下宿屋 東風荘 6

浅井 ことは

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東の浮遊城

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それから三日、四つある巻物と本を四郎と毎日解読し、札についての記述は特に別のノートに書き込み熟読する。

「前に解読したもののほかにはそんなに何も書いてないですね」

「うん、短刀のことも書いてないし、違う空間のことも書いてない。それに、術のことは細かく書いてあるけど、前に見たのと新しくみつけた本も殆どがいろんな決まり事とか、札に関して書いてあることが多いもんね。これが五巻だけど、本になっていないものも合わせると、あいつが持ってるのが四巻。今あるものを繋ぎ合わせても、真ん中が抜けてるから、よく分からないよね。それとは別に頭に流れて入ってきたものはちゃんと書き出してあるし……」

「えっとですね、満月の夜、……島の奥の祠。……と共に……行う。しか分かりません」

「どっかの島にある奥の祠に、何かと一緒になにかするんだよね?」

「肝心なところが分からないんですが、前にはなかった本の裏側に短刀の絵が書いてありました」

「絵だけじゃなぁ。これも使うんだろうとは思うけど。それに僕が鍵なんでしょ?場所がわかればいいんだけどなぁ」

一旦終了し、夜の薬を飲んだふりをして荷物を持って庭に降りる。

飾り付けした木の前まで行き、プレゼントに渡す人の名前を書いて置いておく。
字でバレるとは思うが、雨も降りそうになく、星が出ているので置いておいても大丈夫だろう。

「雪翔……」

「航平ちゃん」

「しっ!お前も置きに来たのか?」

「うん。みんなの部屋に行ったら絶対にバレるもん。お昼にはご馳走って言ってたから、その時に冬弥さんたちの結婚記念のプレゼント渡そうと思って。昨日栞さんも体を起こしてたって聞いたから」

「あれ?クリスマスイヴだったっけ?」

「ちょっと遅れたけど、披露宴では無かったけど祝はクリスマスだったからいいかなーって思って」

「俺も置いたけど、何渡していいかわからなくってさ」

とにかく部屋に戻ろうという事になり、ストーブをつけて暖を取る。

「航平ちゃんは何にしたの?那智さんにだよね?」

「あと、爺さんと婆さんに。二人とも色違いのひざ掛けにしたんだけど。最近膝が痛むって言ってたから」

「そうなんだ。僕は誕生日プレゼントとクリスマス一緒になっちゃうけど、おばあちゃんには手鏡にしたんだ」

やかんに水はたくさん入っていたので、そのまま布団に潜り航平と一緒に寝て朝起きると、枕もとにプレゼントが置いてあった。

横をみると航平の枕元にもしっかり置いてあり、包装紙から那智だとすぐにわかる。

「航平ちゃん起きて」

「ん?おはよう……ってなんじゃこれ!」

「ふふ、一杯だね!冬弥さんとお爺ちゃん達に昴さんと胡蝶さんからもある!あ、周太郎さんや重次さんに、三郎さんと四郎さんからも」

「お、俺もある。もう子供じゃないってのに」

「えへへ、でも嬉しいね」

そう言って包を開けていくと、みんなの趣味が良くわかるものばかりで、航平とお揃いのものが多かった。

「あ、これは冬弥さんからっぽい」

「マフラーだな」

色違いだねと言いながら、丁寧に畳んでおいて他のものも見ていく。

二人でこれは誰からのだろうと当てっ子しながら見ていき盛り上がっていると、襖がガタンと音がしたので振り向くと、冬弥に祖父那智に周太郎や三郎と四郎までもが覗いていた。
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