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記憶と夢
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一先ずルーカスたちが帰ってくるまではと、仮眠をとることにし、それぞれの部屋へと戻る。
「姫、明日の警護はどうされるんです?」
「私1人でいい……奏太に付いててくれ。筋肉バカ親子だけでは心配だし、私はある程度のところまでは転移していくし、馬もあるしな」
「危険では?」
「見たら戻るし、確認したいこともあるから1人のが都合がいい」
「分かりました。何かあれば呼んでください」
「うん……あ!ルーカスかニコルが戻ったら、私の気配をたどってきてくれてもいいぞ?」
「そうさせて頂きます。ニコルさんも旅行の最中に災難でしたね」
「改めて行かせてやるし、こちらで後7日ある。十分な時間があるから何とかなるだろう……
少し寝る。三時間くらい寝たら行ってくる」
「はい」
みんなが寝たのを確認してから、城を抜け出しある程度予測していた場所まで転移する。
見渡す限り草原しかないが、環境的には過ごしやすそうだ。
城から勝手に持ってきた馬に跨り、境目までは行かないだろうと適当に進む。
途中に池があったのでそこで馬を休め、地図を広げる。
前に王から聞きだした場所と、現在の池の場所からそれほど遠くはないだろうと、進む方向を決める。
「川か……匂いも何も無いな……」
地図に載っている川が目印なのだが、変化でもすればもっと嗅覚も上がるのだがと思いつつ、池があるなら、湧き水でない限り川は近いと思って、周りの草を調べる。
「お、こっちだな……」
1部みずみずしい草が平地の方へと向かって伸びているのを見つけ、馬に跨ってそちらの方向へと進む。
しばらく進むと心地いい風と共に水の匂いに混じって若草の匂いがしてきた。
川を見つけてから、少し森の方へと進むと、大きなクレーターのようなものが目に入る。
「でかいな……」そう独り言を言いながら、大木に近づく。
夢で見たものと同じなので、上の方に虚があるはずだが、その時はペンダントは木に掛かっていた。
今、木には何も無く、足に少し魔力を流し、上の虚まで上がり、中を見る。
何か沢山入っているので、腕を突っ込んで取り出す。
「汚いなぁ……奏太のおもちゃか?」
木製の馬に兵隊らしき人形、そっと触らなかったら壊れてしまいそうなほど脆くなっている。
その中にチェーンが見え、引っ張り出す。
「これだ……」
他のものをハンカチに包み、ロケットになっているペンダントを開けようかどうか迷う。
開けたらきっと壊れてしまうだろうが、中を見なくては何もわからない。
思い切って中を見ると、1枚の小さな写真が入っていた。
1人はまだ1歳くらいだから奏太だろう。そして、まだまだ若いが乳母、そしてもう1人……
「姫、明日の警護はどうされるんです?」
「私1人でいい……奏太に付いててくれ。筋肉バカ親子だけでは心配だし、私はある程度のところまでは転移していくし、馬もあるしな」
「危険では?」
「見たら戻るし、確認したいこともあるから1人のが都合がいい」
「分かりました。何かあれば呼んでください」
「うん……あ!ルーカスかニコルが戻ったら、私の気配をたどってきてくれてもいいぞ?」
「そうさせて頂きます。ニコルさんも旅行の最中に災難でしたね」
「改めて行かせてやるし、こちらで後7日ある。十分な時間があるから何とかなるだろう……
少し寝る。三時間くらい寝たら行ってくる」
「はい」
みんなが寝たのを確認してから、城を抜け出しある程度予測していた場所まで転移する。
見渡す限り草原しかないが、環境的には過ごしやすそうだ。
城から勝手に持ってきた馬に跨り、境目までは行かないだろうと適当に進む。
途中に池があったのでそこで馬を休め、地図を広げる。
前に王から聞きだした場所と、現在の池の場所からそれほど遠くはないだろうと、進む方向を決める。
「川か……匂いも何も無いな……」
地図に載っている川が目印なのだが、変化でもすればもっと嗅覚も上がるのだがと思いつつ、池があるなら、湧き水でない限り川は近いと思って、周りの草を調べる。
「お、こっちだな……」
1部みずみずしい草が平地の方へと向かって伸びているのを見つけ、馬に跨ってそちらの方向へと進む。
しばらく進むと心地いい風と共に水の匂いに混じって若草の匂いがしてきた。
川を見つけてから、少し森の方へと進むと、大きなクレーターのようなものが目に入る。
「でかいな……」そう独り言を言いながら、大木に近づく。
夢で見たものと同じなので、上の方に虚があるはずだが、その時はペンダントは木に掛かっていた。
今、木には何も無く、足に少し魔力を流し、上の虚まで上がり、中を見る。
何か沢山入っているので、腕を突っ込んで取り出す。
「汚いなぁ……奏太のおもちゃか?」
木製の馬に兵隊らしき人形、そっと触らなかったら壊れてしまいそうなほど脆くなっている。
その中にチェーンが見え、引っ張り出す。
「これだ……」
他のものをハンカチに包み、ロケットになっているペンダントを開けようかどうか迷う。
開けたらきっと壊れてしまうだろうが、中を見なくては何もわからない。
思い切って中を見ると、1枚の小さな写真が入っていた。
1人はまだ1歳くらいだから奏太だろう。そして、まだまだ若いが乳母、そしてもう1人……
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