天満堂へようこそ 5

浅井 ことは

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天幻界の血

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『話す……』

「今だ。押さえろよ」

パン!

大きく手を叩いて鳴らし、奏太の目覚めを待つ。

「止まったが、起きないぞ?」

「ユーリ」

「心臓に問題はありません。気の巡りが悪いようですが……ベッドに移しますか?」

「頼む。そのままついててやってくれ。ルーカスは今から言う本を棚からとってくれ」

「わかった」

「それにしても、お前よりどす黒いぞ?」

「余計なお世話だ。どの本だ?」

「一番右の棚、上から三番目の赤い背表紙。同じ段の茶色い辞書と___」

本を全部揃え、作業場の前の椅子の上に転送し、自分達も作業場の前に移動する。

「そこの瓶に万能薬満タンに入れてくれ」とルーカスに指示し、実験用の道具を引っ張り出す。

すべて設置し、瓶から少しだけ魔力を取り出し中に入れて、本の通りに進めていくと、四つに魔力が別れた。

同じ本を見ていたルーカスに失敗かと言われたので、違うとだけ答えてさらに細かく一つづつ調べる。

「残りはそこの瓶に入れておいてくれ」

「はいよ。で?その四つ目は何だ?」

「いまはまだ二つ目だ。が、一つ目は天界の魔力。これは魔界の魔力だな。もう一つは見慣れてるから分かるが幻界の魔力だ。最後のこれは見たこともない。これが混ざって黒かったのかさえわからん」

「ルーカス、エマは口は固いか?」

「ニコルの女房になる女だ。固すぎるぐらいだな」

「呼んでくれ。ユーリと交代してもらって、エマに奏太を見てもらう。お前は一度会社に顔を出して、ある程度進めておいてくれないか?細かいことは奏太なら机にでも置いてあるだろう」

「ノアには?」

「ノアが離れたらイヴァンが帰ってくる」

「ニコルに言ってバーの手伝いでもさせておこうか?そうすればこちらに戻れるだろう?」

作業場からルーカスがバーに電話し、簡単にニコルに説明をしてから外に出て転移する。

ルーカスがバーの中に入るとすでにノアは殺気だっており、ニコルに宥められているところだった。

「おい」

「ルーカス様!」

「話は後だ。ニコル、イヴァンに手伝ってもらってくれ。そろそろ常連の客が来る時間だろう?」

時計を見てニコルにそう言うと、「あぁ、いらっしゃいますね。バーなのに喫茶店がわりにする方々が……」等とぼやいている。

「エマ準備はいいか?」

「いつでも」

「あの、私が手伝いと言うのは?ここで皆さんと奏太様を待っていたのではないのですか?」

「奏太も副社長で忙しいんだ。人間界にいるってことはそう言うことだから覚えておけ。ニコル後は頼んだ。」

ノアとエマを連れて先に副社長室へと向かう。
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