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仕事復帰
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「なになに?らん……」
「LAND ROVER。その中でも種類があって、RANGE ROVERのこれが欲しいんだ。ほんとはこのもうひとつ高いグレードの……」
「全くわからん!ユーリ、これをコピーして明日車屋に行ってきてくれ」
「はい。奏太さんはMTを取られますが……その仕様でいいのですか?」
「あればその方がいいけど」
「色は?」
「黒」
「では、車が来るまでお楽しみにしていてください。ほかの車はいいのですか?」
「え?1台でいいよ?」
「いえ、姫の気が変わらないうちにと思いまして」
「ならさ、他は小ぶりのヤツ1台任せるよ。軽自動車でもいいかな」
「ではその様に」
「結月さん、後さ自転車買ってもいい?折りたたみのなんだけど」
「いつ使うんだ?」
「庭も広いし、ムーとブラン追いかけるの大変そうだから。ドッグランの所もサイクリングコースあったし、家の近所の森公園にもあったからそこで使うよ」
「良いだろう。自転車も好きなのを買ったらいい。薬そ……いや、高校の卒業祝いらしいものもしてなかったからな」
「そうだったっけ?」
「ところで、チームはいつから動く?」
「明日顔合わせできると思う。だから、帰ってから企画書まとめたいんだ」
「じゃあ、帰ったら爺にこれを渡しておいてくれないか?」
「何これ?」
中を見ようとすると、やめておいた方がいいと言われたが、気になったので袋を開けてみる。
「臭っ!何これ。あの変な果物とは違うみたいだけど」
「それも薬草の一つだ。少し混ぜてあるが」
「何に使うの?ノア、ビニール頂戴!ほんとに臭いからコレ」
「だからやめておけって言ったのに……」
「また何かの冗談だと思ってたからさ。まだ鼻の周りが臭い。自分も臭く感じる!」
「それはな、簡単に言えば魔除みたいなものだ」
「この世のすべての何よりも結月さんのが怖いけど?」
「あのなぁ。魔除けと簡単に言ったが、別にお化けよけとかではない。ムーとブランが敷地にある薬草のビニールハウスに入らないように、周りにこれを撒くんだ。そしたら動物や虫は入ってこない」
「風で飛ばされたりとか、薬草に臭いが移るとかないの?」
「これは撒いたらすぐに土に吸収されるし、毒ではない。撒いた場所には匂いが残るが、それがわかるのは動物や虫だけで、私たちにはわからないから大丈夫だ」
「撒くまでが強烈なんだ」
「私だって使いたくないさ。ただ、今作ってる薬草はやっと育ったものだから、奴等の遊びで駄目にしたくない」
「わかった。渡しておく……」
「姫様、お食事は?」
「今日はガマ親分と食事してから帰る。奏太もと言われたんだが、病み上がりだと言っておいた」
「また今度誘ってくださいってちゃんと言っておいてよね?印象悪くなると嫌だからさ」
「親分はお前を気に入ってるぞ?玉藻もだがな」
「だんだん人間から離れていく気がするよ」
「LAND ROVER。その中でも種類があって、RANGE ROVERのこれが欲しいんだ。ほんとはこのもうひとつ高いグレードの……」
「全くわからん!ユーリ、これをコピーして明日車屋に行ってきてくれ」
「はい。奏太さんはMTを取られますが……その仕様でいいのですか?」
「あればその方がいいけど」
「色は?」
「黒」
「では、車が来るまでお楽しみにしていてください。ほかの車はいいのですか?」
「え?1台でいいよ?」
「いえ、姫の気が変わらないうちにと思いまして」
「ならさ、他は小ぶりのヤツ1台任せるよ。軽自動車でもいいかな」
「ではその様に」
「結月さん、後さ自転車買ってもいい?折りたたみのなんだけど」
「いつ使うんだ?」
「庭も広いし、ムーとブラン追いかけるの大変そうだから。ドッグランの所もサイクリングコースあったし、家の近所の森公園にもあったからそこで使うよ」
「良いだろう。自転車も好きなのを買ったらいい。薬そ……いや、高校の卒業祝いらしいものもしてなかったからな」
「そうだったっけ?」
「ところで、チームはいつから動く?」
「明日顔合わせできると思う。だから、帰ってから企画書まとめたいんだ」
「じゃあ、帰ったら爺にこれを渡しておいてくれないか?」
「何これ?」
中を見ようとすると、やめておいた方がいいと言われたが、気になったので袋を開けてみる。
「臭っ!何これ。あの変な果物とは違うみたいだけど」
「それも薬草の一つだ。少し混ぜてあるが」
「何に使うの?ノア、ビニール頂戴!ほんとに臭いからコレ」
「だからやめておけって言ったのに……」
「また何かの冗談だと思ってたからさ。まだ鼻の周りが臭い。自分も臭く感じる!」
「それはな、簡単に言えば魔除みたいなものだ」
「この世のすべての何よりも結月さんのが怖いけど?」
「あのなぁ。魔除けと簡単に言ったが、別にお化けよけとかではない。ムーとブランが敷地にある薬草のビニールハウスに入らないように、周りにこれを撒くんだ。そしたら動物や虫は入ってこない」
「風で飛ばされたりとか、薬草に臭いが移るとかないの?」
「これは撒いたらすぐに土に吸収されるし、毒ではない。撒いた場所には匂いが残るが、それがわかるのは動物や虫だけで、私たちにはわからないから大丈夫だ」
「撒くまでが強烈なんだ」
「私だって使いたくないさ。ただ、今作ってる薬草はやっと育ったものだから、奴等の遊びで駄目にしたくない」
「わかった。渡しておく……」
「姫様、お食事は?」
「今日はガマ親分と食事してから帰る。奏太もと言われたんだが、病み上がりだと言っておいた」
「また今度誘ってくださいってちゃんと言っておいてよね?印象悪くなると嫌だからさ」
「親分はお前を気に入ってるぞ?玉藻もだがな」
「だんだん人間から離れていく気がするよ」
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