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即位
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「もう終わった事だし、お前達のお陰で捕まえれたしさ。気にしなくていいよ?でも匂いのことは話した方がいいと思う」
「うん、僕ユーリさんに話してくる」
バチャッと湯船から元気に飛び出した2匹に、ちゃんと乾かしてもらえと声だけかけ、肩までゆっくりと浸かってから上がる。
「ノア、ムーは?」
「兄が姫の元へと連れていきました。今ルーカス様の兵が交代で見張っているのですが、もしも人を興奮させる作用のあるものなら、兵同士が戦ってしまう危険もあると忠告したので」
「そんな事あるの?」
「あります。大抵興奮剤止まりですが、大きな戦いの前など兵に匂いを嗅がせる軍隊もあるので……」
「幻界って平和そうなのになぁ」
「平和ですが、たまに問題が起こる時は兵が動きます。多いのは幻魔獣の群れがいた時ですが……」
「人もあるってことだよね?」
「中にはそのような時も。天界はあまり聞いたことはないのですが、魔界は前のように良く諍いが起きるので、兵に使うこともあるようです」
「俺、争い事とか嫌いなんだけど、今回はやっぱり俺のせいなのかな……」
「気にする必要は無いと思います。それに、リアムさんの思い込みと姫様への思いなどから起こったことですし」
「そうかもしれないけど……」
「さ、何か食べてください。お風呂に入っている時に軽いものを用意してもらいました」
「でも」
「私も一緒にいただきます。幻魔牛の肉は久しぶりですね。パンに挟んでもらいました。美味しそうですよ?」
分かったと一つ取り口に入れる。
お腹は正直で、食べ出すと余計にお腹が減り、結局スープまで沢山食べてしまった。
コーヒーを飲みながら、今後の予定を聞くと、今出しているお触れと共に式典の準備がされ、明日早速即位の儀式が執り行われると言う。
「まさかだけど、あのヒラヒラの服着ないといけないのかな?」
「今回は前にも着た白の上下にベストを着ればいいそうです。お披露目とあまり変わらないと思いますが」
「ベストも派手なんだろうなぁ」
「式典だけですから」
「ノアも着るんだよね?」
「はい。終ったらスカーフでも良いそうです」
「分かった。幻王のお葬式も白なの?」
「天界での礼装になるので白ですが、人間界は全員黒のスーツには驚きました」
「あれね、最初は白だったんだって。でも汚れて黒くなっていくから黒になったって聞いたことがあるよ」
「天界から魔界へいく感じに似ていますね」
「白から黒ってこと?」
「はい。葬儀は姫様も礼装の薄緑のドレスで出られると思います」
「即位は?」
「緑系でしょうが、驚くと思いますよ?」
「派手なのかな?」
「色々とです」
外の廊下から慌ただしい音がしたので、扉を開けてノアと見ると、ルーカスの兵たちが走って通り過ぎて行った。
「何かあったのかな?」
「見に行くにしても、ガウンから着替えないと行けませんよ?」
「そうだ!服、服あるの?俺のボロボロなんだけど」
「用意してもらいました。天界の服ではないのですが」
「どんなの?」
「うん、僕ユーリさんに話してくる」
バチャッと湯船から元気に飛び出した2匹に、ちゃんと乾かしてもらえと声だけかけ、肩までゆっくりと浸かってから上がる。
「ノア、ムーは?」
「兄が姫の元へと連れていきました。今ルーカス様の兵が交代で見張っているのですが、もしも人を興奮させる作用のあるものなら、兵同士が戦ってしまう危険もあると忠告したので」
「そんな事あるの?」
「あります。大抵興奮剤止まりですが、大きな戦いの前など兵に匂いを嗅がせる軍隊もあるので……」
「幻界って平和そうなのになぁ」
「平和ですが、たまに問題が起こる時は兵が動きます。多いのは幻魔獣の群れがいた時ですが……」
「人もあるってことだよね?」
「中にはそのような時も。天界はあまり聞いたことはないのですが、魔界は前のように良く諍いが起きるので、兵に使うこともあるようです」
「俺、争い事とか嫌いなんだけど、今回はやっぱり俺のせいなのかな……」
「気にする必要は無いと思います。それに、リアムさんの思い込みと姫様への思いなどから起こったことですし」
「そうかもしれないけど……」
「さ、何か食べてください。お風呂に入っている時に軽いものを用意してもらいました」
「でも」
「私も一緒にいただきます。幻魔牛の肉は久しぶりですね。パンに挟んでもらいました。美味しそうですよ?」
分かったと一つ取り口に入れる。
お腹は正直で、食べ出すと余計にお腹が減り、結局スープまで沢山食べてしまった。
コーヒーを飲みながら、今後の予定を聞くと、今出しているお触れと共に式典の準備がされ、明日早速即位の儀式が執り行われると言う。
「まさかだけど、あのヒラヒラの服着ないといけないのかな?」
「今回は前にも着た白の上下にベストを着ればいいそうです。お披露目とあまり変わらないと思いますが」
「ベストも派手なんだろうなぁ」
「式典だけですから」
「ノアも着るんだよね?」
「はい。終ったらスカーフでも良いそうです」
「分かった。幻王のお葬式も白なの?」
「天界での礼装になるので白ですが、人間界は全員黒のスーツには驚きました」
「あれね、最初は白だったんだって。でも汚れて黒くなっていくから黒になったって聞いたことがあるよ」
「天界から魔界へいく感じに似ていますね」
「白から黒ってこと?」
「はい。葬儀は姫様も礼装の薄緑のドレスで出られると思います」
「即位は?」
「緑系でしょうが、驚くと思いますよ?」
「派手なのかな?」
「色々とです」
外の廊下から慌ただしい音がしたので、扉を開けてノアと見ると、ルーカスの兵たちが走って通り過ぎて行った。
「何かあったのかな?」
「見に行くにしても、ガウンから着替えないと行けませんよ?」
「そうだ!服、服あるの?俺のボロボロなんだけど」
「用意してもらいました。天界の服ではないのですが」
「どんなの?」
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