天満堂へようこそ 6

浅井 ことは

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決断

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その後祭事を任されている神官のような人が出てきて、元陛下への祈りを捧げ、みんなで献花し、兵によって民衆の前に置かれ、人々からも棺に花を入れられてから、結月の魔法で綺麗に凍結され王族の遺体安置所に棺が置かれて終了となる。

気丈に振る舞ってはいたが、目は赤くかなりの疲れが見える。

扉の前で祭祀が祈りを捧げ終了となったが、着替えてくると言って部屋に戻ったので、自分たちも着替えに部屋に戻り、集合時間までコーヒーを飲んで時間を潰す。

「奏太、ちょっといいか?」

着替えたルーカスの格好は、正装よりもカジュアルではあるが、いつもの黒いシャツにパンツ姿は相変わらず変わらない。
シャツだけは黒だが細かい所でお洒落である。

「何?」

「お前今、俺がいつも真っ黒な服だとか思ってたろ?」

「うん。でもシャツがいつもお洒落だなとも思ってたけど」

「あまり派手なのが似合わないんだよ。顔もイケメンすぎるから」

「はいはい」

「なぁ、結月遅くないか?ニコルがいたら呼びに行かせるんだが……」

「うん、でもこの後のこともあるし、今日お母さんと最後の別れだから……目も赤かったしさ、もうちょっとそっとしておいてあげてもと思って」


「それはそうなんだが、この後のことよりも話しておかないといけないことがあるから、先に伝えに来た」

「何かあったの?」

「いや、今後の事だ。昨夜みんなで話し合った時結月もいたんだが、ある程度決まったところで今日の準備のために席を立ったんだ。まず、今夜飯を食ったらお前とノア、俺が人間界へと帰る。ニコルは良くなるまでエマとここに残ることになった。王も晩飯の後には1度帰るから、ユーリがすべて面倒見てくれるそうだ」

「俺も毎週金曜の夜から天界に行かないといけないんだ」

「そうか……今帰ると人間界では金曜日だ。お前達は天界に行くか?」

「うん。日曜の夜には人間界に帰るよ」

「だったら、俺は先に帰って会社に顔を出してくる。BARの方は暫く休みにするって決まった。で、向こうの使用人のほら、ノアの爺さん」

「祖父がなにか?」

「こっちに戻らせられないか?」

「出来ますが……」

「元々結月についてた人だから支えになれると思ってな。あの家はしばらくはノアが仕切ればいい」

「私で皆さんついてきてくれるでしょうか?」

「結月の命だと言えばいいさ。で、俺もゲストハウスにしばらく厄介になるから」

「家にいるのはいいけど、ルーカスさんの家ってどうなるの?」

「帰ったら家具でも買ってくるよ。リビングルームだけでもなんとかしないと格好が悪いだろ?それで……お前の姉……エールラにも来てもらえないかと思ってだな」

「姉さんですか?」

「エマはソフィが見てくれるそうだし、人間界でも女手はいると思ってな……今まで表に使用人が出てなかったのがおかしいくらいなんだ」

「顔見知りのがいいってこと?」

「そう。もう狙われることはないとは思うが」

「うち……姉が狙われてますよね?」

「手は出さないと誓おう。なんなら契約するか?」

「いえ、悪魔の誓いに嘘はないですから。ただ、姉が何というか。それに部屋の方は使用人部屋が空いてるのかどうかも分かりませんし」

「ゲストハウスでいいじゃないか」

「それ、危ない……」
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