天満堂へようこそ 5

浅井 ことは

文字の大きさ
上 下
48 / 99
天幻界の血

.

しおりを挟む
「では奏太様はどうなるのでしょう?そのリアム様とも血の繋がりは少なからずあるのでしょう?兄さんは何か知らないのですか?」

「私にもまだ。ルーカス様や姫に任せるしかないのかもしれません。ですが、今までの事を考えても、奏太様は優しい方ですので、癒しの力があるのではないかと思います。リアムさんはどちらかと言うと治癒よりも攻撃の方のが得意な方でしたが、奏太さんは逆なので」

「そうだな、奏太とリアムは違う。それに魔界でも自分が危険になら無い限り魔法も使わなかったんだろう?だったら大丈夫じゃないか?」

ちょっとのぼせてしまうからと、みんなで上がり、服を着てから冷蔵庫にある冷たい飲み物で喉を潤す。
誰かに聞かれてもいけないのでと、その場で続きを話すが、どうしても天界のものは他の界のものよりも綺麗だ。奏太様に自覚がなくても王の血で覚醒していくことは間違いないだろう。

「どうかしましたか?ノアさん」

ニコルが気にかけてくれたので大丈夫ですとだけ答え、そう言えばと兄に夢の話をする。

「おい、ノア。それいつの話だ?」

「内容はあまり教えてもらえなかったのですが、火事になる夢を二回見たと。天王様が来る前の日もそうでしたので……」

「他には何か聞いていないか?」

「何でもその場にいるようにリアルだったけど夢だからと言われたので」

「ユーリ、イヴァンには聞かれたくない。結界のある作業場に行くぞ」

「構いませんが。では皆さん集まっていてくださいね」

全員をユーリが転移させ作業場のドアを乱暴にルーカスが開ける。

気分良く鍋をかき混ぜていたのか、「馬鹿者ー!」と結月の罵声が聞こえるが、お構いなしに隣の部屋に強力な傍受されない結界を張れとルーカスに言われ、「何なんだお前達は」と言いながらも結界を張ってくれる。

「先にお茶をいれますね」とユーリが準備しにいったので、手伝いに行き人数分のお茶をいれ渡していく。

「大丈夫です。何も入っていないはずですので」

みんなが恐る恐る飲んでいるので余計に機嫌が悪くなり、早く話せとばかりにせっついて来るので、風呂場での話をかいつまんで結月に話す。

「そんな話私は聞いてないぞ?」とみんなを見渡す結月。

「夢が何かあるのですか?」と、知らないので聞くと、驚かれたように全員に見られてしまった。

「ノア、毎日一緒にいて何も知らなかったのか?有名な話だぞ?」

「何がですか?」

「これだから剣馬鹿は……」

「「剣馬鹿ではありません!!」」ニコルとハモってしまったが、ルーカスと結月は何やら考え込んでいるようだ。

「良く聞け。王族のハーフの中に……まぁ、殆どいないんだが。所謂、先見の目だ。そういう者が現れることがあると聞いたことがある。それも奏太は魔力が高い。ただ見るだけではなくいつ何処で何が起こるかはっきりとわかる力を持っていることになる。各界戦争で取り合うほどにほしい能力だ」

「そんな、ただ夢を見ているだけです」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

目が覚めたら夫と子供がいました

青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。 1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。 「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」 「…あなた誰?」 16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。 シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。 そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。 なろう様でも同時掲載しています。

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

後宮の記録女官は真実を記す

悠井すみれ
キャラ文芸
【第7回キャラ文大賞参加作品です。お楽しみいただけましたら投票お願いいたします。】 中華後宮を舞台にしたライトな謎解きものです。全16話。 「──嫌、でございます」  男装の女官・碧燿《へきよう》は、皇帝・藍熾《らんし》の命令を即座に断った。  彼女は後宮の記録を司る彤史《とうし》。何ものにも屈さず真実を記すのが務めだというのに、藍熾はこともあろうに彼女に妃の夜伽の記録を偽れと命じたのだ。職務に忠実に真実を求め、かつ権力者を嫌う碧燿。どこまでも傲慢に強引に我が意を通そうとする藍熾。相性最悪のふたりは反発し合うが──

あなたの子ですが、内緒で育てます

椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」  突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。  夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。  私は強くなることを決意する。 「この子は私が育てます!」  お腹にいる子供は王の子。  王の子だけが不思議な力を持つ。  私は育った子供を連れて王宮へ戻る。  ――そして、私を追い出したことを後悔してください。 ※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ ※他サイト様でも掲載しております。 ※hotランキング1位&エールありがとうございます!

処理中です...