98 / 99
赤と城
.
しおりを挟む
「姫、お久し振りですね。ルーカスも……父上もお元気そうで」
四人が同時に喋るので誰が誰か分からない。
「私たちの目的は、もうここにはありません。準備はすべて整えてあります」
「何をしようとしておる?」
天王が魔法を発動しようとするも、何かに弾かれ発動できないでいる。
「私が何故クローンをたくさん作ったと思ってるんですか?魔力も前の比ではありません。それが4体。ですが、狭間では手間取りました。腕が無いのは困りましたからね」
「どうやって出た?お前、まだ結月のストーカーがしたいのか?」
「あなたには分かりませんよ?ルーカス。今や姫は憎しみでしかありません。あなたの全てを壊そうとずっと狭間で考えてました……
出られたのは簡単な事。もろい部分にずっと魔法をかけていただけです」
「あの檻は外からも中からも干渉は出来ない!」
「出来るんですよ。微量の魔力であの中を1杯にしてしまえば良い。そこに外からの圧力をかけたらドカン!です」
「くそっ!」
「まさか……」
「ふふ……では、我々はこれで。お待ちしてますよ?あの場所で……」
それだけ言うと全員が一気に消え、何事も無かったような静かな空間に戻った。
「おい、あの場所ってどこだ?」
「結月さん?」
「幻界だ……」
「幻界じゃと?」
「ルーカス……一緒に来てくれるか?」
「勿論だ」
「おっさん、こことあの2匹、エマたちのことは任せた。奏太、お前も残っていい……」
「俺も行く!」
「僕もー!」
「行きます!」
「全く!先にエマの薬だけ渡してくる。おっさんゲートの準備を。母にも連絡してくれ」
「わかった」
急いでエマの部屋へと行き、薬を渡す。
エマは体を起こし、「ニコルも連れて行ってください。ルーカス様の補佐はニコルにしかできません」
「エマ……」
「ルーカス様、お供いたします」
「だが……」
「ルーカス様、お願いします。私はここで待ちますので」
「わかった」
「ご無事で……」
みんなで走りゲートへと向かう。
ゲートの前では天王が魔王と話しており、幻界と連絡がとれないと言う。
「親父、魔界からも応援を。俺の部隊を行かせてくれ」
「それは……女王の許可がないと……」
「そんなこと言っている場合じゃないんだ!バカ親父!」
「天界からもお願いする。こちらも兵が割けぬ……リアムを……捕らえて……いや、殺しても構わん」
「殺すって……捕まえたらいいじゃん!」
「もう、我々の知っているリアムでは無い。他界に干渉するのは極刑に価する」
「そんな……」
「サムは王を守れ!ジョナス、ノア、奏太を守れ」
「御意」
「行くぞ───!」
ゲートを潜ると目の前には城、大きな木の近くに平屋建ての家がある。
「夢で見た所と同じだ」
「城はまだ無事だな。俺と結月で行こう」
「まて!出てこい。隠れるのだけはうまいな」
「褒めても何も出ませんよ?それに、幻界にも使者が送り込んであります。まさか奏太さんが伝説の目を持っていたとは予定外でしたが」
「なんでこんな酷いことするの?あんなに優しかったのに!」
「奏太さんに記憶が無いように、私にもなかったんですよ。一時期……思い出した時には驚きました。まさか、隠されたあなたと幼少時に仲良く遊んでいたとは夢にも思いませんでしたから」
「あの写真か?」
「ええ、おもちゃの隠し場所の虚に入れておきました」
「いつから計画を立てていた?」
そう言う結月の手は僅かに震えている。相当怒っているのだろう。
「姫が姿を消した時……ふと、気付いたんですよ。奏太さんが居なければ父を殺し私が王になればいいと。そうすればあなたを嫁にもらうことも出来たんです。でもあなたはいつも私の事を拒み続けた。だからまず一つずつ片付けていこうと奏太さんを狙ったんです」
四人が同時に喋るので誰が誰か分からない。
「私たちの目的は、もうここにはありません。準備はすべて整えてあります」
「何をしようとしておる?」
天王が魔法を発動しようとするも、何かに弾かれ発動できないでいる。
「私が何故クローンをたくさん作ったと思ってるんですか?魔力も前の比ではありません。それが4体。ですが、狭間では手間取りました。腕が無いのは困りましたからね」
「どうやって出た?お前、まだ結月のストーカーがしたいのか?」
「あなたには分かりませんよ?ルーカス。今や姫は憎しみでしかありません。あなたの全てを壊そうとずっと狭間で考えてました……
出られたのは簡単な事。もろい部分にずっと魔法をかけていただけです」
「あの檻は外からも中からも干渉は出来ない!」
「出来るんですよ。微量の魔力であの中を1杯にしてしまえば良い。そこに外からの圧力をかけたらドカン!です」
「くそっ!」
「まさか……」
「ふふ……では、我々はこれで。お待ちしてますよ?あの場所で……」
それだけ言うと全員が一気に消え、何事も無かったような静かな空間に戻った。
「おい、あの場所ってどこだ?」
「結月さん?」
「幻界だ……」
「幻界じゃと?」
「ルーカス……一緒に来てくれるか?」
「勿論だ」
「おっさん、こことあの2匹、エマたちのことは任せた。奏太、お前も残っていい……」
「俺も行く!」
「僕もー!」
「行きます!」
「全く!先にエマの薬だけ渡してくる。おっさんゲートの準備を。母にも連絡してくれ」
「わかった」
急いでエマの部屋へと行き、薬を渡す。
エマは体を起こし、「ニコルも連れて行ってください。ルーカス様の補佐はニコルにしかできません」
「エマ……」
「ルーカス様、お供いたします」
「だが……」
「ルーカス様、お願いします。私はここで待ちますので」
「わかった」
「ご無事で……」
みんなで走りゲートへと向かう。
ゲートの前では天王が魔王と話しており、幻界と連絡がとれないと言う。
「親父、魔界からも応援を。俺の部隊を行かせてくれ」
「それは……女王の許可がないと……」
「そんなこと言っている場合じゃないんだ!バカ親父!」
「天界からもお願いする。こちらも兵が割けぬ……リアムを……捕らえて……いや、殺しても構わん」
「殺すって……捕まえたらいいじゃん!」
「もう、我々の知っているリアムでは無い。他界に干渉するのは極刑に価する」
「そんな……」
「サムは王を守れ!ジョナス、ノア、奏太を守れ」
「御意」
「行くぞ───!」
ゲートを潜ると目の前には城、大きな木の近くに平屋建ての家がある。
「夢で見た所と同じだ」
「城はまだ無事だな。俺と結月で行こう」
「まて!出てこい。隠れるのだけはうまいな」
「褒めても何も出ませんよ?それに、幻界にも使者が送り込んであります。まさか奏太さんが伝説の目を持っていたとは予定外でしたが」
「なんでこんな酷いことするの?あんなに優しかったのに!」
「奏太さんに記憶が無いように、私にもなかったんですよ。一時期……思い出した時には驚きました。まさか、隠されたあなたと幼少時に仲良く遊んでいたとは夢にも思いませんでしたから」
「あの写真か?」
「ええ、おもちゃの隠し場所の虚に入れておきました」
「いつから計画を立てていた?」
そう言う結月の手は僅かに震えている。相当怒っているのだろう。
「姫が姿を消した時……ふと、気付いたんですよ。奏太さんが居なければ父を殺し私が王になればいいと。そうすればあなたを嫁にもらうことも出来たんです。でもあなたはいつも私の事を拒み続けた。だからまず一つずつ片付けていこうと奏太さんを狙ったんです」
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる