天満堂へようこそ 5

浅井 ことは

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玄関ホールに行くと、結月に貰ったと言うスカートと長袖のTシャツ姿で待っていたが、何故だか似合わない。

車に乗り、行き先を告げてから「エマさんて好みある?」と聞いてみる。

「魔界で着ていたのは、その前にいたヨーロッパの流行りだったから、今は全然違うのね……」と、車の外を見ている。

「サイズ計って、幾つか買ったら、使用人が好みに合わせて用意してくれると思うんだけど」

「ニコルにも言われたけど、barでの洋服も買ってきなさいって。ニコルと同じジーンズでいいって言ってたけど、女性も履くの?」

「今の時代はね。初めてだったら苦しく思うかも……」

すぐに、駅前についたので、開店と同時に中に入る。
最初はキョロキョロとしていたエマも、一つの店の前で立ち止まる。

「このお店にする?」

「お店は沢山あるけど、ここの洋服いいかも」

奥にはランジェリーも揃っていたので、結月にこそっと言われていた通り、先にそこに行くように言う。

「お、俺は男だからちょっと分からないんだ」と言って、店員にサイズ見て上下で何点か揃えてほしいと頼み、待っている間に洋服を選ぶ。

「ノア、女性物ってなんでこんなに多いんだろ?男の服なんて似たりよったりなのに」

「種は違えど、女性は着飾りますから。うちの姉でさえ、アクセサリーなど自分で作っていますよ?」

「やっぱりいるよね?この店で揃いそうだけど」

これから寒くなっても着られるようなものを選びながら、barでは動きやすい服がいいだろうと、ニコルが着ていたカジュアルな服に合わせて選び、半袖は使えるからと、大体の予想でカゴに入れていく。

下着が終わったのか、こちらに来てもらいサイズをチェックし、好みを聞く。

barの方はニコルに合わせたと言うとそれでいいと言われ、ジーンズの試着をしてもらう。
その後カゴに入れた服を見せて、スカートが欲しいというので、幾つか選びかごに入れると、かなりの量になってしまった。

「他にも店はあるけど……」

「ここでいいかな?実はあまり興味がなくて。全く無いわけじゃないけど、最初だから……」

「ここ、店からも近いからいつでも来られるよ」

「そうね。これからお買い物が楽しくなりそう」

選んだのは意外とカジュアルなものが多いが、タイトなミニスカートが大半で、残り時間を服に合わせて靴も買いに行く。
ブーツが気に入ったようなので何点か買い、自分の服はいつもと同じようなのを幾つか買い、ジーンズだけ試着して三本買う。

それだけでいいのかと聞かれたが、仕事になるとスーツばかりだから、沢山はいらないと答えてから車に戻り、スーパーに寄ってからbarへ行く。

中に入り、冷蔵庫にしまってから、キッチンを借りてピラフを作り皆で食べる。

洋食も初めてだったのか、美味しいと喜んで食べてくれるが、これからはbarでも軽食も出さないといけなくなる。
エマさんはこちらの料理をどのぐらい知っているのだろう?

「これ、鍵はニコルさんに返しておいてくれる?後、ここには普通の人間のお客さんも来るから……」

「それは大丈夫。夜に聞いたから。でも、このコンロ?押したら火がつくって聞いて驚いたわ」

「スグになれるよ。会議終わったらニコルさんも来るし。その時に料理とか聞いてもらえばいいかな?」

「そうね、昔と食べ物違うものね……ニコルが来るまであのテレビでも見て待ってるわ」

片付けはしてくれると言うので、何かあったら電話するようにと内線番号と携帯番号の短縮ボタンを教えて、久しぶりに会社に入る。

やっぱりとは思っていたが、入ってすぐに黄色い声援のような奇声が聞こえたのですぐにエレベーターに乗り、副社長室に行く。

「ノア、コーヒー頂戴。あの声耳が痛くなるよ……」

「今日のは奏太様にですね。新入社員だと思うのですが、若い方が固まって居ましたから」

「駄目、俺はそれは無理だよ。オバサマ軍団思い出しちゃう」
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