61 / 99
記憶と夢
.
しおりを挟む
「上手い……」
「そうでしょう?結月だって綺麗にしてああやっていたら綺麗なのに残念だわ」
「ルーカスもだ。ふらふらしおって。だからエマを側使いにおいたのに……結婚式だなんて」
とまたハンカチで涙を拭いている。
「奏太様、天王様がお呼びですが」
「ノアは来ないの?」
「近くで待っておりますので」
外に出るバルコニーをちょうど出たところでワイン片手に待っている姿は、少しリアムさんに似ているようにも見える。
「来たか。座りなさい」
「寒くないの?」
机にはたくさんの料理と飲み物がおかれ、側についていた人に手で合図している。
失礼しますとその人が下がると、シャンパンのグラスを渡される。
「俺未成年だから」
「なに、天界では16で成人じゃ。人間の年で言うとだが。それにこれのアルコールはほんの少しじゃから大丈夫じゃろう」
「じゃぁちょっとだけ」
受け取り、グラスを重ねてから少し口に含む。
「あ、美味しい」
「ならよかった。イヴァンに探させたかいがあった。天界の事は学べたかね?」
「大体は。幻界の事は聞いていたから、ちょっと違うんだなって位かな?でも、儀式などは本を読んでも聞いてもあまりピンとこなくって」
「儀式はたくさんあるし、それぞれやり方も違う。神官が取り仕切るから堂々と座っていればいいんじゃが、王位を継ぐときに儂は階段で躓いてこけそうになったのを今でも覚えている」
「え?」
「服が……と言うよりも、裾が長くて引き摺るのじゃが、普段と変わらずに階段を上ろうとして裾を踏んで……今では笑い話じゃが」
「怒られたりとかは?前の王様とか臣下の人とか」
「後でな。その後の結婚式でも同じようなことをしてしまった」
「ドジなんだ……」
「何か言ったか?」
「な、何でも!」
「ノアもこっちに来て座りなさい」
「ですが……」
「全くお前たち二人はよくにている。儂がいいといったらいいのじゃよ?前にも言ったであろう?次は首に……」
「はい。座ります!今すぐに!」
「それで良い。奏太もわかったな?」
「うん」
「それでじゃ。奏太のほら車の学校とやらはどうなっておる?」
「まだ半分ぐらい」
「一度にとってしまおうとか思わんのか?」
「自信無いから通ってるんだよ?」
「結月には悪いんじゃが、奏太は賢い子と聞いておる。乗れれば問題ないんじゃろう?」
「魔法とかでとるのは嫌だから!」
「そんな事をしたら怒るのはわかっておる。一度受けてみんか?」
「何で急ぐの?」
ノアと俺のグラスにシャンパンを注いでくれ、美味しかったので少しずつ飲むが、核心に中々触れてくれない。
「お……お父さん?」
「ふむ。実はの、お前が王子になったのはみんな認めておるんじゃが、民の声と言うものがあるのはわかるか?」
「映画とかでは見るけど」
「そんな感じじゃ。次代の王でもあるから、要するに顔を見せろと言うことじゃ」
「そうでしょう?結月だって綺麗にしてああやっていたら綺麗なのに残念だわ」
「ルーカスもだ。ふらふらしおって。だからエマを側使いにおいたのに……結婚式だなんて」
とまたハンカチで涙を拭いている。
「奏太様、天王様がお呼びですが」
「ノアは来ないの?」
「近くで待っておりますので」
外に出るバルコニーをちょうど出たところでワイン片手に待っている姿は、少しリアムさんに似ているようにも見える。
「来たか。座りなさい」
「寒くないの?」
机にはたくさんの料理と飲み物がおかれ、側についていた人に手で合図している。
失礼しますとその人が下がると、シャンパンのグラスを渡される。
「俺未成年だから」
「なに、天界では16で成人じゃ。人間の年で言うとだが。それにこれのアルコールはほんの少しじゃから大丈夫じゃろう」
「じゃぁちょっとだけ」
受け取り、グラスを重ねてから少し口に含む。
「あ、美味しい」
「ならよかった。イヴァンに探させたかいがあった。天界の事は学べたかね?」
「大体は。幻界の事は聞いていたから、ちょっと違うんだなって位かな?でも、儀式などは本を読んでも聞いてもあまりピンとこなくって」
「儀式はたくさんあるし、それぞれやり方も違う。神官が取り仕切るから堂々と座っていればいいんじゃが、王位を継ぐときに儂は階段で躓いてこけそうになったのを今でも覚えている」
「え?」
「服が……と言うよりも、裾が長くて引き摺るのじゃが、普段と変わらずに階段を上ろうとして裾を踏んで……今では笑い話じゃが」
「怒られたりとかは?前の王様とか臣下の人とか」
「後でな。その後の結婚式でも同じようなことをしてしまった」
「ドジなんだ……」
「何か言ったか?」
「な、何でも!」
「ノアもこっちに来て座りなさい」
「ですが……」
「全くお前たち二人はよくにている。儂がいいといったらいいのじゃよ?前にも言ったであろう?次は首に……」
「はい。座ります!今すぐに!」
「それで良い。奏太もわかったな?」
「うん」
「それでじゃ。奏太のほら車の学校とやらはどうなっておる?」
「まだ半分ぐらい」
「一度にとってしまおうとか思わんのか?」
「自信無いから通ってるんだよ?」
「結月には悪いんじゃが、奏太は賢い子と聞いておる。乗れれば問題ないんじゃろう?」
「魔法とかでとるのは嫌だから!」
「そんな事をしたら怒るのはわかっておる。一度受けてみんか?」
「何で急ぐの?」
ノアと俺のグラスにシャンパンを注いでくれ、美味しかったので少しずつ飲むが、核心に中々触れてくれない。
「お……お父さん?」
「ふむ。実はの、お前が王子になったのはみんな認めておるんじゃが、民の声と言うものがあるのはわかるか?」
「映画とかでは見るけど」
「そんな感じじゃ。次代の王でもあるから、要するに顔を見せろと言うことじゃ」
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
御神楽《怪奇》探偵事務所
姫宮未調
キャラ文芸
女探偵?・御神楽菖蒲と助手にされた男子高校生・咲良優多のハチャメチャ怪奇コメディ
※変態イケメン執事がもれなくついてきます※
怪奇×ホラー×コメディ×16禁×ラブコメ
主人公は優多(* ̄∇ ̄)ノ
天満堂へようこそ 6
浅井 ことは
キャラ文芸
♪¨̮⑅*⋆。˚✩.*・゚
寂れた商店街から発展を遂げ、今やTVでCMも流れるほどに有名になった天満堂薬店。
その薬は人間のお客様は、天満堂薬店まで。
人外の方はご予約の日に、本社横「BAR TENMAN」までお越しください。
どんなお薬でもお作りします。
※材料高価買取
※口外禁止
※現金のみ取り扱い(日本円のみ可)
※その他診察も致します
天界で王子のお披露目の最中に起こった出来事。
新王子奏太が襲われ、犯人は過去に捕えられ狭間の世界へと送りこまれたリアムだったが……
天満堂へようこそ5の続編となります。
♪¨̮⑅*⋆。˚✩.*・゚
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
あの世とこの世の狭間にて!
みーやん
キャラ文芸
「狭間店」というカフェがあるのをご存知でしょうか。
そのカフェではあの世とこの世どちらの悩み相談を受け付けているという…
時には彷徨う霊、ある時にはこの世の人、
またある時には動物…
そのカフェには悩みを持つものにしか辿り着けないという。
このお話はそんなカフェの物語である…
AIアイドル活動日誌
ジャン・幸田
キャラ文芸
AIアイドル「めかぎゃるず」はレトロフューチャーなデザインの女の子型ロボットで構成されたアイドルグループである。だからメンバーは全てカスタマーされた機械人形である!
そういう設定であったが、実際は「中の人」が存在した。その「中の人」にされたある少女の体験談である。
伊藤さんと善鬼ちゃん~最強の黒少女は何故弟子を取ったのか~
寛村シイ夫
キャラ文芸
実在の剣豪・伊藤一刀斎と弟子の小野善鬼、神子上典膳をモチーフにしたラノベ風小説。
最強の一人と称される黒ずくめの少女・伊藤さんと、その弟子で野生児のような天才拳士・善鬼ちゃん。
テーマは二人の師弟愛と、強さというものの価値観。
お互いがお互いの強さを認め合うからこその愛情と、心のすれ違い。
現実の日本から分岐した異世界日ノ本。剣術ではない拳術を至上の存在とした世界を舞台に、ハードな拳術バトル。そんなシリアスな世界を、コミカルな日常でお送りします。
【普通の文庫本小説1冊分の長さです】
いたずら妖狐の目付け役
ススキ荻経
キャラ文芸
【京都×動物妖怪のお仕事小説!】
「目付け役」――。それは、平時から妖怪が悪さをしないように見張る役目を任された者たち。
しかし、妖狐を専門とする目付け役「狐番」の京都担当は、まさかのサボり魔だった!?
京の平和を全力で守ろうとする新米陰陽師の賀茂紬は、ひねくれものの狐番の手を(半ば強引に)借り、今日も動物妖怪たちが引き起こすトラブルを解決するために奔走する!
これは京都に潜むもふもふなあやかしたちの物語。
エブリスタにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる