天満堂へようこそ 6

浅井 ことは

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即位

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暫くして天王がサムを連れてやって来て、早く着替えろと急かしてくる。

「ノア、お主も貴賓席に座るのじゃから、ちゃんとタスキをつけて……ムーとブランはこっちじゃ、儂が付けてやろう。ほら、奏太着替えなさい」

「う、うん……」

手に取った服は想像よりはるかにフリフリとしている。

「俺、ルーカスさんの気持ちとってもわかるよ」

「だろ?このスカーフで俺は隠せるが、お前のは上に着るヤツが長いからな……」

「これさえ無かったら……ベストって聞いてたのに」

二人で文句を言いながら着替え、二人の王の前に出るものの、次はジャラジャラとアクセサリーをつけられウンザリする。

「奏太様しばらくの我慢ですから」

「終わったらこの上のジャンパースカートみたいなやつ!ひらひらの!脱いでいいよね?」

「か、構わん。そんなに嫌なら1段減らそうか?」

「要らないと思う……」

行こうということになり、みんなで式典の会場まで移動する。

「この城は式典用に出来てないので、門を開放して中庭へと続く真ん中の階段を使って式をするようです」

「俺達はどこに行くんだろ?」

階段の真下と聞き、天王、魔王に続き、ルーカスの隣に腰掛け、間にニコルやノアが入る。

「ノア、あの人たち誰?」

「どの方ですか?」

「ほら、長い髭生やした三つ子みたいな3人のおじいさん」

「あれは、人間界で言う大臣のようなものです。姫様が留守の間ここを守ってる方で、本城の大臣の三つ子とご兄弟です」

「3つ子が2組?」

「ええ、大臣の家系は多いですね」

「これさ、あの人たちも白を基調にしてるけど、上に来てるのが緑系のって幻界の人って思ったらいいんだよね?」

「そうです」

話しているとラッパが鳴り、兵が周りを囲む様に整列する。

「奏太、始まるぞ!」

軽快な音楽とともに、壇上となる中庭から結月が現れ、外から見ているであろう民の大歓声が響く。

栗毛色の長い髪は綺麗に束ねられ、濃い緑色のドレスに、髪飾りから出ているのか薄いシースルーの様なものを裾まで垂らしている。

手を挙げて民に応えているが、見ようによっては明らかに魔女!
今にも奇声をあげそうな風に見えるのは俺だけなのか、みんな何も言葉を発しない。

ドンとの音と共にたくさんの花火が上げられ、それにあわせて階段から結月がユーリに手を取られ降りてくる。

「ユーリさんがすごく綺麗……」

「驚いたか?」

「うん、結月さんがどうしても魔女に見えちゃったけど、ユーリさんが光って見える」

「普段エスコート役は、伴侶となるものがするのですが、急なことでしたので兄がしたのでしょう」

「結月さんのあのマントみたいなやつ何?」

「あれは正装でして、ヴェールです」

「そう、それそれ。ドレスも濃い色でびっくりした」

「前王は薄い色でしたから、今後はこの濃い色が流行るかもしれないですね。ですが、あのヴェールは前王のものだと思うのですが……」
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