52 / 99
天幻界の血
.
しおりを挟む
『話す……』
「今だ。押さえろよ」
パン!
大きく手を叩いて鳴らし、奏太の目覚めを待つ。
「止まったが、起きないぞ?」
「ユーリ」
「心臓に問題はありません。気の巡りが悪いようですが……ベッドに移しますか?」
「頼む。そのままついててやってくれ。ルーカスは今から言う本を棚からとってくれ」
「わかった」
「それにしても、お前よりどす黒いぞ?」
「余計なお世話だ。どの本だ?」
「一番右の棚、上から三番目の赤い背表紙。同じ段の茶色い辞書と___」
本を全部揃え、作業場の前の椅子の上に転送し、自分達も作業場の前に移動する。
「そこの瓶に万能薬満タンに入れてくれ」とルーカスに指示し、実験用の道具を引っ張り出す。
すべて設置し、瓶から少しだけ魔力を取り出し中に入れて、本の通りに進めていくと、四つに魔力が別れた。
同じ本を見ていたルーカスに失敗かと言われたので、違うとだけ答えてさらに細かく一つづつ調べる。
「残りはそこの瓶に入れておいてくれ」
「はいよ。で?その四つ目は何だ?」
「いまはまだ二つ目だ。が、一つ目は天界の魔力。これは魔界の魔力だな。もう一つは見慣れてるから分かるが幻界の魔力だ。最後のこれは見たこともない。これが混ざって黒かったのかさえわからん」
「ルーカス、エマは口は固いか?」
「ニコルの女房になる女だ。固すぎるぐらいだな」
「呼んでくれ。ユーリと交代してもらって、エマに奏太を見てもらう。お前は一度会社に顔を出して、ある程度進めておいてくれないか?細かいことは奏太なら机にでも置いてあるだろう」
「ノアには?」
「ノアが離れたらイヴァンが帰ってくる」
「ニコルに言ってバーの手伝いでもさせておこうか?そうすればこちらに戻れるだろう?」
作業場からルーカスがバーに電話し、簡単にニコルに説明をしてから外に出て転移する。
ルーカスがバーの中に入るとすでにノアは殺気だっており、ニコルに宥められているところだった。
「おい」
「ルーカス様!」
「話は後だ。ニコル、イヴァンに手伝ってもらってくれ。そろそろ常連の客が来る時間だろう?」
時計を見てニコルにそう言うと、「あぁ、いらっしゃいますね。バーなのに喫茶店がわりにする方々が……」等とぼやいている。
「エマ準備はいいか?」
「いつでも」
「あの、私が手伝いと言うのは?ここで皆さんと奏太様を待っていたのではないのですか?」
「奏太も副社長で忙しいんだ。人間界にいるってことはそう言うことだから覚えておけ。ニコル後は頼んだ。」
ノアとエマを連れて先に副社長室へと向かう。
「今だ。押さえろよ」
パン!
大きく手を叩いて鳴らし、奏太の目覚めを待つ。
「止まったが、起きないぞ?」
「ユーリ」
「心臓に問題はありません。気の巡りが悪いようですが……ベッドに移しますか?」
「頼む。そのままついててやってくれ。ルーカスは今から言う本を棚からとってくれ」
「わかった」
「それにしても、お前よりどす黒いぞ?」
「余計なお世話だ。どの本だ?」
「一番右の棚、上から三番目の赤い背表紙。同じ段の茶色い辞書と___」
本を全部揃え、作業場の前の椅子の上に転送し、自分達も作業場の前に移動する。
「そこの瓶に万能薬満タンに入れてくれ」とルーカスに指示し、実験用の道具を引っ張り出す。
すべて設置し、瓶から少しだけ魔力を取り出し中に入れて、本の通りに進めていくと、四つに魔力が別れた。
同じ本を見ていたルーカスに失敗かと言われたので、違うとだけ答えてさらに細かく一つづつ調べる。
「残りはそこの瓶に入れておいてくれ」
「はいよ。で?その四つ目は何だ?」
「いまはまだ二つ目だ。が、一つ目は天界の魔力。これは魔界の魔力だな。もう一つは見慣れてるから分かるが幻界の魔力だ。最後のこれは見たこともない。これが混ざって黒かったのかさえわからん」
「ルーカス、エマは口は固いか?」
「ニコルの女房になる女だ。固すぎるぐらいだな」
「呼んでくれ。ユーリと交代してもらって、エマに奏太を見てもらう。お前は一度会社に顔を出して、ある程度進めておいてくれないか?細かいことは奏太なら机にでも置いてあるだろう」
「ノアには?」
「ノアが離れたらイヴァンが帰ってくる」
「ニコルに言ってバーの手伝いでもさせておこうか?そうすればこちらに戻れるだろう?」
作業場からルーカスがバーに電話し、簡単にニコルに説明をしてから外に出て転移する。
ルーカスがバーの中に入るとすでにノアは殺気だっており、ニコルに宥められているところだった。
「おい」
「ルーカス様!」
「話は後だ。ニコル、イヴァンに手伝ってもらってくれ。そろそろ常連の客が来る時間だろう?」
時計を見てニコルにそう言うと、「あぁ、いらっしゃいますね。バーなのに喫茶店がわりにする方々が……」等とぼやいている。
「エマ準備はいいか?」
「いつでも」
「あの、私が手伝いと言うのは?ここで皆さんと奏太様を待っていたのではないのですか?」
「奏太も副社長で忙しいんだ。人間界にいるってことはそう言うことだから覚えておけ。ニコル後は頼んだ。」
ノアとエマを連れて先に副社長室へと向かう。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる