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街
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「えーっと……ごめんなさい?」
「奏太様、勝手に出歩かれては困ります。一応、王子らしくしてもらわないと」
「そうでございます。それに手に持ってるのは?まさか食べながらきたのではないでしょうね?」
「あ、うん。食べながら来た。ついでに朝ごはんの支度も手伝ってきたよ?」
「兵にお任せ下さい……」
「最初誰も気づかなかったから面白くて。少し話したけどみんな良い人だね」
「奏太様!」
「もう、ノア……シワが増えるよ?それに外には出てないし。周りを歩いてただけ。後、俺だけ特別メニューとか要らないから、みんなと同じにしてよ」
「ですが……」
「ノア、俺がそういった事嫌いなのは知ってるでしょ?みんなと同じでいいんだよ。旅してる訳では無いし、立場があるかもしれないけど、みんなと一緒にいる時は同じでいいし、街でも普通のものでいい。同じ様に見たり聞いたりしなきゃ、任されるこの土地のことや、天界のことが分からないじゃん」
「確かにそうですが」
「ほら、サムも眉間のシワ!」
「あ、すいません」
「だんだん小姑に見えてきたよ。ノア、もう一回全体の地図見せて」
地図を広げてもらい確認すると、やはり大きめの森が目印の役目となっており、水のマークが付いているところもある。
その近くにはだいたい町が点在しており、大きな街はそのそばにはあまり無い。
「なんで村や町は森周辺にあるのに、街は離れてるんだろうね?」
「そうですね……私も変わってるなとは思っていたんですが」
「ほら、幻魔界でも水場の近くに村や町はあったけど、街の周りはもう少し最後の町から近かったよね?」
「そうです。売り買いなどの拠点として街は点在しますから。ですが、このあたりは本当に何も無いですからね」
「それですが、前は町もたくさんあったのです。ここ数年でいくつか村がなくなり、町も減り、みんな何故か南の方へと移り住むようになってしまって……調査はしたのですが、特に変わったこともなく、結論は水不足なのではないかとなったのですが」
「ここも枯れてきてるって言ってたよね」
「やはり、森……でしょうか?」
「前に空飛んだ時、森の中心に滝があったの覚えてるんだけど、もしかして天界の水源て森?なのかな……」
「殆どがそうです。なぜなのかは分かっておりませんが、そこから地下を通り各町や村へと流れていることは確認済みです。なので、地図を見ても分かる通り、目印にもなれば、その周りには町や村があるので、森が水源と言ってもいいと思っています」
「ダムかな?」
「何ですかそれは?」
「水をせき止めるものだよ。必要な分だけ流せば使いたい放題だよね?」
「水力発電ですか?」
「考えすぎかも!とにかく今日は頑張らないと。ここに置いていく兵で草原の民のこと頼むよ。なるべく早く行きたいんだけど」
「暗かったですからね」
「後、あの羽の音も嫌だ!気持ち悪いし、次何が出るのかと思うとゾッとする」
「では、私は兵を集めますので」
「うん、天幕の入口で待ってる」
コーヒーをもう1杯飲んで、腰に剣を刺して準備し、みんなのところへと向かう。
「奏太様、魔力の方は?」
「落ち着いてる気がする。あまりいつもと変わらない感じだけど、必要以外使わないから」
「奏太様、勝手に出歩かれては困ります。一応、王子らしくしてもらわないと」
「そうでございます。それに手に持ってるのは?まさか食べながらきたのではないでしょうね?」
「あ、うん。食べながら来た。ついでに朝ごはんの支度も手伝ってきたよ?」
「兵にお任せ下さい……」
「最初誰も気づかなかったから面白くて。少し話したけどみんな良い人だね」
「奏太様!」
「もう、ノア……シワが増えるよ?それに外には出てないし。周りを歩いてただけ。後、俺だけ特別メニューとか要らないから、みんなと同じにしてよ」
「ですが……」
「ノア、俺がそういった事嫌いなのは知ってるでしょ?みんなと同じでいいんだよ。旅してる訳では無いし、立場があるかもしれないけど、みんなと一緒にいる時は同じでいいし、街でも普通のものでいい。同じ様に見たり聞いたりしなきゃ、任されるこの土地のことや、天界のことが分からないじゃん」
「確かにそうですが」
「ほら、サムも眉間のシワ!」
「あ、すいません」
「だんだん小姑に見えてきたよ。ノア、もう一回全体の地図見せて」
地図を広げてもらい確認すると、やはり大きめの森が目印の役目となっており、水のマークが付いているところもある。
その近くにはだいたい町が点在しており、大きな街はそのそばにはあまり無い。
「なんで村や町は森周辺にあるのに、街は離れてるんだろうね?」
「そうですね……私も変わってるなとは思っていたんですが」
「ほら、幻魔界でも水場の近くに村や町はあったけど、街の周りはもう少し最後の町から近かったよね?」
「そうです。売り買いなどの拠点として街は点在しますから。ですが、このあたりは本当に何も無いですからね」
「それですが、前は町もたくさんあったのです。ここ数年でいくつか村がなくなり、町も減り、みんな何故か南の方へと移り住むようになってしまって……調査はしたのですが、特に変わったこともなく、結論は水不足なのではないかとなったのですが」
「ここも枯れてきてるって言ってたよね」
「やはり、森……でしょうか?」
「前に空飛んだ時、森の中心に滝があったの覚えてるんだけど、もしかして天界の水源て森?なのかな……」
「殆どがそうです。なぜなのかは分かっておりませんが、そこから地下を通り各町や村へと流れていることは確認済みです。なので、地図を見ても分かる通り、目印にもなれば、その周りには町や村があるので、森が水源と言ってもいいと思っています」
「ダムかな?」
「何ですかそれは?」
「水をせき止めるものだよ。必要な分だけ流せば使いたい放題だよね?」
「水力発電ですか?」
「考えすぎかも!とにかく今日は頑張らないと。ここに置いていく兵で草原の民のこと頼むよ。なるべく早く行きたいんだけど」
「暗かったですからね」
「後、あの羽の音も嫌だ!気持ち悪いし、次何が出るのかと思うとゾッとする」
「では、私は兵を集めますので」
「うん、天幕の入口で待ってる」
コーヒーをもう1杯飲んで、腰に剣を刺して準備し、みんなのところへと向かう。
「奏太様、魔力の方は?」
「落ち着いてる気がする。あまりいつもと変わらない感じだけど、必要以外使わないから」
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