天満堂へようこそ 5

浅井 ことは

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天幻界の血

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それから暫く、書類の確認やデザインの変更などをしながら夕方まで会社におり、17時に間に合うように車校へと行く。

1時間の講習と運転とあったが、初めての運転はただ広い道を回るだけでも疲れてしまったが楽しかった。

家に着いたのは20時過ぎ。

食事の準備をしてもらっていると、奥からイヴァンが出てきた。

「お帰りなさいませ。ちょうど食事ですので、テーブルマナーの方を……どの程度お知りになっているか確認したいのですが」

「えーっと、普通?1通りは教えてもらったんだけど」

「王族は常に見られております。粗相さえなければと思っていますが、ダンスなどは?」

「した事ないよ?」

「奏太様の食事の仕方は問題ないと思います。テーブルマナーは各界変わらないと思いますし、兄が教えましたので。ダンスは相手はどうなさるのですか?」

「私がと言いたい所なのですが、もしかしてと思い、魔王付きだったエマ様にお願いをしてきました」

「ん?エマ様?」

「男性のお付きの方は様付で呼ぶことは殆どありませんが、女性には様を付けます。王族の方はそのような気は使わなくとも構いません」

「じゃあさ、相手も王族だったら姫だったりするんだよね?親戚とかそういった人たちのことは?」

「王や妃様のご兄妹であれば様を、そのお子様である方々は王子や姫と言っても外のものですので、それほどお気になさることはありませんが、中にはプライドの高い方も見えますのでご注意を」

夜は魚のムニエルだったが、見られているのに緊張し、何とかこぼさず食べ切ることが出来た。

「姿勢、テーブルマナーなど合格です。明日はゆっくりお食べくださいませ」

「え?いいの?」

「出来る方は、普段はどうであれやらなければならない時は出来ると思っております。ダンスの練習はエマ様の結婚式に披露できれば良いと考えていますが」

「良いですね。姫様と踊られたらいかがですか?」

「やだよ。足踏んだら怒りそうだもん」

「ですが、お誘いがあれば断るのは失礼となりますので」

「いつから?」

「明日からの予定にしております。自動車学校の予定表を見て、最低就寝時間が0時を回らないように配慮しております」

「分かった」

「後こちらを……」

分厚い本を渡され中をみると天界の事が書いてある。

「お時間のある時に読んでいただければ、大体のことはわかるようになっております」

「ノアも読むの?」

「はい。字が読め、話すことも出来ると聞いておりますので。こちらの本はノアさんに。天界でのしきたりや振る舞いなどについても書かれています。かなり古いものですが、今とあまり変わらないので参考にしてください」

「ありがとうございます」

だめだ。もう疲れた……背中が痛い!

ソファに転がっていると、ノアが着替えを持ってきた。

「湯に浸かれば筋肉もほぐれると思います」

「うん。ムーたちは?車のこと話そうと思ったんだけどな」

「作業場で寝てしまったと兄から……それで、やはり姫様のお茶をイヴァンさんが飲んだようでして」

「うそ!やめておいた方がいいって言ったのに」

「姫特性激苦茶だったそうで」

「それで?」

「飲み干されたと……」

「あれ、不味いし苦いし飲み込めなかったよ俺。みんな嫌がってたもん。ユーリさんでさえ顔色変わってたんだから」

「それが、顔色一つ変えずに飲まれたそうで、返って姫様が、もっとすごいの作ってやると……」

「しばらく出てこないね?」

「はい」

お風呂に入ったら寝るからいいよとノアを下げて、ゆっくり湯に浸かって筋肉をほぐしてから、体の温まったいるうちにとベッドに入るとすぐに寝てしまった。
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