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決断
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「ユーリ!」
結月の声とともに拘束され、ノアが枷を外す。
みんなで取り囲み、教えてもらったように手を翳して魔力を吸い上げる。
5人がかりでも中々吸いきれない魔力は小さなボールくらいの大きさから、大玉の大きさまで膨れ上がり、霧散した。
「あ……ま、魔力が……」
「天王、これで全てか?」
「一旦儂は離れる。そのまま吸い上げを続けてくれ」
リアムの近くに行った天王が腹部に手を入れるが、血も何も出ない。
おかしいなと思った次の瞬間、「ぎゃぁぁぁぁ!」とリアムの悲鳴が聞こえたかと思うと、洪水のような汗をかきながらも天王をリアムが睨む。
「何故……」
「魔臓器を破壊した。儂の術がかけてある。元に戻ることは不可能じゃ」
最後の魔力が霧散し、ユーリが弦を解き元に戻る。
「陛下……」
「分かってる。次の段階へと入る……ユーリまだ大丈夫か?」
「何とか」
「リアム、無魔力ではあるが……外界から遮断させてもらう。全ての現象に干渉しない術だ……これを掛ければもう、お前の声は誰にも届かない。何か言いたいことは?」
「殺して……殺してください……」
「駄目じゃ。永遠の時を、狭間で過ごすがよいわ」
「陛下、陣の準備が出来ました」
みんなで魔法陣の真ん中までリアムを連れていき、嫌がるリアムのいう事は聞かず王三人で氷の魔法と遮断魔法などを掛け、ユーリの魔力で狭間への扉が開かれる。
「リアム……お前を殺さずにするにはこれしか無かったんだ。許してくれ」
王3人それぞれが鍵となり、狭間への扉を閉める。
魔法陣から光が消えた瞬間、ユーリが倒れ、ノアが横にして結月に見せる。
「魔力を一気に解放したからだ。しばらくすれば起きるだろう……奏太、兵に運ばせろ。私達は最後にここを閉ざしてから出る」
「分かった」
走って兵を呼びに行き、ユーリを部屋まで運んでもらう。ノアにはついて行ってあげてほしいと頼み、ルーカスと共に、牢が完全に閉じられるのを最後まで見る。
中にはたくさんの魔法陣が書かれ、ほかの壁と変わらないほど綺麗に閉ざされた牢の入口だった所に明かりが二つ左右につけられ、真ん中に各界の紋章が刻まれる。
「ルーカスさん、これでもう出られないんだよね?」
「あの紋章は、三人の王が揃った時にだけ開く。ほかの者からも見えはするが、触れば手が溶けるほどの火傷をするか、凍るか、切れるかだな」
「切れる?」
「天界は風だ。お前の鎌鼬のようなものだと思えばいい」
「各界で特徴があるんだ……」
「まぁな、結月は氷だが元々何でも出来るからなあいつは……っと親父!」
ふらっと倒れそうになる魔王をルーカスが支え、天王を自分が支えるが、結月の疲労もかなりのものだ。
手を貸そうとすると、まだ自分で歩けるから二人を頼むと言われ、みんなで応接間まで戻る。
すぐに飲み物や食べ物が用意され、結月が勢いよく食べるが、流石に王2人は摘むだけでコーヒーや紅茶を飲んでいた。
「ソフィ、ノアを呼んでくれ。代わりにユーリを頼む。食べ終わったらすぐ見に行くから……」
「はい……あの、まさか魔力が枯渇するなんてことは?」
「それは無い。まだ残っていたから大丈夫だ」
ソフィが呼びに行き、魔力ってなくなるの?と結月に聞く。
「魔力の臓器が破壊されれば、魔力は生み出せないし、一気に使い切ると魔力が作られなくなる可能性もあるが、さすがはユーリだな。多少の魔力は温存していたようだ」
「大丈夫かな?」
「大丈夫だ。それより、お前もルーカスも食っておけ。まだこれから帰らないといけないだろう?」
促されるまま食事を終え、今後は各界でリアムの痕跡探しと施設を発見次第破壊。関わったものの尋問等はそれぞれが行うことになり、みんなで王の間へと行き、それぞれのゲートの前に立つ。
ムーたちをエールラに任せ、ルーカスと共に人間界へ。
ノアと天王と共に天界へ。魔王は魔界へ。
それぞれがゲートを潜り、違う世界へと足を踏み出す。
その時に見た結月の顔は少し寂しそうだったが、行ってこいと背中を押されたので、連絡してよね!と言って歩いていく。
結月の声とともに拘束され、ノアが枷を外す。
みんなで取り囲み、教えてもらったように手を翳して魔力を吸い上げる。
5人がかりでも中々吸いきれない魔力は小さなボールくらいの大きさから、大玉の大きさまで膨れ上がり、霧散した。
「あ……ま、魔力が……」
「天王、これで全てか?」
「一旦儂は離れる。そのまま吸い上げを続けてくれ」
リアムの近くに行った天王が腹部に手を入れるが、血も何も出ない。
おかしいなと思った次の瞬間、「ぎゃぁぁぁぁ!」とリアムの悲鳴が聞こえたかと思うと、洪水のような汗をかきながらも天王をリアムが睨む。
「何故……」
「魔臓器を破壊した。儂の術がかけてある。元に戻ることは不可能じゃ」
最後の魔力が霧散し、ユーリが弦を解き元に戻る。
「陛下……」
「分かってる。次の段階へと入る……ユーリまだ大丈夫か?」
「何とか」
「リアム、無魔力ではあるが……外界から遮断させてもらう。全ての現象に干渉しない術だ……これを掛ければもう、お前の声は誰にも届かない。何か言いたいことは?」
「殺して……殺してください……」
「駄目じゃ。永遠の時を、狭間で過ごすがよいわ」
「陛下、陣の準備が出来ました」
みんなで魔法陣の真ん中までリアムを連れていき、嫌がるリアムのいう事は聞かず王三人で氷の魔法と遮断魔法などを掛け、ユーリの魔力で狭間への扉が開かれる。
「リアム……お前を殺さずにするにはこれしか無かったんだ。許してくれ」
王3人それぞれが鍵となり、狭間への扉を閉める。
魔法陣から光が消えた瞬間、ユーリが倒れ、ノアが横にして結月に見せる。
「魔力を一気に解放したからだ。しばらくすれば起きるだろう……奏太、兵に運ばせろ。私達は最後にここを閉ざしてから出る」
「分かった」
走って兵を呼びに行き、ユーリを部屋まで運んでもらう。ノアにはついて行ってあげてほしいと頼み、ルーカスと共に、牢が完全に閉じられるのを最後まで見る。
中にはたくさんの魔法陣が書かれ、ほかの壁と変わらないほど綺麗に閉ざされた牢の入口だった所に明かりが二つ左右につけられ、真ん中に各界の紋章が刻まれる。
「ルーカスさん、これでもう出られないんだよね?」
「あの紋章は、三人の王が揃った時にだけ開く。ほかの者からも見えはするが、触れば手が溶けるほどの火傷をするか、凍るか、切れるかだな」
「切れる?」
「天界は風だ。お前の鎌鼬のようなものだと思えばいい」
「各界で特徴があるんだ……」
「まぁな、結月は氷だが元々何でも出来るからなあいつは……っと親父!」
ふらっと倒れそうになる魔王をルーカスが支え、天王を自分が支えるが、結月の疲労もかなりのものだ。
手を貸そうとすると、まだ自分で歩けるから二人を頼むと言われ、みんなで応接間まで戻る。
すぐに飲み物や食べ物が用意され、結月が勢いよく食べるが、流石に王2人は摘むだけでコーヒーや紅茶を飲んでいた。
「ソフィ、ノアを呼んでくれ。代わりにユーリを頼む。食べ終わったらすぐ見に行くから……」
「はい……あの、まさか魔力が枯渇するなんてことは?」
「それは無い。まだ残っていたから大丈夫だ」
ソフィが呼びに行き、魔力ってなくなるの?と結月に聞く。
「魔力の臓器が破壊されれば、魔力は生み出せないし、一気に使い切ると魔力が作られなくなる可能性もあるが、さすがはユーリだな。多少の魔力は温存していたようだ」
「大丈夫かな?」
「大丈夫だ。それより、お前もルーカスも食っておけ。まだこれから帰らないといけないだろう?」
促されるまま食事を終え、今後は各界でリアムの痕跡探しと施設を発見次第破壊。関わったものの尋問等はそれぞれが行うことになり、みんなで王の間へと行き、それぞれのゲートの前に立つ。
ムーたちをエールラに任せ、ルーカスと共に人間界へ。
ノアと天王と共に天界へ。魔王は魔界へ。
それぞれがゲートを潜り、違う世界へと足を踏み出す。
その時に見た結月の顔は少し寂しそうだったが、行ってこいと背中を押されたので、連絡してよね!と言って歩いていく。
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