下宿屋 東風荘 3

浅井 ことは

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陰陽の守り神

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「名前……すぐには思い付かないよ」

「私も少し本は読みましたが、式神と言うのは偵察や武器、身の守りなどもしてくれるのでしょう?」

「もしかしてそれ漫画の本?」

「ええ」

「実際は本にも良く似たこと書いてあるけど、現実味ないよ?」

「無いと言えば、私達狐もですよ?……」

「妖街もありますしねぇ。陰陽師は陰と陽。占術や星読みなどもするのでしょう?何があってもおかしくないですよ?」

「少し考えてみるね」

「では、私達は買いだしに行ってきますが、一緒にいきます?」

「うん、本屋さんによっても良い?」

「先に行きましょうか。私たちも不動産屋にいかないと行けませんので」

珍しく冬弥が運転をし、本屋で降ろしてもらいその間に不動産屋に二人で行って貰うことにした。

名前の本のところでパラパラと見るが、これと行って良い名前と思うものがない。それにこれからどのような形になるのかもわからない。

その後にサスペンスの本を手に取り、裏のあらすじなどを見て面白そうなのを探す。
『とりかえっこ』『DOOR』『人形』ホラーだが面白そうなので手に取り、『閃光』というCMでやっていた本も追加する。
映画化すると言う話も聞いたので、観に行く前に読んでおいても良いかもしれない。

「雪翔」

「もう終わったの?」

「案内用の鍵を渡し行っただけなので。玄関横の部屋を希望者に見せて貰うようにしてきました。買うものは決まりましたか?」

「うん、これ……」

「珍しいですね。ホラーですか」

「後一つは今度映画化するから読んでおきたくて。それと、お願いがあるんだけど」

「なんですか?」

参考書売り場に行き、来年度の入試と書かれた問題集を見せる。

「ズルッてわかってるんだけど、通信のほう2年生から行けないかな?」

「通う方ですか?」

「それはまだ自信ないんだけど。月に何度か通うほうで……本当なら一年生からやり直さないといけないのもわかってるんだけど」

「造作もないことです。手続きしておきましょう、どこの学校が良いですか?」

「病院の近くの星が丘付属大学の高校の通信だと、成績が良ければ大学にも行けるって書いてあって、推薦ももらえるんだって」

「分かりました。雪翔なら大学は推薦でしょうねぇ。ですがそれは自分で頑張ってくださいよ?」

「うん!ありがとう」

「ちょっと、私の意見は?」

「ダメですか?」

「い、いえ。問題ありません。でも星が丘って前の学校より難しいところだと皆さんが話しているのを聞きましたけど」

「かなりレベルの高い学校だと聞きますねぇ。通信でもかなり難しいらしいですが」

「僕頑張るから」

「栞さん、雪翔がおねだりですよ?叶えてあげませんか?」

「そうですね。でも、ちゃんとご飯食べてリハビリも頑張らないと」

「する!」

「そうそう、家で渡そうと思ったんだけど本買うならこれ渡しておくわね」

茶色い袋を見ると一万円入っていて、お小遣いだと言われる。

「多いよ。それに前の通帳に生活費はいって……」
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