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記憶と夢
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そうか……なら、まだまだ先かな?等と二人で話しているので余計に気になる。
「ねえ、これがなにか教えてよ」
「俺は魔界だからコウモリみたいな形の羽が出るんだが、おっさんは天界だからこちらの書物にあるのと同じような羽が出る。結月はちょっと違うんだが、羽は羽だな」
「羽?」
「王族のみ出るものじゃ。結月も中々出なくて心配したものじゃが、幻界の女王とよく似た羽じゃよ。空も飛べるが多少の魔力がいるのじゃ」
「は?バサッとかって出てくるんじゃないよね?」
「それは無いな。俺達はもう慣れたから、一部だけの変化もできる。その時に羽だけ出して空中戦に持ち込んだりとかするが、お前のはどんな形なんだろうな?」
「ハーフじゃから天使の羽ではないと思うが……」
「ちょっと待って?前に俺の変化は一時的なものかもって言ってたよね?だったら俺は何になるの?」
「「さぁ?」」
「さぁ?って、分からないの?」
「そればかりは分からんが、幼少時にだんだん変化して行って、お主くらいの年には大体決まっておるのじゃが、600年も人間として生きてきたのじゃ。明日なのか数年後なのか全くわからん」
「放っておいてもいいのかな?」
「構わん。もし、痒みや痛みなどがあれば、それは知らせのようなものだと思うておれば良い」
「うん……」
どうなるのか分からないか……そんなことを考えながら湯に浸かり、温まったところで出てから着替えすぐに休む。
「奏太様お時間ですよ?奏太様……」
「あ!」とガバッと起き時計を確認する。
時計の針は9:40分。
試験時間は10:30分。
「寝坊した!ノア、服どこ?」
バタバタと用意し、ご飯も食べずに車に乗り込む。
「間に合うかなぁ?」
「混んでますね……失礼します」そう言われ肩に手を置かれたと思ったら、自動車免許センターの建物の裏に出た。
「もう、見つかったらどうするんだよ。間に合ったけど……」
「ですがあのままだと遅刻になると思いましたので」
「うん、ありがと。受付行かないとね」
中に入って受付をし、視力を測り写真を撮る。
「車からかぁ……落ちたら写真とかもダメになるじゃん」
「私は見ていますので、頑張ってきてください」
「うん。行ってくるね」
車とテストは指導官に言われるまま、気をつけて運転し、なんとか終わったが、緊張し過ぎて変な汗が出てくる。
合格かどうか分からない無表情から何も読み取れないから余計に不安になる。
次は筆記だからと時間と部屋を教えてもらい、テストを受ける。
最初にもらったテキストも全部読んで、問題も解いてきた。
が、本番となるとどれも引っ掛けに見えてしまう。
全ての問題の答えを埋めて、間違えていないか何度も見直し、時間が来て回収。
数人が受けに来ており、部屋での待機となった。
今から呼ぶ番号の方は前に出てきてくださいと、かなり時間が経ってから、箱を持った人が三人来た。
が、なかなか名前が呼ばれない不安と焦りで、やっぱり無理だったんだよと諦めかけた時、多部奏太と呼ばれ前へと行く。
渡されたのは免許証。
最初に撮った写真がちゃんと載っている。
良かったと思った瞬間緊張が解け、別室で話を聞き終わりだった。
「ノア、見て!」と免許証を見せると、これをどうぞと小さな箱を渡された。
「開けていい?」
いいと言われ開けると薄いパスケースが入っていた。
「これならお財布にも入ると思って待ち時間に買ってきました」
薄い透明のパスケース、小さなワンポイントで刻印がおしてあり、お財布にも嵩張らずスッキリと入れることが出来た。
「ありがとう!もうずっと緊張してて、肩の力が抜けたと思ったら、すごくお腹すいてきた」
「帰りに何か食べていきますか?」
「ねえ、これがなにか教えてよ」
「俺は魔界だからコウモリみたいな形の羽が出るんだが、おっさんは天界だからこちらの書物にあるのと同じような羽が出る。結月はちょっと違うんだが、羽は羽だな」
「羽?」
「王族のみ出るものじゃ。結月も中々出なくて心配したものじゃが、幻界の女王とよく似た羽じゃよ。空も飛べるが多少の魔力がいるのじゃ」
「は?バサッとかって出てくるんじゃないよね?」
「それは無いな。俺達はもう慣れたから、一部だけの変化もできる。その時に羽だけ出して空中戦に持ち込んだりとかするが、お前のはどんな形なんだろうな?」
「ハーフじゃから天使の羽ではないと思うが……」
「ちょっと待って?前に俺の変化は一時的なものかもって言ってたよね?だったら俺は何になるの?」
「「さぁ?」」
「さぁ?って、分からないの?」
「そればかりは分からんが、幼少時にだんだん変化して行って、お主くらいの年には大体決まっておるのじゃが、600年も人間として生きてきたのじゃ。明日なのか数年後なのか全くわからん」
「放っておいてもいいのかな?」
「構わん。もし、痒みや痛みなどがあれば、それは知らせのようなものだと思うておれば良い」
「うん……」
どうなるのか分からないか……そんなことを考えながら湯に浸かり、温まったところで出てから着替えすぐに休む。
「奏太様お時間ですよ?奏太様……」
「あ!」とガバッと起き時計を確認する。
時計の針は9:40分。
試験時間は10:30分。
「寝坊した!ノア、服どこ?」
バタバタと用意し、ご飯も食べずに車に乗り込む。
「間に合うかなぁ?」
「混んでますね……失礼します」そう言われ肩に手を置かれたと思ったら、自動車免許センターの建物の裏に出た。
「もう、見つかったらどうするんだよ。間に合ったけど……」
「ですがあのままだと遅刻になると思いましたので」
「うん、ありがと。受付行かないとね」
中に入って受付をし、視力を測り写真を撮る。
「車からかぁ……落ちたら写真とかもダメになるじゃん」
「私は見ていますので、頑張ってきてください」
「うん。行ってくるね」
車とテストは指導官に言われるまま、気をつけて運転し、なんとか終わったが、緊張し過ぎて変な汗が出てくる。
合格かどうか分からない無表情から何も読み取れないから余計に不安になる。
次は筆記だからと時間と部屋を教えてもらい、テストを受ける。
最初にもらったテキストも全部読んで、問題も解いてきた。
が、本番となるとどれも引っ掛けに見えてしまう。
全ての問題の答えを埋めて、間違えていないか何度も見直し、時間が来て回収。
数人が受けに来ており、部屋での待機となった。
今から呼ぶ番号の方は前に出てきてくださいと、かなり時間が経ってから、箱を持った人が三人来た。
が、なかなか名前が呼ばれない不安と焦りで、やっぱり無理だったんだよと諦めかけた時、多部奏太と呼ばれ前へと行く。
渡されたのは免許証。
最初に撮った写真がちゃんと載っている。
良かったと思った瞬間緊張が解け、別室で話を聞き終わりだった。
「ノア、見て!」と免許証を見せると、これをどうぞと小さな箱を渡された。
「開けていい?」
いいと言われ開けると薄いパスケースが入っていた。
「これならお財布にも入ると思って待ち時間に買ってきました」
薄い透明のパスケース、小さなワンポイントで刻印がおしてあり、お財布にも嵩張らずスッキリと入れることが出来た。
「ありがとう!もうずっと緊張してて、肩の力が抜けたと思ったら、すごくお腹すいてきた」
「帰りに何か食べていきますか?」
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