天満堂へようこそ 6

浅井 ことは

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「えーっと……ごめんなさい?」

「奏太様、勝手に出歩かれては困ります。一応、王子らしくしてもらわないと」

「そうでございます。それに手に持ってるのは?まさか食べながらきたのではないでしょうね?」

「あ、うん。食べながら来た。ついでに朝ごはんの支度も手伝ってきたよ?」

「兵にお任せ下さい……」

「最初誰も気づかなかったから面白くて。少し話したけどみんな良い人だね」

「奏太様!」

「もう、ノア……シワが増えるよ?それに外には出てないし。周りを歩いてただけ。後、俺だけ特別メニューとか要らないから、みんなと同じにしてよ」

「ですが……」

「ノア、俺がそういった事嫌いなのは知ってるでしょ?みんなと同じでいいんだよ。旅してる訳では無いし、立場があるかもしれないけど、みんなと一緒にいる時は同じでいいし、街でも普通のものでいい。同じ様に見たり聞いたりしなきゃ、任されるこの土地のことや、天界のことが分からないじゃん」

「確かにそうですが」

「ほら、サムも眉間のシワ!」

「あ、すいません」

「だんだん小姑に見えてきたよ。ノア、もう一回全体の地図見せて」

地図を広げてもらい確認すると、やはり大きめの森が目印の役目となっており、水のマークが付いているところもある。
その近くにはだいたい町が点在しており、大きな街はそのそばにはあまり無い。

「なんで村や町は森周辺にあるのに、街は離れてるんだろうね?」

「そうですね……私も変わってるなとは思っていたんですが」

「ほら、幻魔界でも水場の近くに村や町はあったけど、街の周りはもう少し最後の町から近かったよね?」

「そうです。売り買いなどの拠点として街は点在しますから。ですが、このあたりは本当に何も無いですからね」

「それですが、前は町もたくさんあったのです。ここ数年でいくつか村がなくなり、町も減り、みんな何故か南の方へと移り住むようになってしまって……調査はしたのですが、特に変わったこともなく、結論は水不足なのではないかとなったのですが」

「ここも枯れてきてるって言ってたよね」

「やはり、森……でしょうか?」

「前に空飛んだ時、森の中心に滝があったの覚えてるんだけど、もしかして天界の水源て森?なのかな……」

「殆どがそうです。なぜなのかは分かっておりませんが、そこから地下を通り各町や村へと流れていることは確認済みです。なので、地図を見ても分かる通り、目印にもなれば、その周りには町や村があるので、森が水源と言ってもいいと思っています」

「ダムかな?」

「何ですかそれは?」

「水をせき止めるものだよ。必要な分だけ流せば使いたい放題だよね?」

「水力発電ですか?」

「考えすぎかも!とにかく今日は頑張らないと。ここに置いていく兵で草原の民のこと頼むよ。なるべく早く行きたいんだけど」

「暗かったですからね」

「後、あの羽の音も嫌だ!気持ち悪いし、次何が出るのかと思うとゾッとする」

「では、私は兵を集めますので」

「うん、天幕の入口で待ってる」

コーヒーをもう1杯飲んで、腰に剣を刺して準備し、みんなのところへと向かう。

「奏太様、魔力の方は?」

「落ち着いてる気がする。あまりいつもと変わらない感じだけど、必要以外使わないから」
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