下宿屋 東風荘 6

浅井 ことは

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東の浮遊城

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「そうですか。雪翔も怖かったでしょう?体におかしなところはないですか?」

「うん、ない。でも、栞さんがあんなに怒るなんて……」

「一つ大切なこと聞きます。尾が出たのは外ですか?結界内ですか?」

「結界の中。目の色も変わってて、金色だった。僕も頑張ったんだけど、出ちゃったから。何かあるの?」

「いえ、これは少し調べます。雪翔は何にも気にしなくていいんですからね?」

下を向いていると、祖母が栞は落ち着いていると言いに来て、「雪翔、花ちゃんと遊んであげてくれる?」と言われたので、ソファで金たちも出してご褒美のおやつをあげ、気に入っている陰陽師の映画をつけてあげる。

「ひーたん、しおりさん見る」

「え?でもお婆ちゃんが大丈夫って言ってたよ?」

「ちなう。まだグルグルなの」

そう言って栞のとこまでピョコピョコと行くので任せ、花に「栞さんの気がおかしいの?」と聞くと、コクンと頷くので、やっぱり力を使いすぎたんだと思い、栞の方に目をやると、「ゆっきーもはなちゃんの治療を受けてくださいー!」と紫狐がヌッと出てくる。

治療を受けている間に寝てしまい、那智に起きろと言われて起きると、背中には侑弥が。

「那智さんがおんぶ紐……」

それだけで目が冴え、早く着替えろと言っている那智を携帯で撮り、朝から怒られながら顔を洗いに行く。

着替えてリビングに行くと、みんな集まっていて、「雪翔、終業式前なんですが、浮遊城に行きます」と言われる。

栞があまり良くないので向こうで療養させるということになり、持っていく荷物には航平がなにかの粉をかけている。

「それ何?」

「荷物にさ、九堂って奴がいたら行けないから、この粉であぶり出ししてるんだよ」

「匂いとかしないのに?」

「悪霊とか、映画であるだろ?なにかに変身したり取り憑かれたりって。そう言うのを引きはがす効果とかあるから、もし居たら姿丸出しになるんだけど、大丈夫そう」

そのあと車椅子にも掛けてもらい、みんなで狐の国に行く。

いつまでも侑弥をおんぶしている那智に、そろそろ下ろしていいんじゃない?と言うと、「寝かせる部屋がわからん!」と言われ、とにかく荷物だけ置いて一緒に部屋を見に行く。

「部屋聞いてるの?」

「入り口からまっすぐ行って突き当りを右。二番目の部屋って言われたんだが、ここだよな?」

「うん。でも、なんで那智さんがおんぶしてたの?」

「栞を俺が抱いて運ぶわけには行かないだろ?叔母上に任せてもよかったんだが、面白がって括りつけてきたんだよ」

「もう一枚写真撮っていい?」

「頼むから消してくれ」

ベビーベッドを見付けて、膝の上で支えて侑弥を下ろしてからベッドに寝かせると、那智の袖を掴んで離さないので、ミルクかもと近くにいた女中に頼む。

「懐かれてるね」

「まぁ、甥だからな。親戚と言ってもいとこの子になるから、言い方は面倒なんだ。従兄弟叔父なんて呼ばないだろ?」

「うん」

「だから叔父。弟の家系だから漢字だと伯父になるけど、細かいことはいいだろ。おじさんて呼ばれたらショックかもしれん。にしても肩がこるな」

「大きくなったもん。もう生まれた時の服きれないんだよ?まだ二ヶ月なのに」

「人の子でもそんなものだろう?」

「多分。でも、この部屋って玩具ばっかり。本棚には絵本もいっぱいあるけど」

「この国でいいところの家の息子だと、三歳くらいから文字や絵などを教える家が多いが、冬弥はしそうにないな」

「三歳でしょ?まだ早いよ?」
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