3 / 127
即位
.
しおりを挟む
「誰の部屋だろう?」
「女王の部屋かと……ですがここももう崩れそうで危ないです」
「ちょっとだけ……」
松明の明かりを頼りに中へと入る。
白で統一された家具の上に、たくさんの写真があるが、どれも写真立てが割れて中も燃えた後だった。
チェストの裏側に小さなひび割れを見つけ、ノアとそこを崩して中を見る。
「これって……」
「隠し金庫のようなものですが、壊れてますね」
中を開けると、一枚の手紙と沢山の宝石。
そして、楽しそうに笑う結月と幻王の写真が入っていた。
「この写真だけ無事だったんだ……」
「手紙と一緒に姫様に届けましょう」
「うん、他は……燃えてるしダメかな?」
「そうですね。ここだけよく無事だったと思います」
部屋の外に出ようとベッドがあったであろう残骸の下に光るものを見つけた。
「ノア、あそこ!なにか光ってる」
「何処ですか?」
指をさすがノアには見えていないらしく、焦げた木の板を取り除くと、ガラスのケースに入った王冠と、二冊の本が出てきた。
「王冠と本?」
「王のみが継承するものの本だと。王冠も無傷で……王はこれを守ったのでしょうか?」
「そんな感じがする。持ってるととっても暖かいんだ」
早く届けてあげようと急いで外に出て結月を探す。
みんな休んでおり、兵たちが食事をしているところだった。
「ルーカスさん、結月さんは?」
「まだ怪我人を治してる。薬くらい任せたらいいのに……」
走って結月さんのところへ行くのを後ろからルーカスが呼び止めるが早く渡したくて急ぐ。
「結月さん!」
「なんだ?」
「これ……中で見つけたんだ」
持ってきたものを渡し、薬を配るのを変わる。
手紙を読んだのだろう。何が書かれていたのかはわからないが、結月がその場でまた泣き崩れてしまったので、ルーカスとニコルに任せ、ユーリとノアと薬を配り続ける。
やっと終わった時には日が昇り始めていたので、日中は日差しのことも考え天幕をいくつか張る。
「奏太様、いい加減に休んで頂かないと……」
「うん、もうちょっとだけ……」
黒い甲冑を身に付けた兵がやってきて、変わりますと変わってくれた。
「さ、こちらへ」
連れていかれたのは一つの大きな天幕。
中にはみんな揃っており、ムーとブランも無事で横になっている。
「奏太さん、ノアも。食事をとってください……」とユーリにスープとパンを渡され、食欲はなかったが無理矢理喉に流し込む。
その後は強制的に寝かされ、起きた時にはもうお昼はとうに過ぎていた。
「奏太くん!」
「ブラン?」
「みんな外に行ったから、僕が留守番なの」
「そっか。ちゃんと食べたか?」
「食べたけど、結月さんが食べないから……ムーくんも元気無くて」
頭を撫で、大丈夫と言って外に出る。
改めて見ても悲惨な光景に変わりはなく、動けるものが荷台を引き怪我人を運んでいた。
「女王の部屋かと……ですがここももう崩れそうで危ないです」
「ちょっとだけ……」
松明の明かりを頼りに中へと入る。
白で統一された家具の上に、たくさんの写真があるが、どれも写真立てが割れて中も燃えた後だった。
チェストの裏側に小さなひび割れを見つけ、ノアとそこを崩して中を見る。
「これって……」
「隠し金庫のようなものですが、壊れてますね」
中を開けると、一枚の手紙と沢山の宝石。
そして、楽しそうに笑う結月と幻王の写真が入っていた。
「この写真だけ無事だったんだ……」
「手紙と一緒に姫様に届けましょう」
「うん、他は……燃えてるしダメかな?」
「そうですね。ここだけよく無事だったと思います」
部屋の外に出ようとベッドがあったであろう残骸の下に光るものを見つけた。
「ノア、あそこ!なにか光ってる」
「何処ですか?」
指をさすがノアには見えていないらしく、焦げた木の板を取り除くと、ガラスのケースに入った王冠と、二冊の本が出てきた。
「王冠と本?」
「王のみが継承するものの本だと。王冠も無傷で……王はこれを守ったのでしょうか?」
「そんな感じがする。持ってるととっても暖かいんだ」
早く届けてあげようと急いで外に出て結月を探す。
みんな休んでおり、兵たちが食事をしているところだった。
「ルーカスさん、結月さんは?」
「まだ怪我人を治してる。薬くらい任せたらいいのに……」
走って結月さんのところへ行くのを後ろからルーカスが呼び止めるが早く渡したくて急ぐ。
「結月さん!」
「なんだ?」
「これ……中で見つけたんだ」
持ってきたものを渡し、薬を配るのを変わる。
手紙を読んだのだろう。何が書かれていたのかはわからないが、結月がその場でまた泣き崩れてしまったので、ルーカスとニコルに任せ、ユーリとノアと薬を配り続ける。
やっと終わった時には日が昇り始めていたので、日中は日差しのことも考え天幕をいくつか張る。
「奏太様、いい加減に休んで頂かないと……」
「うん、もうちょっとだけ……」
黒い甲冑を身に付けた兵がやってきて、変わりますと変わってくれた。
「さ、こちらへ」
連れていかれたのは一つの大きな天幕。
中にはみんな揃っており、ムーとブランも無事で横になっている。
「奏太さん、ノアも。食事をとってください……」とユーリにスープとパンを渡され、食欲はなかったが無理矢理喉に流し込む。
その後は強制的に寝かされ、起きた時にはもうお昼はとうに過ぎていた。
「奏太くん!」
「ブラン?」
「みんな外に行ったから、僕が留守番なの」
「そっか。ちゃんと食べたか?」
「食べたけど、結月さんが食べないから……ムーくんも元気無くて」
頭を撫で、大丈夫と言って外に出る。
改めて見ても悲惨な光景に変わりはなく、動けるものが荷台を引き怪我人を運んでいた。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
あやかし旅籠 ちょっぴり不思議なお宿の広報担当になりました
水縞しま
キャラ文芸
旧題:あやかし旅籠~にぎやか動画とほっこり山菜ごはん~
第6回キャラ文芸大賞【奨励賞】作品です。
◇◇◇◇
廃墟系動画クリエーターとして生計を立てる私、御崎小夏(みさきこなつ)はある日、撮影で訪れた廃村でめずらしいものを見つける。つやつやとした草で編まれたそれは、強い力が宿る茅の輪だった。茅の輪に触れたことで、あやかしの姿が見えるようになってしまい……!
廃村で出会った糸引き女(おっとり美形男性)が営む旅籠屋は、どうやら経営が傾いているらしい。私は山菜料理をごちそうになったお礼も兼ねて、旅籠「紬屋」のCM制作を決意する。CMの効果はすぐにあらわれお客さんが来てくれたのだけど、客のひとりである三つ目小僧にねだられて、あやかし専門チャンネルを開設することに。
デパコスを愛するイマドキ女子の雪女、枕を返すことに執念を燃やす枕返し、お遍路さんスタイルの小豆婆。個性豊かなあやかしを撮影する日々は思いのほか楽しい。けれど、私には廃墟を撮影し続けている理由があって……。
愛が重い美形あやかし×少しクールなにんげん女子のお話。
ほっこりおいしい山菜レシピもあります。
未亡人クローディアが夫を亡くした理由
臣桜
キャラ文芸
老齢の辺境伯、バフェット伯が亡くなった。
しかしその若き未亡人クローディアは、夫が亡くなったばかりだというのに、喪服とは色ばかりの艶やかな姿をして、毎晩舞踏会でダンスに興じる。
うら若き未亡人はなぜ老齢の辺境伯に嫁いだのか。なぜ彼女は夫が亡くなったばかりだというのに、楽しげに振る舞っているのか。
クローディアには、夫が亡くなった理由を知らなければならない理由があった――。
※ 表紙はニジジャーニーで生成しました
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる