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七泊八日
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元々、出来にくく流れやすく諦めていたと言う。初孫になるから、喜びもひとしおだろう。
「初孫は雪翔じゃよ?」
「お爺ちゃん……でも僕は血が」
「それは関係ない。腹の子より早くうちの孫になったんじゃ。この子は二人目の孫。無事生まれるよう、幸は何もするでない!寝ておれ」
「病気じゃないんですから。それに多少に運動は必要ですよ?」
「京弥、やっとできた子じゃぞ?」
「だから元気に生まれてくるためにですねぇ……」
「こう言ったことは女に任せておいてください。無事生まれるなら六月辺りかしらねぇ」
「明日病院に行ってきます」
「二つ祝いができたの。明日は宴の用意じゃ!」
御機嫌になったのかかなりの酒を親子で飲んでいたので、食事が終わってから風呂に入り部屋に戻って彫り物の続きをする。
「ゆっきー、幸さんなのですが」
「幸さん?」
「実は……もう何度もややが……」
「うん、聞いてる。だから言えなかったんだね」
「だと思います。それに男子ならばその子が次の後継となるのです」
「普通そうでしょ?だって僕、次男の子だから長男の子が継ぐのは普通だよ?」
「紫狐はゆっきーが気にしてるのではないかと……」
「何も気にしてないから大丈夫だよ?それに、僕はみんなと寿命が違うから、冬弥さんと栞さんに子ができたら、その子が継ぐのが良いと思ってるし」
「ゆっきーは寂しくないですか?」
「どうして?」
「血の繋がりのある子はやはり扱いが違うかと……紫狐はそれも心配で」
「気にしすぎだって。もう少し彫ったら薬飲んで寝るから、しーちゃんももう気にしないで?」
「はいー」
そう言いながら寝巻きに着替えている紫狐は、帽子で耳まですっぽりと隠し、影に戻って行った。
コンコン__
「坊ちゃん」
「どうぞー」
「失礼します。坊ちゃん、使用人からこれを坊ちゃんにと」
「あ!カフェオレ?」
「コーヒーと言うものに牛の乳を。本の通りにですが」
「ありがとう」と一口飲むと、甘さもちょうど良く向こうと変わり無かった。
「みんな勉強家だなぁ」
「奥様がご懐妊とか……」
「明日病院に行くって言ってたよ?」
「坊ちゃん__」
「まさか、みんな気にしすぎ!って伝えてくれる?誰に子ができても、僕は冬弥さんの養子の子。血の繋りが無いのは分かってるし、血の繋がった子が跡継げばいいと思ってるし。ってさっきもしーちゃんに言ったんだけど」
「私はずっと坊ちゃんについてますので」
「ありがとう。でも赤ちゃんも大きくなったら遊び相手がいるし、その時はちゃんと可愛がってあげてよ?」
「それは勿論ですが」
「うん、ならいいよ。あまり騒いでもさ、幸さんが気にするといけないから。それよりも、ヤスリとつや出しないかな?仕上げに使いたいんだけど」
「明日でいいですか?用意しておきますので」
「うん。かなり彫れたんだ。明日には出来るよ?」
「寝てますよね?」
「うん。柄が大きかったからだよ。複雑な柄とかたくさんしてきたからかな?コツがわかってきてるからだと思うんだけど」
「明日も神社へ?」
「ここでするよ。昼過ぎには出来ると思うんだけど、昼から買い物も行きたいんだ」
「ではそのように支度しておきます」
お休みと言ってから片付けをして布団に入り、出てきた翡翠をだっこして眠る。
「初孫は雪翔じゃよ?」
「お爺ちゃん……でも僕は血が」
「それは関係ない。腹の子より早くうちの孫になったんじゃ。この子は二人目の孫。無事生まれるよう、幸は何もするでない!寝ておれ」
「病気じゃないんですから。それに多少に運動は必要ですよ?」
「京弥、やっとできた子じゃぞ?」
「だから元気に生まれてくるためにですねぇ……」
「こう言ったことは女に任せておいてください。無事生まれるなら六月辺りかしらねぇ」
「明日病院に行ってきます」
「二つ祝いができたの。明日は宴の用意じゃ!」
御機嫌になったのかかなりの酒を親子で飲んでいたので、食事が終わってから風呂に入り部屋に戻って彫り物の続きをする。
「ゆっきー、幸さんなのですが」
「幸さん?」
「実は……もう何度もややが……」
「うん、聞いてる。だから言えなかったんだね」
「だと思います。それに男子ならばその子が次の後継となるのです」
「普通そうでしょ?だって僕、次男の子だから長男の子が継ぐのは普通だよ?」
「紫狐はゆっきーが気にしてるのではないかと……」
「何も気にしてないから大丈夫だよ?それに、僕はみんなと寿命が違うから、冬弥さんと栞さんに子ができたら、その子が継ぐのが良いと思ってるし」
「ゆっきーは寂しくないですか?」
「どうして?」
「血の繋がりのある子はやはり扱いが違うかと……紫狐はそれも心配で」
「気にしすぎだって。もう少し彫ったら薬飲んで寝るから、しーちゃんももう気にしないで?」
「はいー」
そう言いながら寝巻きに着替えている紫狐は、帽子で耳まですっぽりと隠し、影に戻って行った。
コンコン__
「坊ちゃん」
「どうぞー」
「失礼します。坊ちゃん、使用人からこれを坊ちゃんにと」
「あ!カフェオレ?」
「コーヒーと言うものに牛の乳を。本の通りにですが」
「ありがとう」と一口飲むと、甘さもちょうど良く向こうと変わり無かった。
「みんな勉強家だなぁ」
「奥様がご懐妊とか……」
「明日病院に行くって言ってたよ?」
「坊ちゃん__」
「まさか、みんな気にしすぎ!って伝えてくれる?誰に子ができても、僕は冬弥さんの養子の子。血の繋りが無いのは分かってるし、血の繋がった子が跡継げばいいと思ってるし。ってさっきもしーちゃんに言ったんだけど」
「私はずっと坊ちゃんについてますので」
「ありがとう。でも赤ちゃんも大きくなったら遊び相手がいるし、その時はちゃんと可愛がってあげてよ?」
「それは勿論ですが」
「うん、ならいいよ。あまり騒いでもさ、幸さんが気にするといけないから。それよりも、ヤスリとつや出しないかな?仕上げに使いたいんだけど」
「明日でいいですか?用意しておきますので」
「うん。かなり彫れたんだ。明日には出来るよ?」
「寝てますよね?」
「うん。柄が大きかったからだよ。複雑な柄とかたくさんしてきたからかな?コツがわかってきてるからだと思うんだけど」
「明日も神社へ?」
「ここでするよ。昼過ぎには出来ると思うんだけど、昼から買い物も行きたいんだ」
「ではそのように支度しておきます」
お休みと言ってから片付けをして布団に入り、出てきた翡翠をだっこして眠る。
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