妖古書堂のグルメな店主

#5 適正テスト

.

「許可は下りました。床はちゃんと補強してありますから、底は抜けません」

「そんな問題ではない。趣味とは聞いていたが、こんなものまで作って、貴様、ちゃんと貯金はしてるんだろうな？退職後の年金は少ないと説明もついこの前したのにこの浪費は何事だ馬鹿者！」

「始まった。これは困ると長いんだよ。茶わんとかどこ？」

テオに言われたので、人数分の茶わんを出し、お箸を並べて置く。

「あの二人って？」

「リヒトさんが兄で、アギルさんが弟。性格はみたまんま。これを止めて見ろ。こっちまで巻き添えになるぞ」

「ちょ、嘘だろ？全然似てない」

「「似てなくて結構」」

うわー、似てないと思ったけど似てる。

これが日常だと言って、テオが鍋の中身を深皿に入れて中央へと置く。

「あ……」

俺の呟いた一言で兄弟喧嘩が収まり、みんな無言で席に着くので、自分も座る。

「アギル、ビール出してください」

「はいはい」

こう話しているとまるで夫婦のようだが、死神もビール飲むんだと新しい発見。


「三住さんの結果ですが、特例としてアギルの補助要員に。ランクはℤです」

「Ⅾまでしかないんじゃ……」

「今の段階でランクはつけられないとのことです。それで、テオも補助要員として正式にアギルに着きます。この決定は覆されることはありません」