲良くしてとお願いし、やっと足元から出てきたムーは、「僕お兄ちゃんだもん」と前足をガブッと噛んで少し血を垂らす。

「ぼ、僕も」とつつき、血を出した二匹に頭を下げ、スフィが舐める。

反対にスフィの血も舐めさせて完了した頃、疲れた顔のエールラさんを連れてノアが戻ってきた。

「ただいま」

「お帰りなさいませ。今コーヒーを入れますね」

「それより座って。顔色悪いよ?」

「そうですか?」

「こっちでどのくらい時間が経ったのかな?」

「一月ほどかと思いますが」

「そっか……」

「あ、ニコルさんがゲストハウスの方に移られてきてます。エマさんも一緒に」

「そちらの方の気配をたどって行ったら居たんですけど、いた場所がルーカス様の膝の上でして……」

あー!揉め事はやめてくれと頭を抱え、ルーカスをこちらへと呼ぶ。

「喧嘩してないよね?」

「してません。驚いただけでして」

「今からルーカスさんこっち来るから」

「何でです?」

「帰宅の報告と、あのクローンの話しないといけないでしょ?」

「そうでした。姉さん、新しく家族が増えました。天界の狼のスフィです。今は犬の格好をしてもらっています」

「まぁ!話と本でしか知らないわ。初めまして。ノアの姉のエールラです」

「これは幻界の民か。また美しい女性であるな。我はスフィと申す」

「彼は狼の長でしたので」

「そうなの。触ってもいいかしら?」

「どうぞ」

そっと撫でていたのに、急に可愛いと頭も体も撫で回し、抱きついてしまっている。

「ノア……」

「忘れていました……姉は無類の動物好きでした……」

「僕達今までいっぱい触られたよ?」

「僕は卵を産むのかと聞かれて……丸くなっていたら枕にされました」

「え?どこで寝てたの?」

「エールラさんのお部屋だよー。ルーカスさんから守ってたの僕達」

「偉いな!」
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