天満堂へようこそ 5

浅井 ことは

文字の大きさ
上 下
11 / 99
帰還

.

しおりを挟む
「行くでしょうね。なので奏太様の判断は間違っていないと思います。幻界の姫ですので巨人族の長も顔はしっていると思いますし」

「本当に自由だよね」

「奏太様ももっと自由で良いのですよ?」

「うん、でもお給料貰ってる分はちゃんと働かないといけないと思うんだ」

「ちょっとよろしいですか?」と手を触られるので、なに?と聞くと、「爪の垢を」とバカなことを言っている。

「ちょっと、それは例えであって、本当に飲ませるものじゃないからね?」

「そうなのですか?此方の本に良く書かれていたもので」

「どんな本読んでるんだよ。俺もずっと読んでなかったから、なにか読みたいな。持ってる?」

「私は剣の本ばかりなので。兄は結構持っていますので聞いてみたらどうでしょう?」

「明日にでも聞いてみるよ。今から書斎の方で少し調べ物したいんだけど」

「初めて使われますね」

「なんだか照れ臭いけど」

「コーヒーをお持ちしますので」

「先に行ってるね」

初めて使う書斎の机は会社のよりは小ぶりだが、重厚感があり、椅子もソファのように座り心地がいい。
パソコンも最新式のもので、必要なものはすべて揃っている。
本棚にも色々と仕事に関係する本や資料がたくさん並べられ、最初に入った時とはまた印象が違っていた。

パソコンを起動させ、新商品で思いついたことを箇条書していく。
その中から、若い中高生や独身女性向けのもの。
家庭では普段使えて、収納にも邪魔にならないようなものとさらに分類していき、素材や耐久性などを考え、低コストでできないかと書いていき、今日見てきたものの値段を考えると、使い回しのできるものはセットで3500円。使い捨てならば1500円での販売が望ましいと書き加えておく。
安いのはやはり材料が入っていないのもあるが、失敗した時にはやはり、ケーキミックスなどの粉を買って作ると思ったからだ。

書き上げた時丁度ノアがコーヒーを持ってきてくれたので、そのまま画面を見せる。

ノアが見てくれている横で、コーヒーを飲みながら本棚を見ていく。
辞書や経営などに関するものが多く、あっても魔法に関する書物ばかりだった。

「奏太様、これをこのまま会社のパソコンに送ってしまってもいいのでしょうか?」

「出来るの?俺やり方わからなくて」

「出来ます。資料を作るのに、私の方のパソコンにも送らせてもらいますね。商品のイメージなどはできてますか?」

「うん。でも、企画が通ったら開発部の人とまた一緒でしょ?その時に見せてもらいたいものもあるから、まずは会議通さないとね」

「では、明日の撮影中にでも、私が纏めておきますので」

「うん。ノアも疲れたでしょ?もう休んでいいよ。俺、もう1回温泉入ってから寝るから」

「そうですか?では御言葉に甘えて……流石に私も筋肉がバキバキです」

「みんな疲れてるんだよ。俺もノアも旅ばかりしてたし。じゃぁ、明日ね」

「はい、お休みなさいませ」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

Rasanz‼︎ーラザンツー

池代智美
キャラ文芸
才能ある者が地下へ落とされる。 歪つな世界の物語。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

処理中です...