天満堂へようこそ 6

浅井 ことは

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「じゃあ、今から中の物出しに行く?」

「それは兵にやらせよう。奏太、気分転換とまでは行かないかもしれんが、お前の街になる土地を見てきてはどうじゃ?」

「今から行っても何日かかるの?」

「荷馬車ならば一日半はかかるが、変化すれば一瞬じゃろう?」

「したくないんだけど……」

「定期的にしておいた方が良いのだがな」

「え?なんで?」

「元々、変化は少しずつ変わっていくもの。だがお前は一気に最終変化までしてしまったから、魔力もまだ安定していない。今ならば体を慣らすのに1日に1回は部分変化だけでもしておいた方がいいが、まぁ、焦らずとも良いかな?」

「俺、明後日の夜には人間界に帰るから、向こうに行って戻ると時間が……」

「それなんじゃが、もう少し滞在できんか?あの隠し部屋のとこもあるし」

「そうしたほうがいいと思います。部屋が見つかる度に来ることも出来ないので……」

「分かった。一応ルーカスさんと結月さんに報告しておかないと。帰るの遅くなるって」

「なら、部屋の鏡を使えばいい。魔力を流すことで通信ができる。二人の部屋それぞれにかけてあるから使うといい」

「ノアはルーカスさんに連絡して。俺は結月さんに連絡するから」

部屋に戻り、壁に貼ってある魔法陣の紙を使って結月に連絡を取る。

ジ……ジジッ

「あ!出来た。結月さん?」

おお、奏太かと言いながら映る結月の姿はどこからどう見てもお百姓……

オーバーオールに麦わら帽子、軍手をはめて麻袋を漁っている。

「何してるの……?」

「あぁ、すまん!負傷者の薬も作ってたんでな、ちょっと幻草を取りに行ってた帰りだったんだ」

「あ、あ、そう……てっきり畑仕事かと思ったよ」

「馬鹿かお前は!で?何かあったのか?」

見つけた隠し部屋の事を話し、他にあったら何度も行き来はできないから滞在を伸ばしたいと言うと、水晶を持ち歩けと言われた。

「その、変なホルマリン漬け?とか、機材とかが見たいから写してくれ。ユーリもニコルもまだまだ動けんから、そちらに行くことが出来んし……見たらなにかわかるかもしれない。その部屋にはまた入るのか?」

「兵に出させるとか言ってたけど」

「お前行ってこい。ついたら水晶で通信しろ」

「やだよ!すごく気持ち悪いんだって!俺吐いたしさ!」

「ノアでも誰でもいいから行かせろ。こちらにも共通点があるかもしれんだろう?」

「分かったよ……それよりもさ、俺なんか首の周りが冷えて、凄く寝る時に寒気がするんだけど」

「痛みは?」

「無い。寒かったから毛布の上下もらったけど」

「今も寒いか?」

「首周りだけ冷たいんだ……手とか足とかは普通かな?」

「喉が渇くとか頭痛とかは?」

「全く。熱もないみたい」

「…………もしかしたら、魔力をお前も使いすぎたせいかもしれんな」

「リアムさんの時の?」

「それもあるが、変化からお前は魔力を使いまくりだったから、今貯めようとして体が冷えているのかもしれない。冷える者もいれば、前のように熱が出る時もあるし、こればかりは何処がとは言えないんだ」

「どうしたらいい?」

「おい、後ろ。ノアが聞いてるがいいのか?」

「構わないよ?」

「奏太様、大事なことは話してくださいと何度も……」

「ごめんてば。それで?」

「魔力が溜まり落ち着けば冷えもなくなるだろう。しばらく魔力は使うな。明かりをつけたりする程度なら構わんが、変化だけはするなよ?」

「俺しろって言われてるんだけど」

「駄目だ。とにかく食って休め。その前に隠し部屋は行ってこいよ!それと、暇なら天草取ってきてくれ。綿毛の花も」

「は?」

「ノア、見たことあるだろう?」

「はい。どのくらい要りますか?」

「麻袋一つずつでいい」

「分かりました。ですが綿毛の花は明け方しか取れませんし、城付近ではたくさんはありません」

「奏太の城になる付近に群生してるだろう?」
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