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手術
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「まず、熱の方はもう大丈夫でしょう。まだ微熱ですが、問題ないと思います。それと、レントゲンの方の右足の付け根の部分……ここの骨の変形が少し見られます。これがMRI……」と次々に写真が出され、説明が続く。
「____という事なので、考えておいてください」
「すぐに出来ますか?」
「予約制なのでできますが、入院が大体2週間ほどでしょうか。その後痛みが取れてきたらリハビリに入りますが……」
「僕、学校案内とか行きたいよ……」
「でしたら、その日は外出にしてその後予約しますか?」
「お願いします。ですが、また変形になったりしませんか?」
「気をつけていれば大丈夫でしょう。これは前の時の傷のこともあっての変形なので、ちゃんと戻してあげれば殆どが良くなります」
トントン拍子に手術の日が決まっていく。前は骨折と言っても手術はしなかったので、初めての手術となる。不安にならないといえば嘘になるが、やはり怖い。
その後は詳しく手術方法などを聞き、そのまま入院することになったので、着替えなど栞と那智が取りに行ってくれた。
「もう痛くないのにな……」
「違和感とかなかったんですか?」
「歩く時に少し……でも、そんなものなのかなって思ってて」
「先生の話だと、なかなか筋力も戻らなかったので片側に負担がかかったのだろうと。それに、付け根の部分にもヒビが入ってましたからねぇ」
「それ聞いてないよ?」
「記憶なくしてたでしょう?だからみんな言わなかったんだと思いますよ?狐を使えば治りは早いですが、雪翔の場合色々とありましたからねぇ。この手術で痛みがなくなってリハビリも上手く行けば、後は気持ちの問題だけです」
「うん……」
「ですが、焦りは禁物ですよ?」
「分かってるけど……」
「那智から聞きましたよ。妖街のこと。あちらの街は暖かいですし、那智が一緒ならば問題は無いでしょう。目的も聞いてますし、退院したら行ってみてはどうでしょう?」
「いいの?」
「いいですよ?退院して南の街に行って色々と見てくるのもいいでしょう」
「目的って何?」
「雪翔の力のことです。自分が危険な時に守ってもらわなければいけない狐と式を翡翠が中から出られないように守るのは異例です。たしかにみんな小さいですが、小さいながらも力はあります。私と那智の考えは、雪翔があの子達を守りたい気持ちのが大きくて、それを翡翠が変わりにしているのではないかと言うことです」
「僕が?」
「ええ。雪翔は優しい子ですから、みんなが傷つくのが嫌だって気持ちのほうが大きいのでしょう。色々な体験をして来るのもいいです。雪翔、みんなにちゃんと守ってもらえるようになりなさい。そして守ってあげなさい。今は難しいかも知れませんが、わかる時が必ずきますから」
「うん……」
「手術の日までみんなを返しておきます。那智の狐がいるので紫狐はこちらのままですが、みんなで交代で見に来ますから。それと、学校案内が終わってからある傍聴ですが、手術の前日です。行きますか?」
「行く。僕ちゃんと聞かなきゃ」
「分かりました」
ガラッと扉が開き、栞と隆弘が荷物を持ってきてくれた。
「なんか大変なことになったな……あ、海都からゲーム機預かってきた。それと参考書と問題集な。ちょっと見たけどかなり難しくないかそれ?」
「うん、でも何とかわかるから頑張るよ」
「微熱あるんだから、無理しちゃダメよ?後、これ賢司君から。本だって言ってたけど」
「本?」
袋から出すと陰陽師のルーツと書かれていた。もう1冊は昔の陰陽師の仕事や使役した式神。それに使われていたとされる術が解説されていた。
「____という事なので、考えておいてください」
「すぐに出来ますか?」
「予約制なのでできますが、入院が大体2週間ほどでしょうか。その後痛みが取れてきたらリハビリに入りますが……」
「僕、学校案内とか行きたいよ……」
「でしたら、その日は外出にしてその後予約しますか?」
「お願いします。ですが、また変形になったりしませんか?」
「気をつけていれば大丈夫でしょう。これは前の時の傷のこともあっての変形なので、ちゃんと戻してあげれば殆どが良くなります」
トントン拍子に手術の日が決まっていく。前は骨折と言っても手術はしなかったので、初めての手術となる。不安にならないといえば嘘になるが、やはり怖い。
その後は詳しく手術方法などを聞き、そのまま入院することになったので、着替えなど栞と那智が取りに行ってくれた。
「もう痛くないのにな……」
「違和感とかなかったんですか?」
「歩く時に少し……でも、そんなものなのかなって思ってて」
「先生の話だと、なかなか筋力も戻らなかったので片側に負担がかかったのだろうと。それに、付け根の部分にもヒビが入ってましたからねぇ」
「それ聞いてないよ?」
「記憶なくしてたでしょう?だからみんな言わなかったんだと思いますよ?狐を使えば治りは早いですが、雪翔の場合色々とありましたからねぇ。この手術で痛みがなくなってリハビリも上手く行けば、後は気持ちの問題だけです」
「うん……」
「ですが、焦りは禁物ですよ?」
「分かってるけど……」
「那智から聞きましたよ。妖街のこと。あちらの街は暖かいですし、那智が一緒ならば問題は無いでしょう。目的も聞いてますし、退院したら行ってみてはどうでしょう?」
「いいの?」
「いいですよ?退院して南の街に行って色々と見てくるのもいいでしょう」
「目的って何?」
「雪翔の力のことです。自分が危険な時に守ってもらわなければいけない狐と式を翡翠が中から出られないように守るのは異例です。たしかにみんな小さいですが、小さいながらも力はあります。私と那智の考えは、雪翔があの子達を守りたい気持ちのが大きくて、それを翡翠が変わりにしているのではないかと言うことです」
「僕が?」
「ええ。雪翔は優しい子ですから、みんなが傷つくのが嫌だって気持ちのほうが大きいのでしょう。色々な体験をして来るのもいいです。雪翔、みんなにちゃんと守ってもらえるようになりなさい。そして守ってあげなさい。今は難しいかも知れませんが、わかる時が必ずきますから」
「うん……」
「手術の日までみんなを返しておきます。那智の狐がいるので紫狐はこちらのままですが、みんなで交代で見に来ますから。それと、学校案内が終わってからある傍聴ですが、手術の前日です。行きますか?」
「行く。僕ちゃんと聞かなきゃ」
「分かりました」
ガラッと扉が開き、栞と隆弘が荷物を持ってきてくれた。
「なんか大変なことになったな……あ、海都からゲーム機預かってきた。それと参考書と問題集な。ちょっと見たけどかなり難しくないかそれ?」
「うん、でも何とかわかるから頑張るよ」
「微熱あるんだから、無理しちゃダメよ?後、これ賢司君から。本だって言ってたけど」
「本?」
袋から出すと陰陽師のルーツと書かれていた。もう1冊は昔の陰陽師の仕事や使役した式神。それに使われていたとされる術が解説されていた。
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