14 / 87
天からの使い
.
しおりを挟む
「ぼ、僕はいいよ。金たちもいるし……」
「でもまたあんなことがあったらって思うと、お受けした方がいいと思うの」
「私も同感ですねぇ。彼らはまだ小さいですし、一尾だけでも付けてもらいませんか?こんな事普通起こらないですし」
「じゃあ、お願いします……」
「分かった。今宵向かわせる」
そのまま赤ん坊の影に入っていったので、今更ながら緊張してしまう。
「汗かいちゃった。漆さんたちとはまた違う迫力があるね」
「ええ。ですが、この子の気と彼らの気の質が似てるので合うと思いますし、雪翔の気もこの子達よりですよ?」
「なんだか疲れちゃった……あ、栞さんが一番疲れてるんだよね」
「少し寝ようかしら。冬弥様?ちゃんと約束は守ってくださいね?」
「勿論です。さ、雪翔も休みましょうか」
「みんな宴会だって言ってたけど」
「それは明日ですよ。寝てないんでしょう?部屋でゆっくり休まないと」
「うん」
「では、パパはお兄ちゃんとねんねして来まちゅからねぇ。いいこでいてくだちゃいねぇ」と既にでれでれ状態である。
「冬弥さん、今からそれじゃ気持ち悪い」
「気持ち悪いですか?人の子の父はこう言うと聞いてましたけど」
「それって誰も見てないところとかじゃない?買い物に行ってそんなこと言ってたら僕はなれるからね?」
「え、それは嫌です!」
その後は航平と部屋に行って一緒に寝ることにし、大人達は今日は泊まっていくと言っていて、宴はお昼から始まると聞かされた。
「航平ちゃん。あのね、僕に今晩狐様が付いてくれるんだって」
「天の使いってやつ?なんかさ、リュウグウノツカイ思い出したよ俺」
「それ、魚じゃん」
「つい。でも、みんな明るいよな……俺兄弟できるたび憂鬱だったけど、こんなにみんなが喜んでくれるなら兄弟もいいなって思った」
「僕も。たくさん遊んであげるんだ!でも翡翠がわがまま言わないかな?栞さんの方のお婆ちゃんのところにずっといて戻ってこないんだけど」
「なんか着物がどうのこうのって聞こえたけど」
「あ!絶対に洋服頼んでる!だってイチゴって聞こえたもん」
「いいんじゃない?翡翠ちゃんも女の子だしさ、お洒落したいんだよ」
「小狐がお洒落?まだ人形にもなれないのに?」
「なったらなったで、那智さんのお母さんがフリフリドレス着せそうだよね」
「それは嫌だ……」
久しぶりに沢山話して、朝までぐっすりと眠り、朝は周太郎の悲鳴で飛び起きてしまった。
「ぼぼぼ、坊ちゃん!起きてくだい!」
「何?どうしたの?」
「お、お狐様がっ!」
ベッドの横を見ると、漆よりも大きな狐がお座りしており、周太郎で遊ぶかのように尻尾を揺らしていて、その声で起きた航平も半分口を開いたまま固まっている。
「昨日言ってたお狐様かな……」
「お初にお目にかかる。この者が世話係とは見ていてわかったので姿を見せたが問題はないか?」
「う、うん」
「そしてこの男の子は……」
「航平ちゃんで、親戚になったの。それで那智さんの養子で……」
「そちは慌てると会話がめちゃくちゃになるのを直さなければならんな」
「すいません」
「よいよい。我はあの赤子についた狐同様天の使いだが、気楽に頼む。雪翔の命には従うが、他に従うものはおるか?」
「冬弥さんとか……家族のみんなかな」
「できる限りの事はしよう。我の名は『檪』と言う」
「いちぎさん?」
「檪でいい。『いちい』とも呼ばれるが好きなように呼んで欲しい」
「額のそのマーク、侑弥の狐と違うけど……」
「瞬水や白雉よりも位が高いのでな、我の額には三日月型の横に三水のようなせんが入っておる」
「えっと、もっと気軽に話してもらえると嬉しいんだけど……」
「おっと、そうであった……漆たちのようにで良いのか?」
「う、うん。後、まだ小さな狐がいるんだけど」
「見てたからわかる。まだまだ小さいのによく働いておると。翡翠だったか、あれはもう大きくならん」
「え?」
「大きさがだが、力は増える」
「そうなの?でもまだ赤ちゃんみたいなものだよね?」
「そうだが、元々そういう狐の種だと言ったらわかりやすいのか……」
「でもまたあんなことがあったらって思うと、お受けした方がいいと思うの」
「私も同感ですねぇ。彼らはまだ小さいですし、一尾だけでも付けてもらいませんか?こんな事普通起こらないですし」
「じゃあ、お願いします……」
「分かった。今宵向かわせる」
そのまま赤ん坊の影に入っていったので、今更ながら緊張してしまう。
「汗かいちゃった。漆さんたちとはまた違う迫力があるね」
「ええ。ですが、この子の気と彼らの気の質が似てるので合うと思いますし、雪翔の気もこの子達よりですよ?」
「なんだか疲れちゃった……あ、栞さんが一番疲れてるんだよね」
「少し寝ようかしら。冬弥様?ちゃんと約束は守ってくださいね?」
「勿論です。さ、雪翔も休みましょうか」
「みんな宴会だって言ってたけど」
「それは明日ですよ。寝てないんでしょう?部屋でゆっくり休まないと」
「うん」
「では、パパはお兄ちゃんとねんねして来まちゅからねぇ。いいこでいてくだちゃいねぇ」と既にでれでれ状態である。
「冬弥さん、今からそれじゃ気持ち悪い」
「気持ち悪いですか?人の子の父はこう言うと聞いてましたけど」
「それって誰も見てないところとかじゃない?買い物に行ってそんなこと言ってたら僕はなれるからね?」
「え、それは嫌です!」
その後は航平と部屋に行って一緒に寝ることにし、大人達は今日は泊まっていくと言っていて、宴はお昼から始まると聞かされた。
「航平ちゃん。あのね、僕に今晩狐様が付いてくれるんだって」
「天の使いってやつ?なんかさ、リュウグウノツカイ思い出したよ俺」
「それ、魚じゃん」
「つい。でも、みんな明るいよな……俺兄弟できるたび憂鬱だったけど、こんなにみんなが喜んでくれるなら兄弟もいいなって思った」
「僕も。たくさん遊んであげるんだ!でも翡翠がわがまま言わないかな?栞さんの方のお婆ちゃんのところにずっといて戻ってこないんだけど」
「なんか着物がどうのこうのって聞こえたけど」
「あ!絶対に洋服頼んでる!だってイチゴって聞こえたもん」
「いいんじゃない?翡翠ちゃんも女の子だしさ、お洒落したいんだよ」
「小狐がお洒落?まだ人形にもなれないのに?」
「なったらなったで、那智さんのお母さんがフリフリドレス着せそうだよね」
「それは嫌だ……」
久しぶりに沢山話して、朝までぐっすりと眠り、朝は周太郎の悲鳴で飛び起きてしまった。
「ぼぼぼ、坊ちゃん!起きてくだい!」
「何?どうしたの?」
「お、お狐様がっ!」
ベッドの横を見ると、漆よりも大きな狐がお座りしており、周太郎で遊ぶかのように尻尾を揺らしていて、その声で起きた航平も半分口を開いたまま固まっている。
「昨日言ってたお狐様かな……」
「お初にお目にかかる。この者が世話係とは見ていてわかったので姿を見せたが問題はないか?」
「う、うん」
「そしてこの男の子は……」
「航平ちゃんで、親戚になったの。それで那智さんの養子で……」
「そちは慌てると会話がめちゃくちゃになるのを直さなければならんな」
「すいません」
「よいよい。我はあの赤子についた狐同様天の使いだが、気楽に頼む。雪翔の命には従うが、他に従うものはおるか?」
「冬弥さんとか……家族のみんなかな」
「できる限りの事はしよう。我の名は『檪』と言う」
「いちぎさん?」
「檪でいい。『いちい』とも呼ばれるが好きなように呼んで欲しい」
「額のそのマーク、侑弥の狐と違うけど……」
「瞬水や白雉よりも位が高いのでな、我の額には三日月型の横に三水のようなせんが入っておる」
「えっと、もっと気軽に話してもらえると嬉しいんだけど……」
「おっと、そうであった……漆たちのようにで良いのか?」
「う、うん。後、まだ小さな狐がいるんだけど」
「見てたからわかる。まだまだ小さいのによく働いておると。翡翠だったか、あれはもう大きくならん」
「え?」
「大きさがだが、力は増える」
「そうなの?でもまだ赤ちゃんみたいなものだよね?」
「そうだが、元々そういう狐の種だと言ったらわかりやすいのか……」
0
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
My Doctor
west forest
恋愛
#病気#医者#喘息#心臓病#高校生
病気系ですので、苦手な方は引き返してください。
初めて書くので読みにくい部分、誤字脱字等あると思いますが、ささやかな目で見ていただけると嬉しいです!
主人公:篠崎 奈々 (しのざき なな)
妹:篠崎 夏愛(しのざき なつめ)
医者:斎藤 拓海 (さいとう たくみ)
小児科医、姪を引き取ることになりました。
sao miyui
キャラ文芸
おひさまこどもクリニックで働く小児科医の深沢太陽はある日事故死してしまった妹夫婦の小学1年生の娘日菜を引き取る事になった。
慣れない子育てだけど必死に向き合う太陽となかなか心を開こうとしない日菜の毎日の奮闘を描いたハートフルストーリー。
ずっと女の子になりたかった 男の娘の私
ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。
ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。
そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる