天満堂へようこそ 5

浅井 ことは

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仕事復帰

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「その、天王の子になるというのは?やはり儀式が必要なのでは?」

「本来ならばあちらでするのだが、こちらでも簡易式に出来る。後は奏太次第だが……今、各界で色々と問題が起こっている。早いに越したことはない」

「簡易式でも認められるのですか?」

「何、お披露目やら色々と省くだけじゃから、何ら変わりはない。が、待てる時間もないんじゃ。だから来た」

「お、俺に選択肢はないの?」

「無いと言っていい」

「じゃあ、お願いがあるんだけど」

「なんじゃ?」

「ムーとブランと離れたくないし、みんなとも離れたくないから、人間界に居たい……その代わり、天界に行かないといけない時はちゃんと行くから……こっちで暮らしたい……」

「泣くな。お前はお前らしくしておればいい。許可しよう。その代わり儂の事は父と呼んではくれまいか?」

「……はい」

「では、ノアお主にも儂の血を。なにか皿はあるかの?」

「お待ちください」

お皿と蝋燭が用意され、その中に天王の持ってきた小瓶の水が流し込まれる。

「まずは儂の血を。そして奏太の血……」何やら唱えて入るが頭には入ってこない。

だんだんと煙のようなものが上がり、それが一塊になって天王と自分を包む。

その後ノアの血も混ぜて同じことを繰り返す。

「終わったぞ。これで、ノアも儂の臣下となった。が、お主の父と母は今まで通り何も変わらん。その約束だ」

「はい」

「奏太もこれからは儂になんでも言ってくれ。親子なんだから……奏太?どうした?」

「何か……頭がもやもやする。貧血みたいな感じ」

「とにかく横に。天王様、そこのクッションを取ってください。頭の下に!」そう指示し、奥から毛布を持ってきて掛けてくれる。

「ノア、王を使っちゃダメだよ?」

「構わん。必要とあれば息子のために親はなんでもするものだ。ノアよ、良くあるのか?」

「力を使った時によく熱が。それ以外では特には……」

「あの儀式自体は儂等を繋ぐものじゃから、負担はないはずじゃ。奏太、最近変わったことは無かったか?」

「夢を……見たくらいで」

「夢?まさか……いや……」とブツブツと言っているが、だんだんと気持ちが悪くなり、意識が遠のく。

燃える城の前で泣き叫ぶ結月。
それを止めるルーカス。
「母がまだ中に!助けなければ……」

草原も夕焼けより赤く、崩れ落ちていく城。
逃げ惑う人々……

「__奏太!おい、起きろ!」

「ぁ……」

「連絡が来てきてみれば、おっさんも何勝手なことしてるんだ!」

「俺どのくらい寝てた?」

「また呑気なことを。1時間と少しって所だ!何かおかしなところはあるか?」

「お腹がすいたくらい?」

「なら飯でも食いにいけ。お前、魔力は消費してないよな?」

「使ってないよ?」

「おっさんがいきなり奏太とあんな契約交わしたから、ストレスだ!ボケじじい!が、済んだ事だ。幻界の姫としては言うことは無いし喜ばしく思う。ルーカスもだ。ただ、最近お前から魔力を感じるんだ……ダダ漏れだぞ?薬置いておくから、一日三回飲めよ?私も飲んでいるやつだから大丈夫だ」
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