天満堂へようこそ 6

浅井 ことは

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決断

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「でも、これ以上心配させたらお腹の赤ちゃんのことも心配だし」

「エマは強い。ニコルと一緒になると言うことは、それなりの覚悟がなくてはできん。王子も王も魔界では特にいつ命を狙われてもおかしくない環境だからな」

「はい……」

頭をくしゃくしゃっと撫でられ、もう一働きするか!と腰を上げる。

「魔王様、俺に出来ることって無いですか?」

「強くなりなさい」

「強くなる?」

「奏太よ、お前は結月に似ず優しすぎるくらい優しい。それはとてもいい事だ。しかし、優しいだけではいけない時もある……この意味が分かるかね?」

「はい……」

「少しずつでいい。力をつけ、最低限の剣を学び、自分にあった魔法を使いこなせるようになるだけでも、一人でも多くの民を守ることに繋がるだろう。あのルーカスでさえした事だ」

「あんなに強いのに?」

「今はな。結月もルーカスも共に切磋琢磨したものだよ。あの2人も優しすぎるんだ。私から見るとね」

その後も色々な話を聞き、夜が更け少し肌寒くなってきたので、ありったけの毛布をみんなに配る。

ノアと家族は城の中で再会し、一室を与えられて着替えと食事をするとすぐに休んでしまった。相当疲れが溜まっていたのか、ノアとユーリまで話している最中に寝てしまったので、1人でムーやルーカス達がいる部屋へと行く。

「よう!」

「起きてて大丈夫なの?」

「まだ骨がちょっとな……でも、他は元気だ。おっさんも流石に癒しの天界だよな。ニコルも安定してるから、その内エマも来るだろう」

「連絡したんだ。大丈夫なのかな?」

「向こうで心配してるより、ここで一緒に安静にしておいてやった方が良いだろ?」

「まぁ、それはわかるけど」

「後な、ムーが煩い!痛いのはわかるが、魔法や薬でも、治りは早いが骨がくっつくのが痛いのは変わらないんだよ。キュンキュン煩いから追い出してくれ」

「それって、ムーももう元気ってことだよね?」

「そういう事だ。後、ブランは見張っておけよ?あいつ、みんなが残した飯食べますって全部食べてるんだよ。でぶブランになったら結月に食われるぞ」

「クキョッ?」

「反応しすぎ!誰も食べないから寝てていいよ」

「ブランさ、食べるとかむしられる、丸焼きに反応するんだよ!あー腹痛てぇ」

ケラケラと笑っているが、起きてから暇でずっとブランの事からかってたんだろうなと思い知らされる一面を見てしまった。

元気なのを確認したから部屋に戻ると言って、廊下を歩く。

所々に明かりがともされているので、廊下は明るいが、結月が気になり王の間へと足を運ぶ。

入ろうと思ったら開いており、中では葬儀の準備が行われていた。

「奏太か?」

「あ、何かごめん……」

「いい、何かあったのか?」

「みんな寝ちゃって、今ルーカスさんたち見てきたところ。食べてる?」

「そんな時間が無くてな……流石に食欲も無い」

「少しでも食べてよ。魔力もだいぶ使ったんでしょ?」

「まぁな、だがまだやることが残ってる」

「手伝うよ」

ならばついて来いと、行ったことのない部屋へ連れていかれる。
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