天満堂へようこそ 6

浅井 ことは

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決断

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「奏太様。食事と支度を……」

「うん……ノアも聞いてたよね?俺、酷いことすると思う」

「ですが、必ず罰は下ります。奏太様が今一番いいと考えられる方法で私はいいと思います」

「ニコルなら斬り捨てとか言いそうだけどな」

「そうですね……私も剣士です。ニコルさんの考えもわかりますが……」

「いい、俺も奏太の意見に賛成だ。よし、飯くいに行こう」

そのまま食堂へ行くと、ノアの母親とお姉さんから駄目ですと言われているエマがいた。

「ノアのお母さん達の名前って?」

「あ、紹介が遅れました。母がソフィ、姉がエールラと言います」

「みんな、苗字がフランシスなんだよね?」

「そうです。名前負けしていますが」

「ねえ、2人ともどうしたの?」

と、席につきながら声をかけると、エマがじっとしてくれていないからとソフィが文句を言っている。

「エマさん、ニコルさんが心配するよ?」

「でも……せめて給仕ぐらいはと」

「えっと、エールラさん。エマさんの仕事は寝てることだよね?」

「エールラで構いません。姫……いえ、陛下からもそう言われているのですが……」

「だったら寝てて?後ニコルさんの看病だけ!」

「分かりました……」

「さすがは王子様ですね。さ、たんと食べてください。ノアも食べておかないと体力持たないよ!」

「分かっています」

「ルーカス様はコーヒーでよろしかったですか?」

「ああ」

「ノア、お前の母親って……」

「ええ、何事にも動じないと言いますか……失礼ばかりで申し訳ありません」

「それは気にしてないからいいんだが、姉の方はまだ独り身か?」

「そうなんです。魔力はあるのですが、どちらかと言うと天候など読んだりするのが得意でして、精霊を使うのも得意ではありますね」

ふーんとエールラを見ているルーカルを見て、一目ボレじゃない?とノアに耳打ちする。

「ですが、王子と幻界の市民との結婚など間違ってもないでしょう?」

「おい!丸聞こえだぞ?それに一般市民じゃもうなくなる。今はジョナスが居るから街で暮らしているが、兵隊長の家族でありお付の家系となると、本来王宮の使用人宅で暮らしていてもおかしくない。それが、長男は女王陛下の家臣に昇格。次男坊が天界の王子と同等の権限を持つものとなれば、一つの地域を任されてもいいくらいだ」

「そうならないの?」

「話には出ると思いますが、多分父のことなので断るでしょうね……」

「どちらにしても、あの2人ならば王宮に上がるだろうな……結月も信用出来るものが多いほどいい。となれば、女王陛下の許可さえあれば俺も特に制限なく結婚はできる」

「待ってください。各界での決め事は?」

「結月がもっと自由にとするそうだ。これが、慧瞼の、全てを丸くってのに繋がってるんじゃないかと俺は思うんだが?」

「ル、ルーカス様が姉をと所望されたのなら、私は何も言えません。それが側室であってもです」

「俺は正妃も取ってないのに側室があるわけないだろう?それに、側室はいらん!今はいろんな女と遊べてるが、どれも正妃にと思う者はいなかった……」

食事が届いても、給仕をしているエールラをとろんとした目で見ているが、当のエールラは全く気づいていない。

「あのさ、本気なの?」

「一目ボレだな」

「ルーカス様……姉はお転婆ですよ?」

「よし、弟の賛同ももらったし頑張るとするか!」

ぼそっと横で、賛同してませんと聞こえたが、目の前のお肉にお腹がなり、お腹いっぱいになるまで食べる。
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