天満堂へようこそ 6

浅井 ことは

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決断

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みんなで部屋に入るのもと思い、結月とユーリだけ入りみんなで扉の前で待つ。奏太と呼ばれたので中に入ると、血を分けてくれたお陰だとお礼を言われる。

「エマ、そろそろ休んだ方がいい。腹の子に触る」

「でも……」

「エマ、姫様の言う通りに」

「わかりました」

「外に私の母と姉がいますので。なんでも言いつけてください」

「有難うございます」

エマが出ていってからも結月の診察が続き、目が覚めたからと言ってもまだ絶対安静だとニコルが言われ、遅れてきたルーカスといつも通り軽い言いあいをしてから寝ますとみんなを追い出すニコルはある意味一番強いのかもしれないと思った。

「結月さん」

「なんだ?」

本について聞こうと思いながら切り出せないので、違う話をと思いムーの事を聞いて話をそらせた。

「ムーはもう歩いてもいいの?」

「構わんが、無理はしない方がいいだろうな。まだ痛むだろうし」

「あ、薬ないの?痛み止とか」

「あるにはあるが、あまり使うと慣れてしまって効かなくなることもあるから使いたくないんだが」

「そっか、なら我慢させるよ」

ムーを抱いて寝室に行き、ブランとムーに部屋から出ないことと言いつけて、本のある部屋へと向かおうとドアを開ける。

「どこに行くの?」

「ん?ちょっと調べ物してるんだ。だからムーは寝てて」

「もしかしてリアムさん?」

「うん、でもムーは何も心配しなくていいから」

「あのね、僕寝たり起きたりしてる時に聞いちゃったんだ。ルーカスさんも結月ちゃんもなんとかならないのかなってお話してたよ?」

「いつ?」

「まだニコルさんと同じ部屋にいた時だよ」

「そっか……俺もなんとかならないか調べてるんだ。頑張るからさ、ムーも痛いの嫌だろうけど我慢して早く治そうな」

「うん」

部屋を出てノアと一緒に禁書の部屋に行く。

「ムーが言ってたことなんだけどさ、もしかして止めて欲しいんじゃないかな?2人とも」

「そのような感じでしたね。王が決めたことは絶対なんです。今、幻界の女王は姫様ですので、姫様が覆すことが出来ないので、ルーカス様と奏太様に頼ったのではないでしょうか?」

「素直にいえばいいのに……だったら、穴があるってことだよね?きっと」

「ルーカス様も立場がありますから何も言えないのでしょう。それを奏太様に見つけて欲しかったのかも……」

「よし、もう少し頑張って読んでみるよ。なにか方法が書かれているかもしれないし」

一眠りもせず読み耽ったが、よく似た記述はあるものの、処刑以外の極刑はやはり狭間。だが既に狭間で閉じ込めたものの、仲間の協力により脱走させてしまう事態となった為狭間はもう使えないだろう。魔法で凍らせ閉じ込めるとしても、また誰か協力者がいれば同じことの繰り返しになってしまう。

他に方法はないのか……
ページを捲る手がだんだんと重くなってくる。

「少し休憩されませんと……葬儀ももうすぐですし」

「だからだよ。もう今日が葬儀なら、リアムさんの処刑だってすぐだろうし。2人からなんとかしろって言われてる気がするんだけど、何もわからない……」

最後のページに差し掛かる前にうとうとと眠ってしまい、気付けばもうすぐ式だと起こされ慌てて本を閉じようとした時、ふと目に移りこんだ文字。『魔力の剥奪』それに目を奪われ、読みたいから服を持ってきてと頼み急いでそのページを読む。
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