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#10 死神界と人間界と天の世界

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「はい、そこまでです。この三住さんの記録は今現在、ここに来たことまでは書かれています。そして最後のページには最後の日も。なので見てはいけないのです。勿論、私やアギル、マルコやテオさんのもあります。あれがみえますか?」


 リヒトが指をさしたのは、本棚からいくつか飛び出ている本。

 本は、少しだけ出ているものもあれば、もう落ちてしまいそうま物まで。

「あっ」

 一冊の本が落ちると思ったら、その瞬間に宙に浮いて大勢いるデスクのうちの一つにふわっと落ちる。

「あれは、本が落ちた瞬間鎮魂が終わったことを意味します。そして判を押しているでしょう? あの方々は最後のページに記載されている魂の回収者の記録をつけています。その後にさらに奥の部屋に本はまとめて持って行かれます」

 移動して次の部屋に進むと先ほどの半分ほどの本棚があり、見ていると本に本を重ねている。

 よく見ると、重ねられた本は前の本に吸収されるかのように一つになり、また本棚に戻される。

「どういう仕組みになってるんだ?」

「ここは死神たちの名前の本があります。先ほど鎮魂した方々の本は、鎮魂者の死神の記録となり、名前が綴られます。勿論また見たい時にはその方のデータは取り出せる仕組みになって居まして、この先の最後の扉。見ますか?」

 ここまで来たら見ないわけにはいかないだろうと先へ進むと、中心に大きなガラスの支柱のようなものが三つあり、真ん中には蛍のように綺麗な様々な色の光。右側はその綺麗な光が上に上がっていき、左側は黒い埃のようなものが下に落ちていく。更に奥には細い支柱があり、そこにはよく見ると分かるほどの、白い綿毛のようなものが沢山ある。

「簡単に言いますと、右は天国へ。左は地獄へ。奥の支柱の者はこの死神界にとどまる魂。この魂は白いのばかりではありません。さらに奥の部屋に行きましょうか」

 部屋の中心には白と黒の混じった色だけではなく、黒紫や赤黒いものもある。

「これが、保管庫です。鎮魂したのは良いものの、どこにも行けなかった魂。この魂の浄化を行っている場所は神聖な場所となるので見せることは出来ませんが、三住さんの見た魂の塊はこれではありません」
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