18 / 127
決断
.
しおりを挟む
言われていることはわかるのだか、頭と心が追いついていかない。
天王も疲れたのか、椅子に座って紅茶を飲み眠っているみんなを見ている。
「ユーリさん、俺みんなのところに行ってくる……」
「行くと言っても、もう皆さん戻ってくると思いますよ?少し前に連絡きましたし」と頭を指さす。
「そうなの?誰も怪我とかしてない?」
「そこまでは……ですが、こちらが気になるので見に来ると言われてましたよ?」
ガチャっとドアが開き、結月やノアが入ってくる。
「どんな感じだ?」
「お二人共治療は終わりましたが、ニコルさんはしばらく動かさない方がいいでしょう。ルーカス様もですが……」
「ちょっと見せてくれ」
こういう時だけは頼りになるなと思いながら、二人を見て回ってる姿はテキパキとしていて流石だなと思った。
ふと、ノアを見ると血がついていたので、思わず服をめくってしまう。
「奏太様?」
「ノア、怪我してる……」
「擦り傷です。すぐに治りますので」
「ダメだよ。バイキン入ったらどうするの?お父さん治してあげて……」
「どれ、ちょっと見せてくれ。あぁ、流石に剣士ともなると二人共頑丈だな。すぐ治る」そう言って手をかざすと、すぐに傷口がふさがり血が止まる。
良かったと安心してほかの人も見ると少なからずみんな軽い怪我をしているので、天王とユーリに治して貰い、着替えてきてとお願いする。
「奏太は血の匂いに敏感じゃの」
「昔から好きじゃないんだけど、匂いは最近敏感になったよ?ムー達とは比べ物にならないんだけど」
「あれらは元々動物じゃから余計に敏感なのだろうな。それよりも結月、魔王はどうした?」
「その変にいないか?あ……多分外だ。兵がどうのこうのと言ってたと思うんだが……ルーカスの代わりに指揮を執りに行ってるんじゃないか?」
「それもそうだの。よし、奏太よ。炊き出しとやらに行こうか」
「王自ら?」
「ここにおっても何も出来んからの。それに、向こうからのけが人もそろそろ着くんじゃないかと思っておるのじゃが」
「あ、ノア達のお母さんとお姉さんもいるかな?」
「結月よ、人を何人か借りるぞ?」
「好きに使ってくれ」
天王と外に出ると、門付近に沢山のけが人が荷車に乗ってきており、それを兵と魔王で怪我の重症度で分けているところだった。
みんなで魔王のところに行き、天王がルーカス達の怪我の具合を説明している間に、忙しそうにしている兵の所へと行き手伝いをしようとするが、天界の王子であり、結月の弟にそんなことはさせられないと言われ、ノアと一緒に炊き出し場へと向かう。
途中で天王も合流し、見馴れた大型鍋でスープを作っている女集を見つけ、家族を探す。
「あ、居ました。配ってますけど、服もぼろぼろですね……」
「来る途中で何かあったのかな?」
「家族か?」
「母と姉です。ちょっと聞いてきます」
ノアが走っていったので、あとから天王と一緒に追いかけ、周りの現状も見る。
「ここは怪我人は少ないみたいだけど、動けない人達の所までスープ運ばないといけないよね?」
「今まではどうしておった?」
「城にあるワゴンを全部出して、そこに乗せて一気に運ぶ形。奥から配って行って回収しながら戻るんだけど、動けない人には介助もつけてたよ」
「ここは結月の城じゃから、王宮とは数が違うだろう。街の人が協力してくれるといいんじゃがのう」
天王も疲れたのか、椅子に座って紅茶を飲み眠っているみんなを見ている。
「ユーリさん、俺みんなのところに行ってくる……」
「行くと言っても、もう皆さん戻ってくると思いますよ?少し前に連絡きましたし」と頭を指さす。
「そうなの?誰も怪我とかしてない?」
「そこまでは……ですが、こちらが気になるので見に来ると言われてましたよ?」
ガチャっとドアが開き、結月やノアが入ってくる。
「どんな感じだ?」
「お二人共治療は終わりましたが、ニコルさんはしばらく動かさない方がいいでしょう。ルーカス様もですが……」
「ちょっと見せてくれ」
こういう時だけは頼りになるなと思いながら、二人を見て回ってる姿はテキパキとしていて流石だなと思った。
ふと、ノアを見ると血がついていたので、思わず服をめくってしまう。
「奏太様?」
「ノア、怪我してる……」
「擦り傷です。すぐに治りますので」
「ダメだよ。バイキン入ったらどうするの?お父さん治してあげて……」
「どれ、ちょっと見せてくれ。あぁ、流石に剣士ともなると二人共頑丈だな。すぐ治る」そう言って手をかざすと、すぐに傷口がふさがり血が止まる。
良かったと安心してほかの人も見ると少なからずみんな軽い怪我をしているので、天王とユーリに治して貰い、着替えてきてとお願いする。
「奏太は血の匂いに敏感じゃの」
「昔から好きじゃないんだけど、匂いは最近敏感になったよ?ムー達とは比べ物にならないんだけど」
「あれらは元々動物じゃから余計に敏感なのだろうな。それよりも結月、魔王はどうした?」
「その変にいないか?あ……多分外だ。兵がどうのこうのと言ってたと思うんだが……ルーカスの代わりに指揮を執りに行ってるんじゃないか?」
「それもそうだの。よし、奏太よ。炊き出しとやらに行こうか」
「王自ら?」
「ここにおっても何も出来んからの。それに、向こうからのけが人もそろそろ着くんじゃないかと思っておるのじゃが」
「あ、ノア達のお母さんとお姉さんもいるかな?」
「結月よ、人を何人か借りるぞ?」
「好きに使ってくれ」
天王と外に出ると、門付近に沢山のけが人が荷車に乗ってきており、それを兵と魔王で怪我の重症度で分けているところだった。
みんなで魔王のところに行き、天王がルーカス達の怪我の具合を説明している間に、忙しそうにしている兵の所へと行き手伝いをしようとするが、天界の王子であり、結月の弟にそんなことはさせられないと言われ、ノアと一緒に炊き出し場へと向かう。
途中で天王も合流し、見馴れた大型鍋でスープを作っている女集を見つけ、家族を探す。
「あ、居ました。配ってますけど、服もぼろぼろですね……」
「来る途中で何かあったのかな?」
「家族か?」
「母と姉です。ちょっと聞いてきます」
ノアが走っていったので、あとから天王と一緒に追いかけ、周りの現状も見る。
「ここは怪我人は少ないみたいだけど、動けない人達の所までスープ運ばないといけないよね?」
「今まではどうしておった?」
「城にあるワゴンを全部出して、そこに乗せて一気に運ぶ形。奥から配って行って回収しながら戻るんだけど、動けない人には介助もつけてたよ」
「ここは結月の城じゃから、王宮とは数が違うだろう。街の人が協力してくれるといいんじゃがのう」
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
白い彼女は夜目が利く
とらお。
キャラ文芸
真夏の夜、涼しい風が吹くその場所で、彼女を見つけた。
何の変哲もない男子高校生、神埼仄は小学生の頃一目惚れした少女を忘れられずにいた。
そんなある日、一人の少女がクラスに転校してくる。
その少女は昔一目惚れしたその少女とそっくりで……。
それからだった。
彼の身の回りでおかしなことが起こり始めたのは。
◆ ◇ ◆ ◇
怪異に恋する現代和風ファンタジー。
貴方はそれでも、彼女を好きだと言えますか?
毎週水・土曜日、20時更新予定!
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
後宮の記録女官は真実を記す
悠井すみれ
キャラ文芸
【第7回キャラ文大賞参加作品です。お楽しみいただけましたら投票お願いいたします。】
中華後宮を舞台にしたライトな謎解きものです。全16話。
「──嫌、でございます」
男装の女官・碧燿《へきよう》は、皇帝・藍熾《らんし》の命令を即座に断った。
彼女は後宮の記録を司る彤史《とうし》。何ものにも屈さず真実を記すのが務めだというのに、藍熾はこともあろうに彼女に妃の夜伽の記録を偽れと命じたのだ。職務に忠実に真実を求め、かつ権力者を嫌う碧燿。どこまでも傲慢に強引に我が意を通そうとする藍熾。相性最悪のふたりは反発し合うが──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる