天満堂へようこそ 5

浅井 ことは

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仕事復帰

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「食後にしましょうか?」

「うん。あの、なんて呼んだら……結月さんたちもう知ってるんだもんね」

「普通にお父さんでいいが……」

「わかった。ご飯なんだけど」

「あぁ、儂は魔王のような大食らいではない!みんなと同じ量を食べる程度じゃ。さっきユーリが予約した、カポーテンに行くとしようか」

「カポーテン?」

最近良く聞くテレビでおなじみの曲を思い出してしまったが、カポーの言い方で、割烹店のことと分かり、ホールから出る際に、来客用のカードを1枚もらって渡してから出る。

「お昼にはと思っていたから、丁度いい。合わせたいやつがおる」

「誰?」

「天界のことを教えてくれる教育係じゃ。しばらくはゲストハウスとやらに泊まらせてもらうが、二人がさっさと覚えたらいいだけの事じゃ」

「でも俺、自動車学校行ってるし、時間ないけど」

「普段の生活の中で教えていくから、暫し三人行動じゃな」

天王曰くカポーテン。割烹店につくと、一人の男性が入口前で待っており、店の人に中の座敷に通されたので、ノアと並んで正座する。

俺の前には天王、ノアの前には男性が座っているが、背筋が伸びかなり硬い感じで座っている。

見た感じはユーリ位、人間界の年で表すと30過ぎに見え、天界人では珍しい金短髪、眼鏡に真っ黒なスーツ。
どこかの教師のようにも見えた。

「紹介しよう。これがしばらく教育係を務める、イヴァンじゃ。普段はイヴとかイヴァと呼んでおるがの。まぁ、頭の堅い奴で口煩いが、2人にもイヴァンにも勉強になるじゃろうと思うてこちらへ寄越した」

「奏太です。よろしくお願い致します」と頭を下げると、「王子が軽々しく名乗り、頭を下げるなど以ての外でございます!」と最初から厳しい。

ノアも挨拶を済ませ、食事が運ばれてきたので食べようと言うことになり、王は日本酒を頼み料理に合わせて程よく楽しんでいるが、王から食べろとの命だから食しますとお箸を持って食べる姿も機械のようで肩が凝る。

「あの、美味しくないですか?」

「美味しく頂いておりますが何か?」

「いえ。それなら良いんです……」と冷たい物言いに既に心が折れそうだった。

「イヴァンさんは髪は伸ばされないのですか?」

「髪には魔力が溜まると昔から言われていますが、今は違う説も出ておりますので、自ら実験しております」

「はぁ……」

「今は王子に何を教えていらっしゃいますか?」

「自動車学校が落ち着いてきたら、祖父から補助魔法の方を習うことになっています」

「貴方もですか?」

「はい。そうです」

「王、聞いていたことと多少のズレがあるように思います」

「そんなもの、一緒に生活しておったらわかるじゃろ?それに、奏太はまだ魔力の発展途上だから無理はさせられないんじゃ。ノアの剣技は各界でも指折りじゃし、まだ若い。
イヴァン、誰もが得手不得手があるのは分かっておろうな?」

「理解はしています」

「天満邸にて過ごせば、お前にも良きことがあると儂は思うておる」

「俺達は何を教えてもらうんですか?」

「私にも王にも奏太様は敬語は不必要でございます。私がお教えするのは、天界での儀式やルールなど王族のしきたりや所作で御座います」

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