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ひと夏の思い出編
124色 少女の正体
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……ごろ……ごろ……
さっきまでの嵐のような戦いの終わりを告げているように黒い雲が少しずつ晴れていき、静かな夜空? が広がる。 なんで疑問形に言ったのかというとこの森に入ってからずっと『暗かった』んだ。 森の前にあった空間に入る前は夕方ぐらいだったんだけど、この森に入った瞬間に空が真っ暗になったんだ。
そんなことを考えていると、クロロンのカラダを使ってるマモが宙から降りてきて、キズだらけで倒れている少女の前に立ち、手を少女にむける。 それをみたわたしはイヤな予感がして反射的に声をだす。
「ま、まって! マモ!!」
わたしが静止に答えずマモの手から赤色の魔力が放たれた。
バシュッツン!!
マモは動けない少女の手足を紐で拘束した。
「……え?」
「これでいいだろう?」
マモは静かにこちらに向き直りいう。
「……あ、うん」
意外な行動に間の抜けた返事を返すとマモは怪訝な顔をする。
「なんだ? ワタシが意識のないヤツを『始末する』とでも思ったか?」
わたしが言葉に詰まって困っていると、マモは大きくため息をつく。
「『ワタシだけ』だったら、そうしたかもしれないが、こいつに『聞きたいこと』があるんだろ?」
「え?」
マモの言葉にきょとんとすると、シアンが口を開く。
「……とりあえず、みんなを助ける」
「そ、そうだね」
わたしはバリアを解除しようとするけど、シアンに止められる。
「どうしたの? シアン」
「……ちょっと、まって」
「?」
首を傾げるとシアンは草の生い茂った地面に手を置き、しばらく固まる。
「シアン?」
「…………大丈夫」
「え?」
立ち上がってわたしたちにいうと歩きだした。
「なにしてたの?」
「……『魔力吸収の魔法』が切れてるか確認してた」
「『魔力吸収の魔法』ってなによ?」
「……もうないから大丈夫」
「は?」
シアンは質問に短く答えるけど、途中から意識を失っていて状況を理解できていないスミレは困惑する。 そんなスミレにわたしはがんばってなんのことかを伝える。
「……まあ、なんとなくわかったわ」
あたふたとした説明だったけど、スミレはなんとか納得してくれたみたいだ。
バリアを解除してわたし、シアン、スミレの3人で捕まってるみんなの下にいく。
みんなはツルに絡まれて気を失っていた。 たぶん、植物に魔力を吸われて気を失っちゃってるんだと思う。
「とりあえず、ツルを解けばいいよね」
「そうね。 みんなで手分けしましょう」
「……まって、二人は手を出さない方がいい」
ツルに触れようとしたわたしとスミレをシアンは止める。
「……ツルはまだ『危ない』」
「危ない?」
「……まだちょっと魔力感じる」
そういうとシアンは『ツルを掴んだ』。
「えええええええ!?」
「はあ!? アナタなにやってるのよ!? 自分の云ったこと忘れたの!?」
危ないと止めたはずのシアンが普通にツルに触ったからわたしとスミレは思わずツッコんでしまう。 そんなわたしたちを気にせずにシアンは他のツルにも触れていく。
「え、え、え? シアン?」
「……大丈夫……『消してる』だけ」
「え? 消してる?」
あたふたとするわたしにシアンは答える。 よくよくみるとツルに触れる度にシアンの右手からナニか『高い音』がしていた。
「……やはり『使えた』か」
そんなシアンをみてレータを抱えてやってきたマモが少し渋い顔をしながらいい、そのままレータを草の生い茂った地面に放り投げる。
「『つかえた』?」
「『反魔法《アンチまほう》』だ」
「アンチ?」
わたしは首を傾げるとマモは呆れたような表情をして、大きくため息をする。
「……魔法消せるチカラ」
「え!? シアンそんなすごいことできたの!?」
「……つかれるからあまり使いたくないけど」
こっちに顔を向けずに答えると「……おわった」といって立ち上がると大きなあくびをする。
「大丈夫?」
「……チカラつかったからねむくなった」
再度大きなあくびをして眼をこするシアンの横にマモが立つと倒れてるみんなに左手をかざす。
「これで『再生』はされないだろう」
そういうと手から風が吹き、みんなのカラダに絡まってるツルだけを切っていった。 マモのいう通りツルは動かず再生しなかった。
「みんな大丈夫かな」
「時期に眼を覚ますぞ」
「え?」
ツルは外れたけど、意識を失ったままのみんなをみて心配になるわたしにマモはそっぽを向きながら答える。
「ツルを切るついでに全員に少しだけ、わたしの、いや、こいつのカラダの魔力を分けてやったから、完全回復ではないが、動ける程には回復してるはずだ」
「ありがとう! マモ!」
そんなことまでしてくれていたことにわたしが驚きながらもお礼を告げると、マモは「……ふん」とそっぽを向く。
「クウタの魔力を勝手につかったのか?」
「ワタシにこいつらを助ける義理はない。 むしろ、こいつが『使え』っていったんだぞ」
「……え?」
シアンのすこし怒りが混じっていった言葉にマモは答えると、シアンは目を見開いて驚く。
「『自分の魔力を使って、こいつらを助けろ』と生意気にも懇願してきた」
マモは心底めんどくさそうな顔をする。
「それでもありがとう! 『二人とも』!」
「……たまたま、気分が乗っただけだ」
「…………う……う……」
こちらに眼を合わせないでマモは呟くように答えると、かすかな呻き声が聞こえた。
「シーニ!」
「…………え…………ミズキ?……アカリ?……なんで?」
シーニはわたしたちに驚くけど、意識がまだ朦朧としているようだ。
「……おい……何故、『そのカラダに入ってる』」
カレシーニさんも意識がすこし戻ったみたいだけど、膝立ちになりながらマモに刀を向ける。
「ま、まって、マモはみんなを『助けてくれた』んだよ!」
「なに?」
「そうみたいじゃのう……」
魔女のおねえさんも眼を覚ましたのか、上半身を起こしてカレシーニさんを止める。
「それに、意識が回復したばかりなんじゃ、あまり激しく動くでない」
「…………」
おねえさんの言葉にカレシーニさんは静かに従う。
その後、ひとりずつ意識を取り戻していき、まだ、意識の朦朧としている人を残して、先に回復したカレシーニさんたちがマモの魔法で拘束されている少女の下にいく。
「こいつがこの事件の『犯人』か?」
「そうみたいじゃのう、まさかこんな少女だったとは、それに酷いケガじゃ、早く手当せんとマズいのじゃ」
少女のケガをみておねえさんは眉を顰める。
「なら、桃山、早くお前の治癒魔法をかけてやれ」
「そうしたいのはやまやまじゃが、わたしゃの魔力もほぼ枯渇しておって今はできんのじゃ」
「そうか……おい、お前ならできるだろ」
おねえさんの言葉を受け、カレシーニさんはマモに顔を向けいうけど、マモはカレシーニさんとは眼を合わせず、鼻で笑い答える。
「ナゼ、ワタシがそんなことをしないといけない?」
「なに?」
「むしろ、キサマラの行動が理解できん、攻撃の手を向けてきたやつをわざわざ治す訳なかろう。 また、攻撃されるだけだぞ。 まあ、もしこいつが回復したとしても今かけている拘束魔法には魔法封じの魔法も付与してるから関係ないがな」
「まあ、確かにマモさんのいう通りかもしれんのう。 じゃが、死んでしまっては話も聞けぬ、どうかお願いできんかのう」
今はマモに頼むしかないから、おねえさんはお願いするけど、マモは聞く気がないみたい。
「…………」
カレシーニさんはマモを睨みつけて、ピリついた空気になる。 ど、どうにかしないと! そう思い、わたしは一か八か、少女前に膝を付き、手を握る。
「アカリ?」
わたしのいきなりの行動にみんなフシギそうにする。 そんなみんなの視線を受けながらもわたしは握った手に『祈りを込める』。 すると、握った手が『白くヒカリ』だした。
「!?」
ヒカリが少女を白く包み、カラダのキズが綺麗に消えていく。
「……ふ、う……ぅ……で、きた」
少女のキズを『治す』ことができてわたしは一息つくけど、思ったよりもカラダに疲れが圧し掛かり、立膝のバランスを崩してしまい後ろに倒れ、とっさにシアンが支えてくれた。
「アカリ、大丈夫か?」
「だいじょうぶ……へへ、ありがとうシアン」
「……これは驚いたのじゃ」
眼だけを向けると、おねえさんは信じられないものをみたかのように驚いた表情を向ける。
「やはりお前からみてもか」
「…………」
スミレは驚いて言葉を失ったみたいな顔、シーニとマモはなんだかフシギな表情をしていて、みんなそれぞれ反応を示す。
「あ、そういえば、大事なこと伝えてなかった」
「大事ことって?」
突然、声をだしたわたしにシーニはやさしく聞き返してくれる。 わたしはまだすこし重いカラダをゆっくり起こし立ち上がりいう。
「この子の言ってる言葉がわからなくて、『こっちの言葉もわかんないみたいだったよ』」
「え?」
わたしの言葉に三人は首を傾げる。
「それは『外の国の言葉』ってこと」
「それなら、大丈夫だ、他国語なら主流のものであれば分かる」
「そうじゃのう、よほど小さな国だけの言葉でなければ翻訳できるかもしれんのう」
「『キサマラ全員、理解出来んぞ』」
話を進める三人にマモが入りいう。
「どういうことだ」
「そうだな、キサマラに分かるようにいってやると、『この世界の言葉じゃない』とだけ云っておこう」
「!?」
マモの言葉に三人は驚く。
「『この世界の言葉じゃない』? なにをいってる」
「多分、緑風くん……いえ、マモノくんのいうことは『本当』だと思います」
動けるまで回復したマルが会話に入ってきて、マモのいうことを肯定する。
「なんでそんなことわかる?」
「『実際に聴いた(聞いた)』からですよ」
「なんだと!?」
マルの言葉にカレシーニさんは眼を見開く。
「聴いたのは私だけではないみたいです」
そういうと後ろに眼を向け、数人が頷く。 その数人は行方不明になった『ノワル、フラウム、アラン』の三人だった。
「私の聴いた、言葉といいますか『歌』は、美しいものでしたが、『言語の理解はでませんでした』」
「ええ、とても美しい『歌声』でしたが、聞いたことない言語でしたわ」
マルの言葉に三人は頷き、それを受けた三人は何かを考えるような顔をする。
「……つまりはさ、『別の世界』の人間ってこと?」
シーニが呟くようにいい、二人も同じことを思っているみたいだったけど、驚愕の表情を浮かべる。
さっきまでの嵐のような戦いの終わりを告げているように黒い雲が少しずつ晴れていき、静かな夜空? が広がる。 なんで疑問形に言ったのかというとこの森に入ってからずっと『暗かった』んだ。 森の前にあった空間に入る前は夕方ぐらいだったんだけど、この森に入った瞬間に空が真っ暗になったんだ。
そんなことを考えていると、クロロンのカラダを使ってるマモが宙から降りてきて、キズだらけで倒れている少女の前に立ち、手を少女にむける。 それをみたわたしはイヤな予感がして反射的に声をだす。
「ま、まって! マモ!!」
わたしが静止に答えずマモの手から赤色の魔力が放たれた。
バシュッツン!!
マモは動けない少女の手足を紐で拘束した。
「……え?」
「これでいいだろう?」
マモは静かにこちらに向き直りいう。
「……あ、うん」
意外な行動に間の抜けた返事を返すとマモは怪訝な顔をする。
「なんだ? ワタシが意識のないヤツを『始末する』とでも思ったか?」
わたしが言葉に詰まって困っていると、マモは大きくため息をつく。
「『ワタシだけ』だったら、そうしたかもしれないが、こいつに『聞きたいこと』があるんだろ?」
「え?」
マモの言葉にきょとんとすると、シアンが口を開く。
「……とりあえず、みんなを助ける」
「そ、そうだね」
わたしはバリアを解除しようとするけど、シアンに止められる。
「どうしたの? シアン」
「……ちょっと、まって」
「?」
首を傾げるとシアンは草の生い茂った地面に手を置き、しばらく固まる。
「シアン?」
「…………大丈夫」
「え?」
立ち上がってわたしたちにいうと歩きだした。
「なにしてたの?」
「……『魔力吸収の魔法』が切れてるか確認してた」
「『魔力吸収の魔法』ってなによ?」
「……もうないから大丈夫」
「は?」
シアンは質問に短く答えるけど、途中から意識を失っていて状況を理解できていないスミレは困惑する。 そんなスミレにわたしはがんばってなんのことかを伝える。
「……まあ、なんとなくわかったわ」
あたふたとした説明だったけど、スミレはなんとか納得してくれたみたいだ。
バリアを解除してわたし、シアン、スミレの3人で捕まってるみんなの下にいく。
みんなはツルに絡まれて気を失っていた。 たぶん、植物に魔力を吸われて気を失っちゃってるんだと思う。
「とりあえず、ツルを解けばいいよね」
「そうね。 みんなで手分けしましょう」
「……まって、二人は手を出さない方がいい」
ツルに触れようとしたわたしとスミレをシアンは止める。
「……ツルはまだ『危ない』」
「危ない?」
「……まだちょっと魔力感じる」
そういうとシアンは『ツルを掴んだ』。
「えええええええ!?」
「はあ!? アナタなにやってるのよ!? 自分の云ったこと忘れたの!?」
危ないと止めたはずのシアンが普通にツルに触ったからわたしとスミレは思わずツッコんでしまう。 そんなわたしたちを気にせずにシアンは他のツルにも触れていく。
「え、え、え? シアン?」
「……大丈夫……『消してる』だけ」
「え? 消してる?」
あたふたとするわたしにシアンは答える。 よくよくみるとツルに触れる度にシアンの右手からナニか『高い音』がしていた。
「……やはり『使えた』か」
そんなシアンをみてレータを抱えてやってきたマモが少し渋い顔をしながらいい、そのままレータを草の生い茂った地面に放り投げる。
「『つかえた』?」
「『反魔法《アンチまほう》』だ」
「アンチ?」
わたしは首を傾げるとマモは呆れたような表情をして、大きくため息をする。
「……魔法消せるチカラ」
「え!? シアンそんなすごいことできたの!?」
「……つかれるからあまり使いたくないけど」
こっちに顔を向けずに答えると「……おわった」といって立ち上がると大きなあくびをする。
「大丈夫?」
「……チカラつかったからねむくなった」
再度大きなあくびをして眼をこするシアンの横にマモが立つと倒れてるみんなに左手をかざす。
「これで『再生』はされないだろう」
そういうと手から風が吹き、みんなのカラダに絡まってるツルだけを切っていった。 マモのいう通りツルは動かず再生しなかった。
「みんな大丈夫かな」
「時期に眼を覚ますぞ」
「え?」
ツルは外れたけど、意識を失ったままのみんなをみて心配になるわたしにマモはそっぽを向きながら答える。
「ツルを切るついでに全員に少しだけ、わたしの、いや、こいつのカラダの魔力を分けてやったから、完全回復ではないが、動ける程には回復してるはずだ」
「ありがとう! マモ!」
そんなことまでしてくれていたことにわたしが驚きながらもお礼を告げると、マモは「……ふん」とそっぽを向く。
「クウタの魔力を勝手につかったのか?」
「ワタシにこいつらを助ける義理はない。 むしろ、こいつが『使え』っていったんだぞ」
「……え?」
シアンのすこし怒りが混じっていった言葉にマモは答えると、シアンは目を見開いて驚く。
「『自分の魔力を使って、こいつらを助けろ』と生意気にも懇願してきた」
マモは心底めんどくさそうな顔をする。
「それでもありがとう! 『二人とも』!」
「……たまたま、気分が乗っただけだ」
「…………う……う……」
こちらに眼を合わせないでマモは呟くように答えると、かすかな呻き声が聞こえた。
「シーニ!」
「…………え…………ミズキ?……アカリ?……なんで?」
シーニはわたしたちに驚くけど、意識がまだ朦朧としているようだ。
「……おい……何故、『そのカラダに入ってる』」
カレシーニさんも意識がすこし戻ったみたいだけど、膝立ちになりながらマモに刀を向ける。
「ま、まって、マモはみんなを『助けてくれた』んだよ!」
「なに?」
「そうみたいじゃのう……」
魔女のおねえさんも眼を覚ましたのか、上半身を起こしてカレシーニさんを止める。
「それに、意識が回復したばかりなんじゃ、あまり激しく動くでない」
「…………」
おねえさんの言葉にカレシーニさんは静かに従う。
その後、ひとりずつ意識を取り戻していき、まだ、意識の朦朧としている人を残して、先に回復したカレシーニさんたちがマモの魔法で拘束されている少女の下にいく。
「こいつがこの事件の『犯人』か?」
「そうみたいじゃのう、まさかこんな少女だったとは、それに酷いケガじゃ、早く手当せんとマズいのじゃ」
少女のケガをみておねえさんは眉を顰める。
「なら、桃山、早くお前の治癒魔法をかけてやれ」
「そうしたいのはやまやまじゃが、わたしゃの魔力もほぼ枯渇しておって今はできんのじゃ」
「そうか……おい、お前ならできるだろ」
おねえさんの言葉を受け、カレシーニさんはマモに顔を向けいうけど、マモはカレシーニさんとは眼を合わせず、鼻で笑い答える。
「ナゼ、ワタシがそんなことをしないといけない?」
「なに?」
「むしろ、キサマラの行動が理解できん、攻撃の手を向けてきたやつをわざわざ治す訳なかろう。 また、攻撃されるだけだぞ。 まあ、もしこいつが回復したとしても今かけている拘束魔法には魔法封じの魔法も付与してるから関係ないがな」
「まあ、確かにマモさんのいう通りかもしれんのう。 じゃが、死んでしまっては話も聞けぬ、どうかお願いできんかのう」
今はマモに頼むしかないから、おねえさんはお願いするけど、マモは聞く気がないみたい。
「…………」
カレシーニさんはマモを睨みつけて、ピリついた空気になる。 ど、どうにかしないと! そう思い、わたしは一か八か、少女前に膝を付き、手を握る。
「アカリ?」
わたしのいきなりの行動にみんなフシギそうにする。 そんなみんなの視線を受けながらもわたしは握った手に『祈りを込める』。 すると、握った手が『白くヒカリ』だした。
「!?」
ヒカリが少女を白く包み、カラダのキズが綺麗に消えていく。
「……ふ、う……ぅ……で、きた」
少女のキズを『治す』ことができてわたしは一息つくけど、思ったよりもカラダに疲れが圧し掛かり、立膝のバランスを崩してしまい後ろに倒れ、とっさにシアンが支えてくれた。
「アカリ、大丈夫か?」
「だいじょうぶ……へへ、ありがとうシアン」
「……これは驚いたのじゃ」
眼だけを向けると、おねえさんは信じられないものをみたかのように驚いた表情を向ける。
「やはりお前からみてもか」
「…………」
スミレは驚いて言葉を失ったみたいな顔、シーニとマモはなんだかフシギな表情をしていて、みんなそれぞれ反応を示す。
「あ、そういえば、大事なこと伝えてなかった」
「大事ことって?」
突然、声をだしたわたしにシーニはやさしく聞き返してくれる。 わたしはまだすこし重いカラダをゆっくり起こし立ち上がりいう。
「この子の言ってる言葉がわからなくて、『こっちの言葉もわかんないみたいだったよ』」
「え?」
わたしの言葉に三人は首を傾げる。
「それは『外の国の言葉』ってこと」
「それなら、大丈夫だ、他国語なら主流のものであれば分かる」
「そうじゃのう、よほど小さな国だけの言葉でなければ翻訳できるかもしれんのう」
「『キサマラ全員、理解出来んぞ』」
話を進める三人にマモが入りいう。
「どういうことだ」
「そうだな、キサマラに分かるようにいってやると、『この世界の言葉じゃない』とだけ云っておこう」
「!?」
マモの言葉に三人は驚く。
「『この世界の言葉じゃない』? なにをいってる」
「多分、緑風くん……いえ、マモノくんのいうことは『本当』だと思います」
動けるまで回復したマルが会話に入ってきて、マモのいうことを肯定する。
「なんでそんなことわかる?」
「『実際に聴いた(聞いた)』からですよ」
「なんだと!?」
マルの言葉にカレシーニさんは眼を見開く。
「聴いたのは私だけではないみたいです」
そういうと後ろに眼を向け、数人が頷く。 その数人は行方不明になった『ノワル、フラウム、アラン』の三人だった。
「私の聴いた、言葉といいますか『歌』は、美しいものでしたが、『言語の理解はでませんでした』」
「ええ、とても美しい『歌声』でしたが、聞いたことない言語でしたわ」
マルの言葉に三人は頷き、それを受けた三人は何かを考えるような顔をする。
「……つまりはさ、『別の世界』の人間ってこと?」
シーニが呟くようにいい、二人も同じことを思っているみたいだったけど、驚愕の表情を浮かべる。
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