天満堂へようこそ 5

浅井 ことは

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赤と城

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ちょっと待てと天王が気配を探っている間、呑気なことに食べたいものはないかと聞かれる。

「寝てたんだから、ガッツリと食べたいけど……」

「構わん。作ってきてやれ。ニコル、ユーリの調べた食材だけを使え」

「畏まりました」

「エマ、すまん……」

「姫様……私は大丈夫です。姫様のお好きなものも作ってきますね」

三人が出ていくと同時に、「居らぬ!」と天王が叫び、また誰かを呼び出している。

「奏太様?」とノアに呼びかけられ、自分が寝ていきそうになっていたのだと気づく。

「あ、ごめん。結月さん、毒ってもう抜けてるのかな?」

「顔色もいいし、吐き気も腹も下してないから大丈夫だろう」

「てんお……お、お父さん……て俺本当に呼んでいいのかな?」

「当たり前じゃ、何を言っておる」

「でもリアムさんが帰ってきたら、長子が王子でしょ?」

「あ奴は追放になっておるし……儂の子は奏太だけじゃ……確かに、リアムも息子じゃが大罪を犯した。罰せられねばならんのじゃよ」

「俺が許してても?」

「そうじゃ。各界それは変わらん」

「おっさん、奏太のお披露目なんだけどさ、俺の時みたいにベランダ側に結界張れないのか?」

「お前のときは汚いものが飛んできたからな!」

「う、煩い!外からでも攻撃できるなら、あったほうがいいんじゃないのかって話をしてるんだよ!」

「ルーカスよ……お前にも考える力がついたのか……」

「おっさんまで何言ってるんだよ!俺達は貴賓席にいる。変な動きをせず出来たとしても結月はともかく、俺は防御には弱い。ニコルと俺は警戒の方に集中したい。勿論ノアと、ジョナスだっけ?もだ。ユーリ、結月、おっさんで結界を張ったら大丈夫じゃないか?」

「四方に囲めと?」

「ジョナス、お前は知らんだろうが、奏太の結界は味方は出入り自由だ。便利だろう?」

「姫様、種明かしをすると破られますぞといつも言っております」

「それでも私に適う者はいまい。式典はどうするんだ?告知するのか?」

「もうかなりの人が集まり、前の席にいたものもまだ滞在しておる。城から旗が上がれば誰もがわかるじゃろ」

「なら告知なしで明日だ。奏太、食ったら寝ろ!明日お前にも働いてもらうぞ」

「僕達も働く!ね、ブラン!」

「はい!」

夕食は天界の何かの肉だろうが、牛肉と同じような味のする肉の煮込みスープと、パン。サラダ等を食べた。
他にもあったが、食べてなかったこともあったので、スープをメインにして食べた。

「ん?ブラン食べないのか?」

「食べてますけど……」

「どうしたの?」

「僕大きいままだからたくさん食べちゃうなって思って」

「気にしなくて良いから食べろよ。沢山あるんだし。ムーなんて肉ばっかりかじってるぞ?」

「じゃあ、お芋もらってきます」

いつもならタタタッと走っていくのに元気がない。

「結月さん、なんかブランがおかしいんだけど」

「気にはなっていたが、久しぶりに大きくなったからだろう。特に魔力の乱れもないし……あ!ブラン、ちょっとこっち来い」

「クキョッ?」

「ブラン食ってるところ悪いんだがな、ちょーっとだけ羽を上げてみろ」

「羽?」

不思議そうにしながらも言われるまま翼部分をあげる。
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